2022運用記
太東埼
千葉県いすみ市



[太東崎: 5月の陽光が降り注ぐ] 






本日のリグは??



今日は、崖下から響いてくる潮騒は、心なしかいつもより小さいような気もする。それでもこの岬の上に立っているというだけで、満足感は十分なのかもしれない。

ちょうど10年前の同じ5月、この太東埼の展望所に立ち、長野県の伊那リ(伊那スキーリゾート)におられる、ナガノNP152局と山岳回折交信にトライしていた。まだ、朝5時過ぎだった。

早朝のうちに山岳回折実験を終え、ちょうど今頃の時間は展望所のベンチに寝転がって、目を閉じて潮騒だけが聞こえてくる世界に身をゆだねていたころだ。その日も5月らしい、さわやかで気持ちよい天気だった。(⇒運用記はこちら

その日、潮騒だけが聞こえてくる静寂を破って入ってきたEsの一発目は、イワテB73局だった。今日もリグをセッティングしてしばらくすると、最初に聞こえてきたのはB73局だ。10年前と同様、九州におられるのか???

その時のリグは、まどろみながら聞くともなしに聞いていた707、しかし今日のリグは「NASA7208DX」である。NASA7208DXといえば、言わずと知れたしずおかDD23局が技適を通された、かの有名な??リグだ。DD23局と、6月に予定している当局の恒例の「南の島」運用の話をしていたところ、ありがたくも今回は7208DXを貸し出してくれるというのだ。昨年の沖永良部島運用では、同局の新技適機「東海770DX」をお貸しいただいた。両方とも、世界でオンリーワンの大切なリグ、しかも大変な優れもの、お借りして運用できるのは非常に光栄である。




習熟運転に専念


昨年お借りした東海770DXは、外見上からはオリジナルの770と区別はつかないが、その中身は全くの別物、その場の空間ノイズを表現できるという、恐るべきリグだった。7208DXはNASA機をベースとしてはいるものの、筐体後部にアンテナチューナーを搭載しており、それに合わせて内部も大幅に改良してある。大きなキャリーイングハンドル兼スタンドも装備しており、東海770DXとは異なり、外見上もオリジナルとは全く別物であることがわかる。

7208DXについては、『技適取得完了』とDD23局から連絡を頂いたのが2019年2月5日のことだ。試験直後で会場近辺からだったと思う。その後、最初の試運用で、ヤマグチAA123局らとEs QSOされているのにたまたま出くわしたり(⇒運用記はこちら)、その1年後には、CQ出版社の「RFワールド」誌で15ページに及ぶ特設記事が組まれた時にも、運用記の中でふれている。7208DXには、一方的に少なからぬ縁を感じるが(笑、その時にも、『アンテナチューナー付きのCB機がうらやましい』とコメントした通り、一度でもいいからそういうリグを運用してみたいと思っていたのだが、今日それが実現しそうだ(笑。TNX!!DD23局。

ただし、今日はその嬉しさをかみしめつつも、主目的はガンガンに運用するということではなく、ワッチを中心に7208DXの使い方に習熟することである。「南の島」運用時に初めて使って、使い方でうろうろしないようにするためである。そうは言ってもどうしても聞こえ方とかが気になるのが人情(笑、一応NTS115で並行ワッチしながらの運用である。


昨日の夜届いたばかりの7208DXをベンチに並べてみる。ハンドル兼用のスタンドはがっちりとしていてびくともしない。アンテナチューナー付きの7208DXはズシリと重いので、よくできた造りである。もちろん角度も変えられる。

2~3時間の運用では、インプレッションを語るにはふさわしくないので、この運用記ではあえてふれないことにするが、その代わり前述の通り「南の島」運用を6月に予定しているので、その運用記の中でたっぷり?報告させていただくことにする。・・・予定通りに行ければの話ですが(笑。乞う、ご期待!!!???

ただ、感心したことを一点だけ先に言うならば、全帯域に渡って汚い電波を発する違法局の被りがある中で、このリグは目的とする合法局の信号が相対的に浮き上がって聞こえてくることだ。これは東海770DXにも共通していたことである。通常のリグは、QSBなどでは両者並行して同じレベルで上がり下がりして聞こえてくる。

DD23局にこのことを確認すると、特別にその点を意識して回路設計は行っていないとのことだった。当局も、RFではなくAFの方だが、オーディオアンプやオーディオ用のスピーカーをいくつも自作しているが、最近思うのは、自作の場合、本人の気づかないところで測定器やスペックに現れない部分で本人の性格や信念のようなものが製作に反映されるということである。独特のノウハウや過去の知見、経験が、意識しないところで反映されているとするなら、リグの全体の性能を仕上げていく中で、上記のような良好な選択度特性の方向に仕上がっていくのではないかと思われたりもする。




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[7208DXとNTS115]



期待が膨らむ本格運用


太東埼は、10年前に訪れてから数回来ているが、いつ来てもこの岬は相変わらず心地よい時間を提供してくれる。海抜は60m強だが、展望所の柵の先はすぐに断崖、南に広がる海岸線が美しく向こうまで伸びている。海面のみならず、地面からのこの高さが独特の爽快感をもたらせてくれるようだ。展望所下には小さな売店もあり、コロナの間は閉鎖されていたが、今日は店開きしている。ここではソフトクリームも自分で作って食べられる(笑。

