5月3日(OAD 1日目)

大台ヶ原(奈良県上北山村)で運用するのもかれこれ10回目くらいになるだろうか。連休の後半、すでに始まった上りの高速の渋滞を尻目に、午後5時、ビジターセンターのある駐車場に到着する。

さっそく車のルーフにリグを載せて、ワッチに入ってみるが、入感局はないようだ。バンド内も静かで海外局も時々聞こえてくる程度だ。CQも出してみるが、大阪、奈良方面の3エリア側からも応答はない。8Chをワッチしながら、いろいろ明日の準備や夕食を食べているとアッという間に時間が過ぎる。

駐車場の標高は1,570mほどしかないが、それでも日が沈むと気温も急激に下がり始める。イヤホンを車内に引き込んでワッチを続けていると、しずおかDD23局のCQが入感してくる。駐車場(特に東方向)は山に囲まれ窪地になっているので、周囲からの入感は厳しいのだが、それでもさすがに富士山5合目(富士宮口、直線273Km)からはS4を振ってくる。去年のGWのOADもDD23局とのQSOでスタートしたが、今年も同じパターンだ(笑)。
その後は、のんびり赤ワインを空けながら入感を待つが、正式開始時刻?21時を過ぎても運用局は聞こえてこない。ルーフに放置した790Tも夜露に濡れてくるので、10時前には撤収、早めに寝袋に収まる。



5月4日(OAD 本番)

朝3時半、寝袋の中から窓越しに外を見上げると、空はぼんやりと月が輝いている。明かりは他に何もないのだが、それでも月明かりだけで不自由しないくらい、ほとんどの景色が見える。どうも空はガスっているようだが、それほど濃くはないようだ。とにかく雨の多い大台ヶ原なので、天気が悪くないだけでラッキーだ。

午前4時20分、日出ヶ岳山頂(1,695m)にやってくると、まだ真っ暗だが、すでにハイカーが2人おられる。駐車場では全く感じなかったが、南西からの強風が台風が通り過ぎた直後のように間断なく吹き付けている。気温は7度程だが、体感温度をかなり押し下げていた。三重県側に目を落とすと、暗闇の向こうに、赤、オレンジの尾鷲漁港らしき夜景も見えている。夜明け前なので良く分からないがガスはどうやら水平方向以上にかかっているようだ。



ダイナミックレンジ
ヘッドランプを照らしながら、いつもの丸太イスの前に790Tをセッティング、アサイチの、まだダイナミックレンジの広い、静かなチャンネルノイズが聞こえてくる。
いつものOADならこの時間にはすでにチャンネルの半分くらい埋まっていても良いのだが、今日は誰も聞こえない(笑)。CQを出し始めて10分くらい経過し、ようやく伊豆半島移動のスギナミAA530/2局にピックアップいただく。スギナミAA530局とは、1エリア移動時につなげていただいているが、今日は西伊豆まで移動されて仁科峠(静岡県賀茂郡)から出ておられるようだ。

3chでCQを出していると、続いてイワオさん、こと、ミエAA469/9局にコールを頂く。469局が石川県能登半島の宝立山に移動される情報は知っていたが、まさか大台ケ原からつながるとは思ってもいなかった(沿面394Km)。朝早いので、ノイズレベルはまだ低い。宝立山からの信号は非常にクリアーで、全く普通に聞こえてくる。朝一番の、低ノイズレベルの雰囲気とあいまった、スピーカーから響いてくる信号音は魅惑的だ。Sメータは1ちょっとの振れだが、聴感的には52以上である。469局側でもSメータ1.5程度振れているようだ。

469局は、比較的低地から、数々のグランドウェーブDX記録を打ち立てられているので、「今日もDX記録期待していますよ~」、とイワオさんのDXを祈念してQSOを終了する。まだ5時前なのだが、それにしても、イワオさんずいぶん早起きだぁ。

丸太イス
いつもの丸太イスの前に、790Tをセッティング。展望台ではハイカーの邪魔になるので、CBは全く運用しない。
6時前にはガラガラの山頂(写真のとおり)だが、昼ごろには展望台は人で一杯になる。



OADの割には、やはり運用局が少ないのか、5時台につながったのはわずか3局だけである。風を避けて、10mほど離れた展望台下に、バーナーを設置、コーヒーを淹れて体を温めながら運用を続ける。

