2021運用記
朝日山
福島県鮫川村



[太平洋の水平線が金色に輝く。朝日山より。]





鮫川村に行こう!

「水郡線」・・・すいぐんせん、という言葉は、個人的には好きな言葉の響きだ。水郡線は文字通り、茨城県の水戸と福島県の郡山とを結ぶJRの路線である。平野部の町をつないでいくというより、山間を縫うように走る路線だが、山間といっても秘境的な山間ではなく、どちらかというと里山的な明るいイメージの山間である。今日はその水郡線が走る塙町(福島県)の方から、線路のガードをくぐって、鮫川村の朝日山に向かってみる。

福島県鮫川村は阿武隈山地にある、人口3,200人ほどの村である。阿武隈高地とも言われるように、山地といっても高い山があるわけではなく、土地の標高全体が高いような、こちらも里山的な山間の村である。村の標高は全体的に500~600m程度、朝日山は標高797mの山だが、周囲の土地自体が高いので、実質的には150m程度の標高感の山だ。

山頂まで来ると、登山道のある馬の背状になった南東方向を除けば、視界はほぼ360°開けている。周囲は丘陵状の山々で埋め尽くされているのだが、その樹海のそこかしこは、冬枯れた葉のイメージから、今、春の芽吹きを感じさせるような練絹色へと変貌しつつある。本格的な春はもうすぐそこだ。空は黒い雲が落ちてきそうなくらい低いのだが、東のそこだけ、明るく輝いた部分が顔をのぞかせている。遠く太平洋の海が黄金色に輝いているようだ。(=冒頭写真)

ハイキング道の登り口には、『運がいいと海が見えるよ』とあったが、今日は「運が良い」のか?(笑。それにしても、「運が良ければ」というのは、案内板の表記としては面白い表現だ。

山頂までは、車をとめた国道脇の駐車スペースからは、わずかに15分、前述の通りそれほど周りの土地全体が高いのだ。国道とて、登る印象は全くなく、村はずれの道の延長のようなものだ。山頂というより丘陵上のてっぺんのようなイメージのこんな場所から、今日は一体何を狙おうというのだろうか?・・・乞うご期待、次週につづく。

・・・って、さすがに、ここで終わってしまうわけにもいかないでしょう。当然DXを狙ったり交信局数を稼ごうというわけではなく、唯一の関心事は、普段自分がQRVしている奥多摩や奥武蔵方面まで交信が可能なのか?ということだ。実質的な高さの感覚は150m程度、ということは、当然南月山のようなFBなタワー効果?はなく、グランドウェーブは、地面を這うように飛んでいくのだろうか???

左: 山頂標高は797mだが、150m程度の標高感。周りはすべてこんな感じだ。ベンチの前の看板は、
   富士山の見える方向。
右: 運がよかったです、ありがとう!



ん~、やはりいけますか。


天気予報は「晴れ」のはずだったのに、今日は大はずれ、どんよりと曇った空は暗く、いまにも雨が落ちてきそうな天気だ。それでも風がないだけましか?ベンチの前にはご丁寧に富士山の見える方向を指し示した看板が立っているのだが、この天気では心なしか寂しく見える。

さっそくNTS115をセッティング、7:40分QRVを開始する。バンド内は静かだ。OADにはまだ早い時間帯だが、運用局があってもさすがにこのロケではあまり聞こえてこないか?(笑。しかし、CQを出してみるとすぐさま応答がある。筑波山男体山で運用中のつくばA3局さんだ。A3局さんもこの怪しい天気が気になるようで、いつまで持つかわからないので、早めにQRVを開始されたようだ。

最近A3局さんとつながると話が弾んでついついロングQSOになってしまうのだが、今回もエアバンドの話で盛り上がる(笑。今日はどうせ暇だろうと、エアバンドレシーバーで東京ACCの関東北セクションの航空管制を聞きながら運用しているのである。管制自体はもちろん埼玉県の所沢で集中して行っているわけだが、関東北セクションの対空送受信所は、茨城県大子町の太郎山にある。したがってここでは、管制側も航空機側も59でFBに入感してくるのだ。

A3局に続いて2局目には、さっそく本日のテーマ?である、奥武蔵のサイタマYM518局からコールをいただく。ロケは大野峠らしい。大野峠は確か丸山に近い場所のはず。ときがわ町?だろうか。12月に運用した刈場坂峠(ツツジ山)より、さらに奥の秩父寄りのはずだ。RSは51/52、ノイズが上がるとやや厳しくなるかもしれないが、入感具合は通常なら全く問題はないレベルだ。

