奥武蔵の主
武甲山は、標高1,300mほどの山だが、都心から見ていても、奥多摩の峰峰が連なる山脈の右端に、一目でそれと分かるほど、ピラミッド型の山容が目立つ山である。
昨日の天気予報では、今日(日曜日)は晴れ。しかし、登り始める前から今にも雨が降り出しそうなくらいに、どんよりと曇っている。山頂まで到達すると、10分ほどは雲が切れ青空も覗くが、それを最後に上も下も濃いガスに覆われ視界が効くのはせいぜい100mほどだ。天気予報は最近外れることが多いが、2週間前に登った火打山のように、逆に外れるときもあるので余り文句は言えない。
山頂には展望所が2箇所ある。石灰の掘削で有名なこの山は、山頂北側の斜面は既に削り取られ、断崖絶壁状態である。山頂西側の第1展望所は、転落防止のためフェンスが2重に張り巡らされている。展望所も含めて山頂は木々が高く、北側の群馬・栃木方面には視界が開けているが、東京方面も含め東、南、西方面は電波が影響を受けそうだ。とりあえず、山頂東側の第2展望所にQRVしてみる。展望所といっても、こちらは少し視界が開けたフェンスのところまで接近できるようになっているだけのスペースがあるだけである。気温は12度。本来なら下界に秩父の街並みが一望できるはずだが、ガスで真っ白の世界で、完全に視界は閉ざされている(笑。本日のメインの目的は、日立のCB機CH-1033Rと、デジタル簡易無線DCRの試運用である。
CH-1033R
CH-1033 Rは、検定機と技適機時代にまたがって販売されていたリグで、検定機時代は、1981年に日立製作所が検定を取得している。技適機の方は、日立ではなく (株)ゼネラルリサーチオブエレクトロニックス社(GRE社)が証明を取得しているようで、技適時代は同社がOEM生産していた可能性もあるリグである(真相不明)。同じく日立の500mW機であるCH-580も同社が技適を取得しており、低周波出力の出方などは、気のせいか同じような雰囲気を感じさせる。
GRE社は、OEMだけでなく各種無線機のODMメーカーとしても昔から実績がある会社である。設計から生産まで一貫して「お任せ」であるODM(Original Design Manufacturing)は、技術を委託元から供与され単に生産するだけのOEMとは全く違い、開発力も含めて相当の技術力が要求される。「ODM」は、いわば、ラベルだけが委託元で、モノや技術力はODMメーカーの製品そのものといえる。仮にGRE社が1033R (もしくは「R」のない、先代のCH-1033)の当初の設計から手がけていたのだとすれば、このリグの技術は、GRE社そのものということになる。
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CH-1033 Rの搭載チャンネルは1チャンネルのみで、Sメータもなければ、スケルチもない。あるのはアンテナと、ラジオによくあるロータリー式のスイッチ兼ボリュームのみである。もともとは70年代初頭の設計のようだが、この手のデザイン・色使いなどは、CB機の中では一種独特だ。当局のリグは技適機だが、証明番号からすると、技適に入ってすぐの1982~83年製である。したがって製造後、もう30年近くたっていることになる。
9:57分、1033Rのマイク兼用の真っ黒なスピーカーグリルに向かって本日の第一声を出してみる。早速群馬県太田市金山移動のマエバシHS75局よりコールバックが入感してくる。たまたま本機は3Ch(27.040MHz)仕様なので、CQを出すには好都合だ。HS75局からのRSレポートは55で申し分ない。HS75局からの信号が強力(耳S55~56)なこともあるが、受信音も100mW機とは思えない?線の太さだ。
「全く普通に使えるなぁ~」、と思いつつ、CQを続けていると、東秩父村のぐんまRB32局、丸山移動のさいたまBY36局とも立て続けにつながる。両局とも距離はないがこちらからの信号は57、59で飛んでいるようだ。