6時台に入ってもしばらく入感局はない。CQも空振りが続く。山頂へは徐々に登ってくる人が増え始めていた。ワッチを続けていると、久々にガツンと入感局がある。ギフAA365/9局、北アルプスの立山移動だ(直線298Km)。すでにパイルアップになりかけているが、しばしのスタンバイでピックアップいただく。まだ頂上?には到着されていないようで、どうも途中からQRVされているようだが、53で信号レベルは全く問題ない。変調も力強い。この時期に立山に登るというのも並大抵のことではない。365局が立山に移動されることは知っていたので、無事変調音が聞こえてきて安心する。


とうきょうCT73局/八丈島移動
伊勢市の朝熊山には、サイタマHK123局が、移動されている。距離が近いのでさすがに、59+の強力入感である。HK123局とも、いつも1エリアでQSO頂いている。2エリア掲示板では、OADではこちらに来られるというので、こちらでもQSOできるなあと期待していたが、家族サービス中ということで時間制限もあり、ショートQSOで失礼する。

8chでのHK123局とのQSOを終えると、コールがかかる。八丈島移動のとうきょうCT73局である。CT73局の移動情報も勿論知っていた。カシミールで見ると完全に海の底だが(沿面360Km)、ひょっとして大台ヶ原からもつながるかも、と思っていたが、52/53で全く普通に聞こえてくる。CT73局は、10mも運用されるようだったので、遡ること5/2日午後には、久しぶりに移動用のアマ機を引っ張り出して名古屋の自宅近くの公園に移動、4時間ほど10mをワッチしていた。28.345では入感なし。305では静岡の焼津?近辺のローカル同士のラグチューが聞こえるのみだった。コールサインが途中まで一緒だったので、一瞬どきっとしたが、全く別の局だった(笑)。53程度でQSBがかかって入感してくる。




5月2日:
9m竿+λ/2(5.4m)LCマッチング電圧給電。
久々に、アマコール(JP2LCQ)をしゃべったような・・・(笑)。



いつものリグ?
7時台に入っても運用局数はあまりパッとしないが、京都府福知山市移動のきょうとKP127局が入感してくる。KP127局とは、イベントではなぜか終わりの時間帯につながることが多いのだが、この日は早めの時間帯につながる。今日は福知山の大江山に移動されているようだ。同じリグで出ていられるのだろうか、昨年7月のQSO時に聞いたときと同じ音質が伝わってくる。ビールの宣伝コピーではないが、コクがあってキレがある、というのはまさにこのことだ。R5あるいは770系?であると通常どんより曇った変調音になりがちなのだが、KP127局の場合、低域のパンチ+ハイエンド(と言っても中域だが)まで延びた、どちらかと言うとハイファイ系の変調音だ。輪郭がシャープに浮き上がるのが印象的である。

大台ヶ原から鳥取の大山(直線269Km)はいつもCBでつながるが、今日はヒロシマHC733局が運用されている。いつもは52程度の入感だが、QSOの間に双方位置取りを工夫してみると、お互い55と強力になる。HC733局は大山の西側の山頂、弥山から出られているようで、雪が多かった今年の冬だがもう登山道には雪がないようである。CBでのHC733局とのQSOは何事もなく終わるのだが…

パーソナル
パーソナルの運用は今日は1WのPR-6のみである。パーソナルはもともと運用局は少ないので、7時を過ぎたころからスイッチオン、時たま展望台に上がって何も期待せずにCQを出していた。8時過ぎに、展望台に上がって何気にCQを出してみると、なんと大山のHC733局から応答がある。1時間前にCBで交信した時はパーソナルの「パ」の字も話していなかったので、びっくりする。HC733局が、パーソナルを持ち合わせているとは全然思っていなかったが、しかし、この意外性がなんとも楽しい。聞いてみるとHC733局も1Wハンディ機で、マルハマのREX-90である。大山とはCBで何度も交信しているが、パーソナルで交信したのは初めてである。QSOの後で思い出したが、大山(弥山)と大台ヶ原は、実は奈良県側の山腹に阻まれて完全な見通しではない。しかし1W出力でも余裕で270Kmを飛んでくる。
パーソナルでは、この後、伊勢湾上からMM運用でおなじみのアイチDI209局、木曽御嶽のなごやCE79/0局(226Km)、西伊豆からは、スギナミAA530/2局(262Km)などに応答いただいた。


