2013運用記
しらびそ高原(GW一斉OAD)
長野県飯田市



[高原の林を通り抜ける澄んだ空気が見えるかのようだ。]



グランドウェーブ派は寂しい?
しらびそ高原で初めて運用したのは、2008年11月で、以来今回で5回目の運用である。GW一斉という意味では、2009年の時もここから運用している。標高は2,000m弱だが、東側は南アルプスの聖岳をはじめとする、3,000m級の連山に阻まれ、東にはほとんど飛ぶことはないので、どちらかというと西向きのロケである。その代り西向きには、大阪、奈良近辺の3エリアや、5エリアまで交信可能で、とても山間の2,000mに満たないロケとは思えない飛びをする。5エリア、トクシマMN72局とは、ここから2回ほどQSOさせていただいている。しかしメリットあれば逆にデメリットもありということで、時々ノイズで使い物にならない時があるのがこのロケの難点である。おそらく山荘「ハイランドしらびそ」の給湯器か何かから発せられるノイズと思われるが、時間帯によってはS2~3位振ってくることがある。今回はそれは承知の上で移動してみることにした。運用場所まで車でアクセス可能で、なおかつ、広い駐車場にテーブルとイスを展開して暖かいコーヒーを飲みながらのんびりと高原の空気を吸える(かもしれない)というのは大きな魅力だ。

5時15分着、気温はマイナス1℃、東の大沢岳(2,819m)の向こうからちょうど朝日が顔を出してくる。あたりの白樺の木々が、わずかにオレンジ色の光を反射させ始める。反対の西方向には、中央アルプス空木岳や駒ヶ岳の白い烏帽子が中空に浮かびあがり始めた。

今日のメインリグは790Tだ。当局の運用のベース(拠点)は名古屋と東京の二つに分かれているので、790Tは名古屋ベースのリグである。さっそくルーフにセット、ワッチを開始してみる。幸い、いつものジー、ジーというノイズは出ていないようだ。最近はイベントデーでも何とはなしに運用局が少ないような?チャンネル内はガラガラだ。3、4年前と大分状況が変わってきたような気がするのは当局だけだろうか?CB全体でみると、Es狙いの新局はかなり増えているように感じるが、早朝から高い場所に登って、グランドウェーブで稼ごうという局はむしろ減っているような気がする。グランドウェーブ派?の当局としては若干寂しいところである(笑。

 左:駐車場に到着するとちょうど朝日が上がってくる。
 中・右:メインリグは790Tで。
 


今日も早朝に現るNP152局(爆
しばらくワッチを続けると、ナガノAA601局の信号が入感してくる。今日は鉢伏山(長野県岡谷市)に移動されているようだ。実はこのしらびそは北方向にも飛び受けはよくない。ここより標高の高い(もしくは同等の)山々が北側へと連なっているからである。RS51で岡谷から入感してくるのは、むしろ上々である。ただ、朝から海外QRMが異様に活発で、時にS3~5を振ってくる。全チャンネル同様で、今日は特に低チャンネルが激しいようだ。しばらくすると、5Chではフィリピンからの英語局もやかましく入ってくる。F層は絶好調のようである。

 87R&DPR-5
 右奥は中央アルプス

本日のもう一台は87R。こちらも名古屋ベースの87Rだ。790をルーフに設置したまま、駐車場の柵伝いに歩きながら、CQを出してみる。この柵沿いの、一番隅に近い場所が、3エリアや5エリア向けに一番飛び受けが良い(と信じている)場所である。オオサカHNC24局が朝早くから運用されていたようで、さっそく和歌山県田辺市の護摩壇山から応答がある。相変わらず海外ノイズが厳しいのでRSは41だが、信号自体はクリアである。

こちらもいつも早朝から運用されているナガノNP152局とつながる。NP152局は、「早朝運用+いったん引っ込んで、後から再び運用」という、いつものパターンのようである。いつもの伊那リ(伊那スキーリゾート)からの運用のようで、こちらもどちらかというと北方向になるので、距離の割には信号は強くなくRSは51程度だ。しかも海外QRMが激しくかなり聞き取りづらい。しかし、この方向だとデジ簡をやってもとても通じそうにはない。NP152局とはいろいろ積もる話もあるが(笑、昼頃からの再QRVに期待してみることにする。