87Rと並べて一緒に聞いていると、比較的細かい信号も拾っている。感度もこの種のSメータのない100mW機と比較すると水準以上のようだ。ただ今日は、運動会やスポーツイベントでお相手していただける局数も余り多くないようなので、試運用の続きは次回の楽しみとして、CBは、より遠距離仕様の87Rに切り替えて運用を続けてみる。山頂から下は相変わらずガスが濃厚にかかったままで、視程は50m~100mくらいを行ったりきたりだ。
DCR351
山頂から東京方面には木々が生い茂っている。UHFとしては伝播上厳しめになるのか、DCRでつながるのは、主に埼玉から北方面である。15Chの呼び出しチャンネルで、8ChでCQを出す旨コール、QSYすると、さっそく応答がある。さすがは首都圏(笑、すぐに交信相手が見つかる。行田市固定のサイタマ599局、川越のさいたまR32局とつながる。R32局は窓辺にアンテナを置かれて交信されているようだ。
各チャンネルをワッチしていると、QSO中の一般の業務局もちらほら聞こえてくる。16ChではトウキョウST131局が筑波山から運用されており、ビンビンに入感してくる。DCRはスケルチが効いているのと、デジタル復調なので、信号がないときは全くの無音、逆に入感時はM5と、その間の「中間」が全くなくその差が際立っている。信号が弱いときは途切れるだけだ。11m
AMのようなアナログ的な連続性や不要なノイズは一切ないので、シ~ンと静まり返った運用感覚は最初は若干違和感を覚える。ただ、デジタルに切り替わった当初の携帯電話の音声のように、時々聞きづらい場面も残っているので、復調音もまだまだこれから進化するに違いない。
つながった各局さんにいろいろ話を伺っていると、発売当初から使用している局長さんなどは、今年に入ってから運用局が急増したと言われている。チャンネルもすぐに目一杯になる日が来るのかもしれない。
今回、DCRは外部電源仕様(乾電池用ボックス)で、6.4Ahのリチウムイオンである。交信局数7局、送信時間の約2/3は5W送信、1/3は1W送信だが、4時間の常運用でも、最後の最後まで5W送信中でも、残容量を示す「電池マーク」はフル点灯だった。DPR-5の場合、定格上の送信時のMax電流は2.2Aである。6.4Ahは、4パラだが、容量を稼ぐ意味合いよりも、パラレルで電池1本あたりの電流を抑えることの方が肝要である。当たり前だが、単なる直列では、1本あたり2.2A、2パラで1.1A、4パラで0.55Aである。2.2と0.55では電池に対する負荷は雲泥の差だ。単なるシリーズ接続では、流す電流が多ければ電池の内部抵抗による電圧降下ですぐに、「電池マーク」は消灯しだす。当局は日本製の古い電池を使用しているので、4パラでも6.4Ahの容量しかないが、その代わり信頼性は抜群である。最新の18650タイプの電池なら、4パラなら12Ahはいける。正規品なら台湾製などでもよいが、まがいもののリチウムイオン電池は2Aも流すとすぐに発熱するので要注意である。それだけ内部抵抗が高いということで、電圧降下であっという間に「電池マーク」は消灯しだす(笑。
(注意:通常の乾電池ボックスにはDC入力ジャックは付いていません。)
ロールコールへ |
4/100
今日は日曜日なので、いたばしAB303局さんが、「いたばしロールコール」を予定されている。AB303局さんは、百名山からのRCを目指されており、今日は4座目になるはずだ。RC情報の詳細はノーチェックで出てきたが、CBでつながったサイタマAB960局、まちだSG26局に、運用時間やチャンネル、開始時間が30分遅れている等、懇切丁寧に詳細な情報を頂く。(TNX!! AB960局&SG26局)
AB960局、SG26局の情報によると、RCは特小が13:30~、CBは14時からで、当初の予定時間より30分ほど遅れて開始されるようだ。(場所は那須の茶臼岳)しかしCBでQSOに入っていると、ついつい13:30を回ってしまう。後ろでモニター中の特小L03が、何かぼそぼそ言っていたような気もするが、CBの交信中に途絶えてしまう。40分過ぎ、再びSG26局にコールを頂き、茶臼岳にレピータが上がっていることを教えていただく。(TNX!!
