[生石高原-きらめく-]


秋の風情

ススキには、日本人は特別な感情や思い入れを抱くもののようだ。例えば、典型的な十五夜の「お月見」の写真やイラストには、満月の横には必ずススキが一緒にあしらわれる。もともとは、稲穂代わりのお供え物の一つらしいから、一緒に表現されていて当然なのだろうが、今となっては秋を象徴する風物詩の一つとしての意味合いの方が強いように思われる。

それでも「春が桜」であるように、「秋はススキ」というほどのインパクトはないと思うのだが、この時期ススキの原の鑑賞にわざわざ遠くから集ってくる者があるとすれば、それ自体は季節感を大事にする日本人を象徴するできごとなのかもしれない。しかしその秋の季節感には独特の意味合いも込められているようにも思われる。「枯尾花」ということばもそうだ。その風になびく白い穂が、どこか終焉をにおわせながらも、引き続き、寡黙ながらきらめくような存在感を放ちつづけているかの如く見えるところに、日本人は「もののあはれ」を感じているのかもしれない。

CBでは、「できるだけメジャーな場所からは運用しない」、というのが当局の基本ポリシー(笑)だが(あくまで、「できるだけ」だが)、生石高原(おいしこうげん)は関西地区ではススキの原で名の知れた場所らしい。この時期になると、関西各地からこのススキの原を愛でに人々がやってくるそうだ。当局もここでの運用を初めて計画したのは5年も前のことである。

場所的には和歌山県海草郡紀美野町・有田郡有田川町の境に位置し、紀伊水道の海岸からは20kmほど内陸に入った、標高870mの生石ヶ峰を中心とする高原だ。

和歌山と大阪の府県境には標高が同等以上の和泉山脈があり、大阪中心部の低地移動局と交信するのは難しそうだが、四国とは紀伊水道を隔てているだけなので、問題なく交信できるはずである。交信は3、5エリア中心の目論見だ。

8:00過ぎ、天気は晴れの予報だが、まだ上空の雲は解けきれていない。東に太陽が見え隠れしながら、ガスが湾曲するように峯を超えていく。やや強めの風にススキもなびく。絵にかいたようなススキの原が現れては消えていく。人気のスポットらしいが、今は他にだれ一人なく、当局が一番乗りだ。


朝の展望台
ガスが峯を横切る。
風に揺れて
向こうには和歌山市内と淡路島も
見える。
昼下がり
人気のスポット。昼にもなると、
たくさんのハイカーが押し寄せる。


オンエア開始

紀美野町ローカル

もともと各地一斉オンエアデー(各オン)は運用局が多くはないので、ほとんど期待はしていないのだが、やはりチャンネルはガラガラ、CQを出しても全く応答は無い。ただ初めて運用するロケなので、それがロケの特性によるものなのか、本当に運用局が少ないのかは判断はできない。和泉山脈を越えた大阪地区では、にぎやかにOADが始まっているかもしれないのである。

おかやまAB33局がどうやら六甲山中腹に移動されているようで、今日初めて聞くCQが飛んでくる。しかしあれほど飛び受けの良い六甲ですらRS52程度だ(笑。ICB-670ご使用とのことで、Sメータはないものの、500mWであることには変わりはない。ひょっとして位置取りが悪いのかと、あちこち歩いて移動してみるが全く変化はないようである。その後久しぶりにひょうご3946局とも六甲山頂からつながるが、こちらも53である。山頂は間違いなく完全な見通しのはずなのだが・・・。その割に、尼崎の低地からやられているハンシンAA727局はRS54、耳Sも強力だ。どうも不思議なロケである。

DCRも運用局はないようだが、なんとふもとの紀美野町に固定局がおられた(笑。ワカヤマKK3299局で、これから移動に出かけられるところのようだ。こんな所にも・・・と言っては失礼だが、まさかローカルさんがいようとは。

その後KK3299は標高220~230mほどの山に移動されてくる。高校生とのことで、移動手段は自転車のみ、こちらまで来られたいがとてもムリとの話だ。そう、ここに来るには車一台しか通れない急な峠道をくねくねと登ってこなければならない。とても自転車では無理である。ほかにも道はあるのかもしれないが、道は狭く車が行き交うために、時々バックしたり、慣れないドライバーがいたりで渋滞が巻き起こるほどだ。



4エリア、グランドウェーブ


3エリアにいるのだから、4エリアとつながるのは当たり前のことなのだが、普段慣れていないせいか、グランドウェーブで岡山などとつながると、それでもうれしいものである。しかもこちらは和歌山県という普段慣れない運用地であり、4エリアとのQSOは余り想定していなかったのでなおさらである。

 
 

岡山県浅口市の遥照山には、くらしきFV223局が移動されておりコールをいただく。FV223局さんとは沖縄の座間味島運用以来だ。その時は当然「CBでEs」、今回は「DCRでグランドウェーブ」によるQSOということで、今回は別の意味でその重みを感じる。Esはもちろん距離的には面白いQSOだが、グランドウェーブはQSOの重みという意味で、Esとはまた違った貴重さがあるからだ。Esははるか遠くの彼方の誰かとQSOできてしまうのだが、グランドウェーブは「そこに行かないとQSOできない」からである。また、マイクのすぐ向こう側に相手がおられる点にも違った重さを感じるのである。

遥照山からは、後からくらしきJ35局さんにもお声がけをいただくが、J35局さんとも座間味島以来であり、上述のとおりEsとはまた違った貴重なQSOである。だからグランドウェーブでコールをいただくのは非常にありがたいことだ。

