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コラム - バッテリー/電池


どこまでも遠くへ-電源さま お願いします!

2007年10月7日、その日、濃霧の伊吹山で、ICB-707を使って運用していた。たまたまリグには、珍しく乾電池が入っていた。いつものように外部電源で運用しながら、プラグを抜き差ししてみると…。どのようにコードを取り回しても、なんと電池のほうがSが2つ以上よいではないか。といっても耳Sは一緒、本当にどれだけ向上しているかは不明なのだが……。

CB機を運用していると、どうしても気になるのが電源である。CB機では、リグ自体はいじることができないので、少しでも工夫できるところはないかと、やはり電源をいじることを考えてみたくなる。効率よく電波を飛ばそうと、オキシライド電池を使って少しでも多くの電流を流そうとしたり、各局知恵を絞っている。その一方で、電池の減り具合などにはいっこうに無頓着、飛びが悪くなってから初めて電池を換えてなかったことに気付いた、などどいうおおらかな局もあり、各局千差万別であるからおもしろい。乾電池にあっては、オキシライドの他に、金パナがよいだとか、100円ショップ電池でも、XブランドはだめだがYブランドはOKだとか、いろいろと興味深い実験も尽きない。


当局の場合は、87Rを除いてすべて外部電源である。理由は乾電池が重たいからということもあるが、当局の性格からいって、どうしても乾電池を使い切ることができないのである。唯一乾電池を使っている87Rでも、1本あたり1.45Vを下回ると心配になってすぐ交換である。1.45Vといえば、通常の機器であれば十分まだまだ使える電圧であるが、8本直列のCB機にあっては、1本1.45Vでも、全体では11.6Vということになる。なんとなく、0.4Vも定格?を下回っていると、とびが悪くなるのではないか、と愚かな空想が頭をもたげてくる。

87Rで乾電池を使っているのは、87Rは単三なので、はずしても家庭内のあらゆる電池機器で使い道がたくさんあるからである。特小にも払い下げを使っている。ところがICB-707や790Tの単二電池や、770や580の単一電池というのは、こと当局に関してはほとんど使い道がないから、中途半端な電池を大量生産することが出来ないのである。最近よくある、単三電池を単二や単一に変換するケースを使うのも一つの手だが、そこまでやると払い下げ単三も使い道に困ってくる。

CBを始めてこの方、単二電池を買ったのは3回だけ、それもそのうち1回(1セット分)は、全く未使用である。単一は一度も買ったことがなければ、オークションで落札した580についてきた新品の金パナ9本も全く使用していない。

「一度でもいいから気持ちよく最後まで乾電池を使いきってみたい…・・」、当局の一生に一度の、ささやかな願いである。
ということで、当局の場合、2次電池を使用した外部電源が常用ということになる。

外部電源コード

ソニー製リグ用外部電源供給コード。ICB-770、790T運用時は常にこれを使用。コード途中の単4用電池ボックス2個にLM317を使用した安定化電源を内蔵、リチウムイオン電池から常に12.8V供給で、運用中の電圧降下の心配は皆無。

RJ-580用電源

以前から使用しているRJ-580用電源(リチウムイオンポリマー電池)。電池ボックスが大きく広く、3Ahの電池が楽々収まるので、乾電池感覚で内蔵して使用可能。4セルのシリーズで、安定化電源で13.8Vを常時供給。連続15時間以上は、常に13.8Vの安定した電圧を供給できる。プラグはすべて共通化しているので、電池を取り出して、このままパーソナルやIC-703(HF/50アマ機)で運用可能。
ちなみに、IC-703は鉛バッテリー電圧(12V+α)では、Max 5W運用しか出来ないが、リチウムイオンならフィールドから10W運用可能。(定格上限電圧は15.87V) この場合、電圧調整もいらないので、安定化電源による電力損失もゼロとなる。