う~ん、奥武蔵ともやはりいけますかぁ・・・。YM518局の方ではすでに雨がポツポツときたようだ。



オーディオアンプ風仕様1/2 (笑

今日のNTS115は予告通り?「フロントガードハンドル・オーディオアンプ風」仕様だ。ただし、変更作業中に途中で気が変わって、ハンドルを黒色仕様にしたので、「オーディオアンプ風仕様1/2」である。オーディオアンプ風仕様では、つまみに合わせてハンドルも当初シルバーを予定していたのだが、昨日右側半分交換したところで、全体を眺めてみると、どうも黒色艶消しの方が似合いそうだ。そこで心変わりして、ハンドルは前回の「無線機風仕様Ⅱ」の黒のままにしたのである(笑。なお、「1/2」は未完の意だ(笑。これで永遠にシルバーのハンドルは日の目を見ることはなくなってしまうような気もするが、いつかどこかで使ってあげよう。まあ、そんなたいそうな話ではありませんが・・・。

右: 前夜、仕様変更中に、変心(笑。ハンドルを半分換えたところで、やはり黒がいいやとブラックに戻してみる。これでシルバーハンドルは永遠に日の目を見ないか??



同じく福島県内のおなじみのロケ、二本松市の麓山では、今日はフクシマYM870局、ふくしまFD55局が運用されている。ただ、やはり実質地上高150m程度のロケではガツンとはいかない。飛び受けともに51~52程度だ。富士山のふもと山中湖にほど近い、山梨県道志村の加入道山でも、麓山とは51~52程度でQSOできているので、やはり地形の影響とは面白いものだ。グランドウェーブの飛び方の醍醐味の本質は、ここにあるのかもしれない。いずれにせよ「地上高」と「標高」は、やはりその意味するものに大きな違いがあるのである。

郡山市の宇津峰には、きょうとKP127局さんが出られている。KP127局さんとは、昨年11月の各オン以来か?KP127局さんというと、いつもICB-770からの切れのある変調音の印象が強いのだが、今日はRJ-480の新技適機、480Aをお使いのようだ。変調は「しっとり落ち着いた深さ」で、大変聞きやすい。当局側の実質地上高の低さのせいもあり、RSは51だが、それでもS1の割には力強い印象を受けるのである。Es などのDXでもかなり効果的な印象の聞こえ方である。



本日のテーマはどうなった??

OADも佳境の時間帯に入ってくると、運用局も増えてくる。ようやく、本日のテーマ、奥武蔵・奥多摩との飛び受けを本格的に確認できるようになってくる。まずは堂平山(埼玉県ときがわ町)だ。さいたまUG100局の信号はRS51で入感、しかし、こちらからは呼べど叫べどダメ(笑、交信ならず。続いて子の権現(埼玉県飯能市)のねりまTN39局はどうか?こちらにはRS51、しかしこちらも何回呼んでも全く通じない。黒山展望台(埼玉県越生町)からは、スイタIN046局が聞こえてくるが(=RS51)、こちらも呼んでもダメ(笑。極めつけは東京都の日の出山(日の出町)から、サイタマMS118局がRS51で入感してくる。しかし、こちらもいくら呼んでもダメだ。

唯一計算外だったのは、奥武蔵、奥多摩の各局は、東京・埼玉近隣の運用局とはきわめて飛び受けがいいので、当局の信号と同時に各局の信号が56から57程度で、相手に入感してくる点だ。しかもそういう運用局数が途切れなく多いので、仮にこちらから51程度で飛んでいたとしても、完全にパイル負けして、全く相手にされないのである(笑。・・・そんなこと、少し考えればすぐにわかっていたことですが(笑。パイルになってしまうと存在に気付いてもらうことすら難しいので、本日の2局目、朝8時前にコールいただいた、大野峠(ときがわ町)のサイタマYM518局との交信タイミングはベストだったということかもしれない。

もう一つ残念なことは、今日はせっかく奥武蔵、奥多摩がテーマだったのに、『一週間フレンズ。』のサイタマKM117局さんや、『心が叫びたがってるんだ。』の武甲山では誰も運用されていなかったことだ(謎。