このロケは、4エリア向けには、海を挟んでいるせいか、意外と飛び受けがよいようで、鳥取県日南町のキリン山(=後から確認すると「鬼林山」)のトットリAJ683局からもコールをいただく。鳥取ともめったにグランドウェーブでは交信できないので、これもうれしい誤算だ。

4エリアではないが、グランドウェーブという意味では、きょうとKP127局とも久々のグランドウェーブQSOだ。OADはどこから出られるのか全く把握していなかったが、DCRをモニターしていると他局との交信が入感してくる。どうやら大江山(京都府福知山)から運用されているようだ。チャンネルはお持ちではない?ようなので、呼び出しチャンネルに戻ってからCQを出してみると無事コールが入ってくる。CBでは厳しいかとも思われたが、後から41/51で無事交信することができる。(TNX!KP127局) 海外ノイズがうるさかった午前中だったら交信は無理だったかもしれない。



各オンを100倍楽しむ法


7Ch応援団

 今日は使い物になります

今日は運用当初から海外ノイズ&ホニャラその他さまざまなノイズが高い。しかし、ここは珍しく7Chのノイズがごくわずかで使い物になる感じだ。ホニャラもほかのチャンネルと同様に不通に聞こえてくる(笑。一般的に7Chは強力な人口ノイズだらけで、使い物になる場所は全国的に少ない?ので、はなから相手にされることはない。基本的には「通りすがり」どころか、「すっ飛ばし」チャンネルだ(笑。しかし、それだけに当局的には最近なぜか7Chのコンディションが気になるのである。使えるものなら使ってみたい・・・と。

このロケは珍しくいけそうなので自虐的にCQをしばらく連発してみるが、さすがに残念ながら応答はない。7Chでつながったら面白いのになぁ~と思うのである(笑。7Chの送信系?もたまには使ってあげないといけないし(送信系といっても、どのChも常に電源状態はオンなので意味はありませんが)、7Chでつながるということは相手も7Chを聞いていたということで、そんなジョークが時に通じたら面白いと思うのである。


実験推奨OAD

5Chも英語局がアロハやらいつものとおりうるさいのだが、そんな中えひめCA34局が50mWのリグでQSOにトライされているようである。こちらでも耳を澄ましてみるが、残念ながら、信号らしきものは捉えられない。CA34局にそのことを後から伝えると、「500mWでもRS51なので、50mWでは当然無理でしょうねぇ~」と笑われてしまったが・・・。

徳島県の剣山山頂からは、とくしまMN72局が四国オンエアミーティングを開催されている。今回が記念すべき第一回目の開催となるようだ。実は当局はお恥ずかしいことにOADの途中までこのロールコールのことは全く知らなかったのである。MN72局とはこれまで、長野県の仙丈ヶ岳やしらびそ高原から、徳島移動のMN72局と当局にとってのDX記録となるQSOをいくつもさせていただいている。これは何としてもチェックインしなければならない。特小のレピーターも上げられているようで、各局さんトライされているようだ。

もう13時になろうかという時間だが、DCR23Chに移動してみると、MN72局がまだチェックイン受付中だ。剣山の方は相当気温が低いようで、我慢しながらの運用がマイク越しに伝わってくる。ロールコール、まことにご苦労様である。

各オンは、他のOADに比べたら運用局は多くはないので、次から次へと短時間でQSOをつなぐ必要はない。したがって、本来、50mWやその他さまざまな実験、ロールコールなどが、もっと合わせ技で実施されるべきOADなのかもしれない。そのほうがこのOADの特色をもっと出せるのでは、と思ったりもする。
各局TNX!!
                                               ('15/11)





運用データ

■運用日時・運用場所:
 
 ・2015年11月3日(火、祝) 8:45~14:00 
  ・生石高原(標高約820m)
  
 和歌山県海草郡紀美野町・有田郡有田川町境

■使用&装備リグ:
  CB : ICB-707(SONY)、
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/4λホイップ

■使用電源
  リチウムイオン電池10.8V/1.6Ahほか


QSO局
20QSO TNX!!  
(敬称略)

11月3日(火、祝)   
ワカヤマKK3299/和歌山県紀美野町固定(DCR) M5/M5 おかやまAB33/兵庫県六甲山中腹 52/M5
ワカヤマKK3299/和歌山県紀美野町(DCR) M5/M5 ワカヤマMK320/和歌山県和歌山港 55/55
ひょうご3946/兵庫県六甲山頂 53/55 ハンシンAA727/兵庫県尼崎市 54/53
くらしきFV223/岡山県浅口市遥照山(DCR) M5/M5 トットリAJ683/鳥取県日南町鬼林山(DCR) M5/M5
えひめCA34/京都府比叡山山頂  52/52  ヒョウゴAB245/兵庫県宝塚市  52/52 
オオサカKM309/大阪府河内長野市岩涌山  54/56  ヒョウゴAB245/兵庫県宝塚市(DCR)  M5/M5 
くらしきJ35/岡山県浅口市遥照山(DCR)  M5/M5  えひめCA34/京都府比叡山山頂  51/51 
きょうとKP127/京都府福知山市大江山(DCR)  M5/M5  とくしまMN72/徳島県剣山山頂(DCR)  M5/M5 
キンキAZ627/兵庫県猪名川町大野山  54/54  おおさかCB81/兵庫県六甲山東六甲展望台  58/57 
きょうとKP127/京都府福知山市大江山  41/51  オオサカSC500/大阪府東大阪市  51/51 



ひとつ前の運用記 次の運用記  HOME


© Nagoya YK221

2015運用記
生石高原
和歌山県海草郡紀美野町・有田郡有田川町