[春が訪れ、牧草地には小さな花が咲き乱れる。]



マザー牧場???
マザー牧場。はて、なぜマザー牧場なのか?当局自身よく分からないが、なぜか春オンはマザー牧場(千葉県富津市)だ。当初は雲取山からオンエアーを予定していたのだが、CMの関係上時間的な余裕がなくなり、近場運用に。近場と言っても東京近辺でCB向きの「高くて面白そうな」場所がもうあまりない、というのがマザー牧場になった要因のひとつだ。

と言っても、マザー牧場が「面白い」場所と言うわけではない。標高も高い所で300mちょっと、東京湾程度は見渡せるかもしれないが、基本的にはだんだらの丘陵なので、電波の飛び受けはほとんど期待できないのは、予め分かっている。

今日も公共交通機関移動だ。JR内房線佐貫町駅からバスに揺られて20分ほど、少し見通しの開けた丘陵の上に登り着くとそこがマザー牧場である。訪れるのは十数年ぶりだが、この、都会から既に忘れ去られていたと思われるような場所も、今日はかなりの観光客やら家族連れが来ている。牧場での乳搾り体験や乗馬体験、あるいはとってつけた程度の遊具設備があるだけの「遊園地」、広場と花畑、動物とのふれあい広場、ジンギスカンレストランなどがその正体である。もちろん時代に即してアップデートはされているが、アミューズメントとしてはコンセプトの基本は昭和時代の子供が多かった頃のものの延長のような気がする。もちろん同じ千葉県にある舞浜のTDLやTDRなどどは超対照的だ。しかし、一見時代から取り残されたようなこんな場所でも、こうして来てみると、家族連れやカップル、観光客までたくさん来ているのには正直驚かされる。

マザー牧場のこの時期の売り物は菜の花と桜のようで、桜の開花にはまだ早いが、菜の花のほうは9部程度の開花の状況だ。菜の花は開花期間が4月中旬頃まで続くので、桜が咲く頃には菜の花とのコラボが楽しめるようである。


さっそく、丘陵の中でもっとも高い位置にある観覧車脇のベンチに陣取って、707のスイッチをいれてみる。しかし、予想通りだが、電気系のノイズが結構混じっているようだ。なんと言っても、すぐ目の前には、さびれた遊園地によくありがちな、-30℃が体験できる「アイスワールド」などがあったりする。ノイズはSメータをはっきり振らせるほどではないので、使い物にならないほどではないが、恐らく41程度の入感の信号だと完全にはピックアップできそうもない感じだ。

いつものように6ChでCQを飛ばしてみるが、全く反応はない。今日はいつになく海外も静かで、ホニャラも全く聞こえてこない。祝日のせいか、4Chでさえ違法の入感もない。707を手にノイズが消えそうな場所をいろいろ試してみるが、一帯はどこもダメそうだ。

ノイズが消えないなら、ということで、逆転の発想で今度は目の前にある展望レストランの屋上からノイズ覚悟でQRVしてみることにする。ここは足元の下(階下)がレストランで、更に屋上には排気ダクトがあったりと見るからにノイズの多そうな場所だが、周囲ではここだけ一応空に飛び出ているのである程度は飛び受けが良さそうだ。実際上がってみると、ノイズはS2程度振ってくるものの、かなり飛び受けは改善されて、下ではほとんど聞こえてこなかった局が53~54程度で入感してくる。屋上展望台だけあって反対側の丘陵が、菜の花畑で一面黄色く彩られているのが良く見える。