今年のゴールデンウイークは、天気は良いものの、気温が低く風が強い日が続いている。今日も弱い風が吹いているが、日が差しているせいか、凍えるほど寒いというわけではない。空は快晴で、太陽が南に回り始めてからは南アルプスの壮大な山肌が一層くっきり見えてきた。愛知県境にほど近い蛇峠山には、ナガノAF45局が出られておりデジ簡でつながる。先ほど着かれたようで、これから山頂まで移動されるようだ。(と言っても、車で行ける最終ポイントから頂上まではそれほど距離はない。)蛇峠山は、以前ナガノNP152局が2エリア向けQSOによく使われていた場所で、NP152局が「名誉2エリア会員」になっている所以でもある。AF45局はしらびそ高原への移動も考えておられたようだが、結局2、3、に加え9エリア向けにも飛びが期待できる蛇峠山を選ばれたようだ。

偶然のアイボール

車の脇にテーブルとイスを設置して、朝のコーヒーを楽しみながらのんびりくつろいでいると、デジ簡に超強力入感がある。音がひずむくらいなので、これはすぐ近くにおられるな、と思ったらやはり同じ駐車場内からだ(笑。ねりまTN39局である。車を誘導して、横付け、アイボールとなる。もともと今日は誰かしらびそに来られて合同運用となる予感がしていた。AF45局がかすっていたが(笑、TN39 局で見事的中だ(爆。

TN39局は昨日から来られているようだが、今日は朝から一旦下に降りて、午後また戻ってくる予定だという。昨日はCB、DCRに出たものの全くのボーズだったので、このロケは絶望的と判断されたらしい。しかも昨日は、例のノイズが出ていたらしい。「いやいやそんなことはありませんよ~。さっきも和歌山(オオサカHNC24局)や奈良県山添村(ならAI46局)とつながってますよ~」というと、昨日がボーズだっただけに全く信じられないようだ。このロケで運用されるのは初めてなので無理もない。当局の話を聞いてTN39局は、直ちに予定を変更(笑、合同運用することに決定。さっそくCBを運用し始めると、ならAI46局からコールがかかったり、DCRでQSOしたりと大忙しだ(笑。

ところが9時頃になると、例のジージーというノイズが出始める。今日はいつもより強力で、S5以上振ってくる。ハイランドしらびそへの電灯線もちょうど駐車場の上を通過しており、そこにノイズが乗ってくるせいもありそうだが、試しに建物の前まで移動して近づいてみるとS9+のノイズだ。これではひとたまりもない。TN39局とは信号がかぶらぬよう、すでに離れた場所からの合同運用となっているが、大丈夫だろうか。駐車場で1時間近く様子をうかがってみるが、今回は一向に収まる気配がない。こりゃダメか?

[GWらしい明るい日差しが降り注ぐ。ノイズがなければ最高なのだが・・・。]


ノイズにはめげません!

いつまで経ってもダメそうなので、当局も場所を移動してみる。AMの人工ノイズほど聞いていて気分の悪いものはない。移動先は適当に(笑、クレーターのある御池山の方向(南方向)だ。そう、しらびそには、知る人ぞ知る、国内では数少ないクレーターがあるのである。ただ、御池山の方に行き過ぎるとどんどん標高は下ってしまうので、ハイランドしらびそから2Km程離れた、何の変哲もない山中のハイキング道からQRVしてみることにする。ここまで来るとさすがにノイズは皆無、山の中のノイズレスの気持ち良い世界が広がる。標高は若干下がった感じだが、飛び受けは大丈夫だろうか?87R片手にワッチに入ると、伊那市戸倉山からナガノDF73局が入感してくる。岐阜県池田山からはアイチAE126局が声をかけてくれる。戸倉山からはRS52、池田山からはRS53での入感である。長野方向、そして岐阜方向に飛んでいるので、あまり問題はなさそうだ。最近は2エリアではほとんどQRVしていないので、AE126局とは本当に久しぶりのQSOだ。例によってこれからバーベキューをされるらしい。ヨコハマMK727局からもコールをいただく。ヨコハマコールでRS57と強力入感なので、どこからQRVされているのかと思いきや、ふもとの飯田市からのようである。