外部電源で、電源コードによるアース効果を期待する局もあろう。確かに、車のルーフ運用では、電源コードをボディに沿って這わすと、容量的に結合されて、それなりの「影響」は確認できる。だがそれが「効果」であるかどうかは微妙なところで、常に比較できなければ、「効果」になっているのか「悪影響」になっているかは判定はできない。アマチュア等でアンテナを調整された方はすぐにお分かりと思うが、アンテナの給電点インピーダンスは周囲に何があるか、コードの引き回し具合、その長さ等によって、極端に変化する場合がある。電源コードによるアース効果が確認できたとしても、常にそれを再現することは非常に困難である。もしリグなどをオーバーホール等で「最良の状態」に調整してもらっていたとすれば、そのときにどのような条件(環境や電源)で調整をされているかにも左右されるであろう。ロッドアンテナごときでインピーダンスを議論するのは無意味かもしれないが、受けよりも飛びに影響するはずであるので、よりいっそう確認が困難ではある。

2次電池による外部電源のデメリットは何か?それは、当たり前だが、乾電池のようにリグ内蔵式ではないので、あちこち動き回るのに若干不便に感じることである。CBのような直接波の場合は位置取りによっては、2~3mずれるだけで、信号強度がかなり異なることがある。当局は軽量の電池(リチウムイオン電池)をリグ(770、790Tや707)と一緒に鷲づかみして(時にはポケットに入れて)、あたりをウロウロすることがあるが、やはり内臓式のほうが動きやすいことは言うまでもない。(ちなみに、もちろん、人間のボディでも「アース効果」はある。)

いずれにせよ、外部の影響を受けない形で運用したほうが、比較(ベースを一緒にする)のためにも、良さそうである...というのが当局の個人的な結論ではあるが、とはいえ単一電池を積み込んで770を運用する日というのは、当局には今後もまず訪れることはないような気がするのである。

707用「内部」電源

伊吹山運用後に製作したICB-707用電源(リチウムイオン電池)。内蔵型とすることで、外部コードの影響を排除。
乾電池の代わりにそのまま差込み、通常通りふたを閉めればOK。跳んでもはねても大丈夫。1セル700mA(2パラで1.4Ah)と容量的に少し物足りないが、5~6時間は運用可能のはず。長丁場のイベント時はこれを複数用意する。初期電圧(充電直後電圧)は12.5Vで、運用時間は、電圧降下をどこまで許容するかによる。製作コスト600円(一応新品未使用セルとのふれ込み)だが、半永久的に使用可能?。プラグは充電用兼他の機器へのアウトプット用。790Tも内蔵型にしたいが、電池ボックスの構造上なかなか攻略が難しい(笑)。目下思案中。


リチウムイオン電池: 使い方を誤ると

うっかり過放電してしまったリチウムイオンポリマー電池。1.2A(0.4CA)で充電実験してみると.....。1時間もしないうちに触れないくらい温度が上昇、容器は大きく膨張。破裂寸前?で中止することに。(写真ではよく分からないが、相当膨らんでいる。実験直後はもっと膨張していた。熱のせいか、文字もにじんでいる。決してマネをしないでください。)市販のリチウム電池は専用ICによる電子回路が電池パックに内蔵されており、数mVレベルで管理を行っており、過放電や過充電がおきないようになっている。自分でセルを購入してくる場合はすべてが自己責任である。充電は0.5CA程度で、絶対にセルあたり4.2Vを超えてはならない。
*リチウムイオンは満充電で保管すると劣化が早く、ニッケル水素等と同様、低充電レベルで保管すべきとされる。常に満充電で保管すべき鉛電池とは逆だが、放電状態で放置するのと、満充電(過充電ではない)状態で保管するのとどちらがリスクが高いかといえば、放電状態である。したがって、自作の場合はもとより、保護回路付の場合でも、使わないときは充電レベル30%~50%くらいのレベルで留めて、保管するようにしたほうがよい。
リチウムイオンは、起電力が高い、高容量、メモリー効果がない、内部抵抗が低い(従って大電流が取り出せ、かつ自己電圧降下が少ない)など、一度使うと二度とニッケル水素などは使えなくなるほどすばらしい電池である。ノートパソコン、カメラ、携帯をはじめ、家庭内にかなり浸透しているが、セル単位で取り扱う時は、相当の注意が必要である。

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