チバCB750局
屋上をあちこち歩き回るとノイズの出方にかなりばらつきがある。小さいところではS2程度だが、大きいところではS5近く振ってくる。一番小さくなるところでCQを出してみると、チバCB750局より応答を頂く。59+、非常に強力だ。CB750局といえば、記憶も明瞭だ。昨年5月野島崎、7月の奥多摩周遊道路、今年2月には鎌倉からQRVしたときにQSO頂いている。信号も強いはずで今日は鴨川からQRVされているらしい。これまでは、ロケや海外ノイズの関係等から厳しいQSOが多く中途半端な終わり方をしていたのだが、今日のQSOはさすがにバッチリである。CB750局といえば、一つだけ気になっていたのが1stQSOのとき、つまり昨年の野島崎(標高ゼロメートル)からのQSOである。その時はせっかくコールいただいたのだが、厳しい入感でロケを結局拾うことができなかった。CB750局は、ありがたいことに当HPを読んでいただいたようで、そのときのQSOを良く覚えておられる。そのときは白浜の館山市内を見渡せるような場所からQRVされていたとのことである。行政区分上は野島崎と同じ南房総市内だったようだが、館山方向を見渡せる場所とはかなり離れているので、QSOが厳しかったのが頷ける。これで約1年前のQSO場所が判明・・・一つの謎が解けた(笑。このようなQSOができ、マザー牧場まで移動してきた甲斐があったというものである。

やはり展望台は下(地面)とはかなり飛び受けが違うようで、東京都稲城市のみはらし緑地移動のヨコハマJA298局などもFBに入感してくる。東京湾方向からの電波はかなり改善するようだ。展望台のノイズはもちろん高めなのだが変調音がそれ以上に力強く入感してくる。最近良くつながっているかながわYS41局は、今日は高尾山に移動されているようで、56でよく聞こえてくる。大山中腹移動のかごしまGL90局は高さがあるだけに、さすがに58と強力だ。

飛び受けはいまひとつだがポカポカ陽気を満喫

ありがたいことに今日は天気予報ははずれ(笑。当初は「どんよりと曇った、午後にはにわか雨も」という予報だったが、基本的には晴れで、時々薄い雲がかかったりと春らしいハッキリしない天気ながら、ずっと薄日がさしている。気温もここ数日同様、かなり上がっている。マザー牧場に来られた方には、まずまずの行楽日和だろう。午前中につながった局長さんたちも、午後は天気が悪いと言う予報だったので、早めに移動されてきた局長さんがほとんどだ。

DCRはどうだろうか?DCRも東京湾を隔てた、神奈川県側からよく飛んでくる。大山中腹のカナガワAD505局が強力に入感してくる。カナガワZ489局は、横浜市港南区のさえずりの丘公園に移動されているようで、当局の波はCBでも入感していたが応答するには厳しい入感だったようだ。

DCRについては、都心方面ともつながるのではと期待していたのだが、やはりロケの高さがない分飛び受けはイマイチのようである。なんだかんだいってもマザー牧場は、房総半島の真ん中より南に位置し、都心部とはそこそこ距離がある。唯一墨田区からトウキョウスカイツリーKJ1局に応答を頂く。KJ1局はマザー牧場には何度か来られているようで、当局が遊園地の傍からQRV中と伝えると、「『いま時こんなのないだろう!?』といった遊戯?が並んでますよね!」と言われる。たしかに展望台にいる当局からは、さっきから気になっていた、古い温泉旅館街によくある射的場のような遊戯が目に入っていた・・・(笑。

 
展望レストラン(左)、屋上展望台(中)、そして怪しい遊技場(笑。
晴れていれば(中)写真背景(手すりの向こう)には、東京湾がよく見えているはずだが・・・。
  


いつもなのか、今日だけなのか、定かではないが、今日のマザー牧場はかなりの人の入りである。展望台でのQRVを一旦終えて、昼飯チャージにむかうのだが、どこの食事処も長蛇の列である。ジンギスカンは少しはすいているようだが、さすがに一人でジンギスカン料理と言うわけにはいかない。菜の花畑を散歩しながらかなり時間をつぶしてみるのだが、人の列は一向に減る気配がない。待つのも面倒なので、適当に牧場のソフトクリームとソーセージにかじりついて済ませて、再QRVに向かうとしよう。ただ結果的にかなり長い間QRTしてしまった。