再び人工ノイズのない世界に戻ってみると、相変わらず海外QRMが騒々しい。ピュルルンノイズも時にS5オーバーを振ってくる。ノイズが厳しい中、奈良県御所市の大和葛城山からおおさかAK47局がコールしてくれる。やはり3エリア方向とは相性がよいようである。三重県青山高原からの信号もよく入ってくる。テンリMH784局ら、4局ほど集結されているようで、DCRも全く問題はない。

ハイキング道には誰一人通りかかることもない。下草も笹の低木で、いかにも高原らしい風情だが、さすがに3時間近く突っ立ていると、十分満足である。離れ離れで「合同運用」していたネリマTN39局も、すでに12時半前に下山されていった。「さて、そろそろ帰るか」と、87Rを抱きかかえたまま、ハイキング道を下り始めると、いきなりナガオカHR420局のCQが飛び込んでくる。ピーク53程度だ。ここは基本的に2エリア方向には開けている。おや、また長良川のあたりから出ているのかな、と思いつつコールしてみると、「/JR6」と言われており、今日は沖縄(国頭郡)に移動されているようである。今日は朝からEsの気配は全く感じなかったが、唐突な入感である。これまでにも、イベントデーにはHR420局のEs波が突然飛び込んできたことがあり、なぜか相性は良いようである(笑。

伊勢湾上にはアイチDI209/MM局が展開されており、先ほどからQSOが聞こえている。CQに応答する形で交信されているので、こちらからはなかなか呼び出すタイミングが合わないが、車に戻る手前で最後のCQを出してみると応答していただいた。こちらは午後になってから若干風が強くなり始めていたが、伊勢湾上はそよ風状態で、絶好の釣り日和のようである。途中アイチAE114局の信号も聞こえており、久々にお馴染みの2エリア各局とQSO、CBLすることができた。

当局が運用したハインキング道は、まださらに上に登ることができる。今回は途中から運用したが、まだまだ良いロケはありそうである。次回しらびそでの運用はいつになるか分からないが、これでノイズに悩まされることもないだろう。    ('13/5)

[このマフラーなら寒い冬も耐えられそう?(笑。展望台の横に佇むお地蔵さん。]



運用データ
■運用日時・運用場所:
 
 2013年5月4日 5:30~13:10
    
 長野県飯田市しらびそ高原(標高約1,910m)
  
■使用&装備リグ:
  CB: ICB-790T (SONY)、ICB-87R (SONY)
  DCR351(デジタル簡易無線):
      IC-DPR5 (ICOM)+1/4λホイップ (第一電波)
■使用電源(予備含む)
  ・Li-ion: 7.2V/6.2Ah×1、7.2V/1.8Ah×1 (DCR)
        10.8V/3.2Ah   
       


QSO局 21QSO TNX!!  
(敬称略)

ナガノAA601/長野県岡谷市鉢伏山 51/51 オオサカHNC24/和歌山県田辺市護摩壇山 41/41
ナガノNP152/長野県伊那市伊那スキーリゾート 51/51 シズオカAB635/静岡県浜松市天竜区竜頭山 51/41
しずおかDL8/静岡県浜松市天竜区竜頭山 51/41 シズオカDW33/静岡県浜松市天竜区竜頭山 51/41
ながのAF45/長野県下伊那郡阿智村蛇峠山(DCR) M5/M5 ナガノTM285/長野県上田市美ヶ原物見石 51/51
ながのAF45/長野県下伊那郡阿智村蛇峠山 57/56 ならAI46/奈良県山添村神野山 51/51
 ねりまTN39/長野県飯田市しらびそ高原(DCR) M5/M5  ながのDF73/長野県伊那市戸倉山 53/52 
ながのAF45/長野県下伊那郡阿智村  59+/57  ヨコハマMK727/長野県飯田市  57/53 
オオサカRX521/三重県青山高原第6駐車場(DCR)  M5/M5 ギフTY290/三重県津市  52/51 
おおさかAK47/奈良県御所市大和葛城山  51/51  テンリMH784/三重県青山高原第6駐車場(DCR)  M5/M5 
オオサカRX521/三重県青山高原第6駐車場 51/51  ナガオカHR420/JR6/沖縄県国頭郡  51/52 
アイチDI209/MM/愛知県伊勢湾  54/53     
DCR:デジタル簡易無線



ひとつ前の運用記 次の運用記  TOP



© Nagoya YK221