PR-6&DJ-R20D
特小3A-L10-08は、ヒロシマHC733局設置の鳥取大山臨時レピータ。パーソナルでQSO中に教えてくれる。パーソナル終了後に試してみるが、ピンポイントでピピっとレピータを掴むことは確認できたが、変調は乗らなかったようだ。
案内板
カシミール風の絵が…


修行が足りない!
9時ころになると、海外局のかぶりと、国内のトラック同士のラグチューなどが激しく入感してきて、非常に運用しづらくなってくる。六甲山移動のこうべAA805局とのQSO後には、ひょうご3946局からもコールを頂くが、申し訳ないことに、信号強度が厳しいのと海外ノイズが激しくどうしても取り切れない。この状態は一向におさまる気配がなかった。チャンネルはようやく半分以上が埋まる状態になってきてはいたが、それでもやはりいつもより運用局が少ないような気がする。9時過ぎと言えば、もういい加減良い時間なのだが…。

こうべAA805局とは、「高曇りなのでEsが出るにはよさそうなコンディションですね」などど言っていたが、予想に反せず11時近くになると、やがてシングルスーパーの790Tにイメージ混信が入り始めてくる。Esアラームである。聞いていると九州移動各局が入り始める。すでにQSOを終えた各局さんを含めてこんなに移動局があったの?というくらい3、2エリア各局が一斉に呼び始める(笑)。1エリアからは一人、Es局に混じって、箱根駒ヶ岳からローカルサービス中のヒョウゴAC315/1局がダブって聞こえてくる(笑)。あちらにはEsはまだ落ちていないようだ。

高い所にいる時は、多くの局に迷惑がかかるかもしれないので、極力Es局は呼ばないことにしているが、しばらく聞いていると、とうとうこらえ切れなくなって、ついついコールしてしまう。人間の性か(爆)。イワテB73/6局とフクオカNS45局とは一発必中だったが、かごしまSS167局には3回ほどコールを要してしまう。個人的な戒めなのでどうでも良いことだが、まさしく煩悩の世界、まだまだ修行が足りない(笑)。

1、2チャンネルに移ってQSOを続けるが、海外とトラック局でほとんど使い物にならないくらい、騒々しい。一方、昼近くになると、山頂にはどんどん人がやってくる。展望台もあふれんばかりだ。当局は展望台から離れた場所で運用しているが、例によってオジサンがやってきて声をかけてくる。
「ハワイまで飛びますか?」
「???…」 なぜ、いきなりハワイなのか良く分からないが、「羽合温泉ぐらいまでなら…」と、超寒いオヤジギャグを飛ばそうとするも、冗談が通じそうもないので、「ま、鳥取の…大山とか伊豆半島くらいですかね~」と切り替えてみた。その後も都合3人くらいに声をかけられただろうか。

2年前の再現
Esもひと段落した頃、4Chを聞いていると、ヒョウゴAC315/1局が再び聞こえてくる。先ほどはコールを頂いていたが、Es局と重なったため、超ショートQSOで失礼していた。今度はこちらからコールし、ピックアップいただく。先ほどは、どうも当局の移動地すら満足に伝えていなかったらしい。「奈良の大台ヶ原です」、と言うと、ヘリカルアンテナ機の87Hを持って来ているので、送受信実験をしてみましょう、ということになる。

実はAC315局とは、ちょうど2年前、当局がもう20Km程奈良県側に入った、近畿の最高峰(と言っても、1,995m)八剣山で運用した際、今日と同じ箱根駒ヶ岳移動のAC315局と87Hで実験をする予定だった。(八剣山は、駒ヶ岳まで見通し外沿面320Km)しかしそのときは、500mWでの交信終了後、箱根側の急な天候悪化で、87Hの実験は断念せざるを得なくなった経緯があった。今回は87Hを持っておられることはもとより、315局が箱根に移動されることすら知らなかった。しかしこうしてチャンスが廻ってくる。

87Hで送信してもらうと、海外ノイズの切れ間に、蚊の鳴くような声だが、315局の変調が厳しいながら聞こえてくる。RS31。信号をミニチュアにしたようなこの感覚は、50mW機のラシーバを聞いているときの感覚に酷似している。
今日はノイズが激しいので、ノイズが高まるとかき消されてしまうが、ノイズの少ない深夜等であればオールコピーで聞こえるのではないか。当局からの信号は51と言われていたようだが、500mWに戻って確認してみると、やはり87Hで51で受信できていたようである。見通し外300Kmほどなので、ヘリカル機もなかなかのものである。