 
今日は、北海道、九州が同時に開いているようで、二発目のQSOはトカチST617局だ。ただ運用は、アンテナチューナーのチューニングに習熟するよう、受信がメインである。チューニングは、SWRを1.0まで追い詰めることに拘り始めると、際限なくどっぷりとはまり込むことになる。基本的には、体の立ち位置など、リグ周囲のLC環境でSWRが変わってしまうわけだが、そんな中で、どのようにしたら最速でチューニング可能なのか、チューニング後どのようにしたらほとんど影響を受けずにすむようにできるのか、あるいはボディーアースの影響具合など、他にも確認しておくことはたくさんある。

今日は、このリグの持ち主、DD23局も富士山二合目から出られているようで、GWでお声がけをいただく。受信の具合は当然自分で確認できるが、送信は相手に確認してもらわないと分からない。まして持ち主ご本人に確認いただけるのだからありがたい。特にマイクゲインの調整具合などは気になるところだったが、変調も問題なく届いているようだ。DD23局は、当局としりべしCB49局とのQSOを録画して送って下さったが、確かに変調もいい感じ(笑)のようである。

115と並行ワッチに勤しんでいると、小学校入学前?の小さな姉妹が興味ありげに近寄ってくる。
「あのお船とお話ししているの?」(=少女)
確かに、沖合を大型の船と思しきものが航海していく。
「ん~、あのお船とお話しできるといいんだけどね。今日はねぇ、これで、九州の人や沖縄の人とお話ししているんだよ。」(=好々爺を気取ったつもりの当局(笑))
「え~っ、沖縄行ったことがあるぅ~。」(=少女)
「ここも海がきれいだけど、沖縄も海がきれいだよね~。」(=当局)
・・・
・・・
小さな姉妹は純真だ。疑問もストレートである。他愛もない話で、しばらく話し込んでいると(笑、さすがに得体のしれない超怪しいオッサン乃至はジイサンとの会話に気づいたのか、慌てた様子をかくすように母親が懇ろに回収しにやって来る(笑。純朴な子供に罪はありません。すべて当局が悪いのです。


開放的なこの岬は、今日は天気もいいせいか?、いつになく他にもたくさんの人が話しかけてくる。もっとも、いつもの「あるある」のパターンで、「昔アマチュア無線やってました」とか、「どこまで飛ぶんですか~」といったパターンがほとんどだ。一応11mの宣伝の意味合いもあるので、最近は当局も一生懸命説明に努めているので(笑、おおよそ運用時間全体の1/3ぐらいは取られることになる。それでも、武甲山の水歩荷とは違い、『水卜アナ似のきれいなお姉さん』に遭遇することはなかった(謎。

以前も感じたことだが、この太東埼は、Esがよく落ちてくる場所だ。水際すべてが飛び受けが良いかと言うとそうとも限らない場合もあり、少し水面から上がってしまうとすぐに飛び受けが落ちてしまう場所もある。その点この岬は優秀だ。今日はコンディションも好調なこともあり、たくさんの局が聞こえてくる。飛び受けも平均55~56程度と強力だ。コンディションが良いことは結構なことだが、リグの真価が問われるのは、ぎりぎりの入感レベルの時だ。南の島運用では、限界ぎりぎりの場面で試すことができると思うので、その時にどのような飛び受けをするのか、今から楽しみである。また、このリグは1mW運用も可能なので、ぜひチャンレンジしてみたいところである。


12QSO、各局TNX!! (2022/6/3)

(文中敬称略)




本日の立ち寄り先: 菓子工房 杏 (一宮町)




このお店も田園の中の住宅街の一角にある。飲み物もオーダーできるので、Cafeでもある。
プリンアラモードはいくつも食べられそう。
バナナのチーズテリーヌはしっとりと落ち着いた味わいだ。
運用後ということもあり、アイスラテが良くマッチする。
 



運用データ


 ■運用日時・場所:

 
  ・2022年5月29日(日) 10:30~13:25 
      千葉県いすみ市 太東埼
     

 ■使用&装備リグ:
   CB : NASA7208DX (東海DXクラブ) 
        NTS115 (西無線研究所)
        ICB-87R (SONY ラジックス改新技適)

 ■使用&装備電源
   リチウムイオンポリマー電池11.1V/5.1Ah
   リチウムイオンポリマー電池11.1V/3.0Ah
   ・リチウムイオンポリマー電池11.1V/1.5Ah





QSO局
12QSO TNX!!  
(敬称略)

2022年5月29日(日) 快晴     
イワテB73/6 53/54 トカチST617/8 53/53
くまもとIA52/6 54/54 しずおかDD23/富士山二合目 54/55
しりべしCB49/8 56/55 トカチDM260/8 55/55
かごしまSS167/6 55/55 イワテB73/6 (二回目) 57/56
ヤマグチST702/山口県光市 56/56 ヤマグチYN807/4 53/55
クマモトHR787/6 55/55 ヤマグチTS118/4 56/57
  
QSOはすべて7208DXを使用



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