SG26局) CBの方は、なごやAB449局とのショートQSOを最後に切り上げ、いよいよ特小の入感具合を探ってみる。先ほど何かぼそぼそ言っていたL03は反応はない。SG26局に教えていただいたレピータチャンネル、15-08にあわせてアクセスを探ってみると……パチンコ屋の業務連絡が入感してくる(笑。
パチンコ屋のレピータともダブルアクセスしているのかもしれないが、業務連絡の間髪を縫ってアクセスを繰り返していると、時々ピピっと茶臼岳らしきレピーターも捕まえているようだ。しかし位置取りはきわめて微妙だ。するとなぜか、ナゴヤAB449局のCQが、よどみなく聞こえてくるではないか。これってレピータか???AB449局とはCBでの超ショートQSOで、逗子の二子山とロケを確認している。果たして逗子から茶臼まで飛んでいるのか???(A/Bはチェックしたが間違いなし)しかし、こちらからは何度呼びかけてもダメだ。代わりに56番台処理中のパチンコ屋店員には、AB449局を呼ぶ当局の声が届いていたかもしれない(笑。
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第1展望所 |
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茶屋へ秩父巡礼 札所28番 |
やっぱり味噌おでん30分経たないうちにビール3缶ほど空け退出。 |
実は金時が絶品だったXYL手作り。最後に煮物までサービスで出してく れた。 |
厳かに、ゆるりと時間が・・・過ぎていく。おでん用の手づくり柚子味噌も販売中。 |
運用データ |
西武秩父駅からの武甲山(帰途撮影) |
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QSO局:
CB、DCR(デジタル簡易無線)、特小
(敬称略)
10/02:武甲山 山頂 | |||
マエバシHS75/群馬県太田市金山 | 45/55 | グンマRB32/埼玉県東秩父村 | M5/57 |
サイタマBY36/埼玉県秩父市丸山 | 59/59 | トウキョウAB625/東京都立川市 | 52/53 |
サイタマ599/埼玉県行田市 (DCR) | M5/M5 | サイタマR32/埼玉県川越市 (DCR) | M5/M5 |
トウキョウST131/茨城県筑波山女体山 (DCR) | M5/M5 | カナガワCE47/神奈川県相模原市城山湖 | 52/52 |
サイタマMC305/埼玉県白岡町 (DCR) | M5/M5 | サイタマBX71/埼玉県越谷市 (DCR) | M5/M5 |
サイタマAB960/埼玉県比企郡川島町 | 58/58 | さいたまBB85/群馬県邑楽郡千代田町 | 56/59+ |
グンマCB85/群馬県邑楽郡千代田町 | 54/54 | まちだSG26/東京都町田市尾根緑道 | 55/M5 |
サイタマAD421/埼玉県刈場坂峠 | 59/59 | おおさと59/埼玉県深谷市 | 55/58 |
グンマCB85/群馬県邑楽郡千代田町 (特小単信) | M5/M4 | サイタマDF68/埼玉県さいたま市緑区 (DCR) | M5/M5 |
グンマ1328/群馬県前橋市 (DCR) | M5/M5? | スギナミMH1212/東京都杉並区富士見が丘 | 53/M5 |
トウキョウLM502/東京都立川市 | 56/56 | ながのK2/1/群馬県渋峠 | 54/55 |
ナゴヤAB449/1/神奈川県逗子市二子山 | 59/55 | いたばしAB303/栃木県那須郡那須町茶臼岳 | 53/54 |
© Nagoya YK221
2011運用記 | ||
'11/10 埼玉県秩父市・横瀬町 |