「最後のCQ」
14時半近くになり、引き上げるにはちょうどよい頃合になってきた。今日の帰りは、どうせ大渋滞につかまるからと、いつもより遅くまで運用していた。運用局数がいつもより少ないなあと思いつつ運用してきたが、ふとログを見ると、運用時間が長かったせいか、QSO局数もQSO数も、そこそこの数になっている。

さて、そろそろコーヒーを一杯淹れて撤収作業にかかろうか、と丸太イスから腰を上げると、脇で横になっていたPR-6の27144が立ち上がる。ながのAF45局(長野県平谷村移動)だった。AF45局とは、既にCBでは5時間以上も前につながっていた(笑)。HC733局の時もそうだったが、みんさんパーソナルでのQSOは当てにしていないので、CBでQSO中もパーソナルのことはほとんど会話に出ることがない。しかし、帰り際などに念のため最後にCQを出してみるとつながる、というパターンである。でもその意外性が面白いのかもしれない。「パーソナルでまさか最後につながるとは思っていませんでした」、というのがAF45局のコメントだが、これはまさしく当局も同感である。
                                      ('10/5)


運用データ
運用日:
  2010年5月3日(祝、月)17:30~21:30
       5月4日(祝、火)04:30~14:30

運用場所:
  奈良県上北山村大台ヶ原 
  日出ヶ岳(標高1,695m)
       
使用リグ:
  ICB-790T、ICB-87R
  PR-6
  DJ-R20D


QSO局(敬称略)

しずおかDD23/富士山5合目(静岡県富士宮口)(5月3日) 54/42 スギナミAA530/2/静岡県賀茂郡仁科峠 51/51
ミエAA469/9/石川県珠洲市宝立山 51/51 アイチZX150/愛知県瀬戸市定光寺 51/51
ながおかHR420/岐阜県揖斐郡池田山 52/53 キンキCJ86/大阪府枚方市平方大橋 52/52
ギフAA365/9/富山県立山 53/53 キンキAC846/大阪府和泉市三国山 56/55
サイタマHK123/2/三重県伊勢市朝熊山展望台 59+/58 とうきょうCT73/東京都八丈島 52/53
ヒロシマHC733/鳥取県大山(弥山山頂) 55/55 ミエAC129/三重県四日市市四日市港 (PR) M5/M5
きょうとKP127/京都府福知山市大江山 58/53 ヒョウゴAB245/兵庫県宝塚市 59+/57
ヒロシマHC733/鳥取県大山(弥山)(PR) M5/M5 ながのAF45/長野県下伊那郡平谷村高嶺山 54/55
シガBR101/滋賀県長浜市鳥越峠 42/53 トクシマMN72/徳島県那賀郡高城山 52/52
ヒダタカヤマKO105/岐阜県下呂市大平御嶽展望台 42/52 アイチDI209/MM/伊勢湾 (PR) M5/M5
こうべAA805/兵庫県六甲山 59/53 アイチAE114/0/長野県御嶽中腹 56/56
イワテB73/6/鹿児島県 53/53 フクオカNS45/福岡県 56/54
ヒョウゴAC315/1/神奈川県箱根町駒ヶ岳 51/52 かごしまSS167/鹿児島県 56/57
しずおかCA18/静岡県伊豆十国峠 41/53 ギフTY32/岐阜県郡上市高賀山 42/53
アイチAE126/岐阜県揖斐郡池田山 53/ なごやCE79/0/長野県御嶽中腹 58/
ひょうご3946 51/52 オオサカKA06/大阪府千早赤阪村金剛山 52/52
おおさか1380/奈良県御所市大和葛城山 52/52 アイチFB158/岐阜県上矢作町大船山 58/55
キョウトZZ566/三重県青山高原  57/55  なごやCE79/0/長野県御嶽中腹 (PR) M5/M5 
ヒョウゴAC315/1/神奈川県箱根町駒ヶ岳(87H)  31/51  スギナミAA530/2 (PR) M5/M4~5 
ミエZ3899/三重県四日市市四日市港  51/52  ヒョウゴZZ285/兵庫県宝塚市  51/41 
アイチZX150/愛知県小牧市白山神社(2回目)  51/55  ながのAF45/長野県下伊那郡平谷村高嶺山 (PR)  M5/M5
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 '10/05/03~04: 奈良県上北山村