午後は牧草地へ
乳搾り牧場からは、なだらかに上に向かって緑の牧草地が延びている。午後のQRVはこの斜面を登った小高い場所からである。生々とした緑の斜面には、一面小さな草花が咲き乱れ、彩を与えている。観光客はなぜかここまではほとんど足を踏み入れてこない。(何もないので当然といえば当然だが。)この、もっとも牧歌的な光景を見逃しているようだ。

707を地面においてワッチ。午前中からずっとさしている薄日が、雲の流れとともに時として強さを増し、牧草と草花をさらに清清しく照らし出す。(=冒頭及び一番下の写真)

ここは、展望台より高さが低いものの、人口ノイズは皆無だ。707から出てくるホワイトノイズもいつもの健全な音である。ただ高さがない分、電波の飛び受けは展望台に上がる前の、遊園地脇と同程度の入感である。午後に入ってからは徐々に海外も入感しだし、7Chでは中国語の局が、5Chではいつもの通り英語局が騒いでいる。

大山山頂(神奈川県伊勢原市)にはカナガワCG61局が出られており、次から次へとQSOをされている。さすがに当局とは飛びが違う。新宿区のトウキョウTN923局、筑波山のつくばA3局などと交信されているのだが、当局側では残念ながらTN923局の信号は捕らえることができない。このロケでは新宿の平地との交信はやはり無理なのか?(・・・残念。) 高さがあるつくばA3局でさえ辛うじて、41程度で拾える程度である。孤峰のように突き出たわけでもなく、丘陵の牧草地なのでやはりこれが限界だろうか?午前中展望台の上では56で聞こえていた、かながわYS41局が再び聞こえてくるが、ここでは52~53程度の入感だ。お相手のムサシノAM634局は多摩地区から出られていると思われるが、これも当局側では信号を拾うことができない。ただ、聞いていると、YS41局は100mWも試されており、こちらにも51程度で高尾山からの100mW波が飛んできていた。このロケから唯一当局のCQに応答いただいたのは、YS41局と合同運用中のチバYT834局である。そういう意味では高尾山もロケとしてなかなか捨てたものではないのかもしれない。

今年は冬の寒さが厳しく、春は遠いと思っていた矢先、先週あたりから急激に気温が上昇、関東では夏日も出る始末だ。このまま一気に夏になってしまうのかと思うほど、今年の春は短そうだ。ただ、菜の花と、牧草地に咲き乱れた草花だけは、短い春を匂わせてくれた。 ('13/03)







運用データ
■運用日時・運用場所:
 
 2013年3月20日 10:30~14:45
    
 千葉県富津市マザー牧場(標高約280m~320m)
  
■使用&装備リグ:
  CB: ICB-707(SONY)
  DCR351(デジタル簡易無線):
      IC-DPR5 (ICOM)+1/4λホイップ (第一電波)
■使用電源(予備含む)
  ・Li-ion: 7.2V/6.2Ah×1、7.2V/1.8Ah×1 (DCR)
        10.8V/3.2Ah (707)  
       


QSO局 10QSO TNX!!  
(敬称略)

カナガワAD505/神奈川県伊勢原市大山中腹(DCR) M5/M5 チバCB750/千葉県鴨川市 59+/59
ヨコハマJA298/東京都稲城市見晴らし緑地 54/55 かながわYS41/東京都八王子市高尾山 56/59+
かごしまGL90/神奈川県伊勢原市大山 58/55 カナガワZ489/神奈川県横浜市港南区(DCR) M5/M5
トウキョウスカイツリーKJ1/東京都墨田区(DCR) M5/M5 かごしまGL90/神奈川県伊勢原市大山(DCR) M5/M5
かながわCG61/神奈川県伊勢原市大山山頂 55/54 チバYT834/東京都八王子市高尾山 51/51
DCR:デジタル簡易無線



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マザー牧場
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