それでも、このロケから東京の日の出山までは「いける」し、奥武蔵全般ともだいたい「いける」ことが分かったのは収穫だ。

正午前には束の間電離層のコンディションも上がってくる。さすがに電離層反射は、地上高とは基本的には無関係なので、あばしりAB39局(北海道北見市)とも交信できたりするが、基本的には入感はほとんどない状態が続く。遠くを眺めながら、のんびりとエアバンドを聞いていると、なにやら携帯にショートメールの入感がある(笑。しずおかDD23 局さんからで、「富士山2合目運用中」とある。今日はOADなので、一応運用中であることをわざわざ伝えてくれたらしい。

しかしメールを眺める心境はいつになく冷静だ。このロケでは、さすがに富士山の2合目とは交信は完全にムリだ。「富士山xx合目」と聞くと、「富士山5合目」のイメージが強いので、非常に飛び受けがいいものと勘違いしやすいが、2合目は夏に使われる富士吉田口、須走口などの5合目とは、高さはもちろんのこと、向いている方向が違うのである。DD23局が使われる「富士山の2合目」というのは、富士山のほぼ南側に面した場所である。



が、しかし・・・。

DD23局のショートメールからそろそろ2時間が経過しようとしていた頃あいだ。富士山2合目との交信など、もちろん意識からは完全に抜け落ちている。ワッチを続けていると、筑波山中腹で運用中のサイタマKK007局がCQを出され始めた。筑波中腹も飛び受けが良い場所なので、各局さんからコールがかかっている。こちらは飛びがおそらく悪いので、パイルが一段落ついてから呼びに回ろうという作戦だ。いつ呼びに回ろうかと耳を傾けて聞いていると、なんとKK007局を呼ぶDD23局の声が聞こえてくるではないか!!RSは51だ。なんと、ここまで飛んでくるとは!距離がどうこういう以上に、このロケで聞こえてくるのが信じられない。実質「地上高」150mだというのに、それでも797mの「標高」が少しは役立っているというのか???

頃合いを見て、こちらからもKK007局にコールをかけてみるが、なかなか信号には気づいてくれない。最終的にはかろうじてRS52/41~51でつながったが、こちらは筑波山の中腹まで飛ばすのがやっとこせっとこだ(笑。それにしても、おそるべしDD23局。あとから確認すると、リグは最近また新技適を取得された例の「東海DX770」らしく、今日は試運用らしい。(本機はDD23局さんのブログにくわしい。) 当然こちらからの信号は、DD23局にはかすりもしなかったとのことである(笑。



Reve

 

運用後は村内を15kmほどドライブ、パティスリー「Reve」(鮫川村大字赤坂中野)に立ち寄ってみる。その道のりの殆どは、山里的山間を抜けていく、センターラインのない道路だ。そしてこんな高地の山間の小さな隙間にさえ、土地を惜しむように狭小な水田が広がっているのである。それがこの村の代表的な風景だ。村にはもちろん、さまざまな課題があるのだろうが、何も知らないよそ者の勝手な意見としては、どことなく心が落ち着き豊かになる光景である。

「村」に人通りが多い場所があるわけではなく、パティスリーの目の前の道路も静かな1車線の道路だ。

パティスリーながら、店内の半分はカフェになっており、豊富なメニューの飲み物とともに、イートインできるようになっている。今日は、ホワイトラテがお勧めらしい。「タルトフレーズ」は、季節限定、地元の農家産の苺なのか、「xxさんちの苺」との触れ込みだ。「タルトフレーズ」、「タルトフロマージュ」、どちらもお見事。もし人口3,200人の村のパティスリーというイメージからくる先入観など持っていようものなら、それは見事に打ち砕かれる。その素材、味といい見た目といい、かなりハイレベルな出来栄えだ。

12QSO、各局TNX!!
                              ('21/03/25)





運用データ


 ■運用日時・運用場所:

 
  ・2021年3月20日(土、祝) 7:40~13:40 
      福島県鮫川村 朝日山 山頂 (標高797m)
      

 ■使用&装備リグ:
   CB : NTS115 (西無線研究所)
       ICB-87R改 (S. Denki)
       
 ■使用電源
   リチウムイオンポリマー電池11.1V/3.0Ah
   リチウムイオン電池10.8V/3.4Ah



QSO局
12QSO TNX!!  
(敬称略)

2021年3月20日(土、祝) くもり 朝日山:7:40~13:40   
つくばA3/茨城県筑波山男体山 52/53 サイタマYM518/埼玉県ときがわ町大野峠 51/52
フクシマYM870/福島県二本松市麓山 51/51 ふくしまFD55/福島県二本松市麓山 52/52
ふくしまBB29/福島県いわき市水石山 58/58 ふくしまSG56/福島県郡山市 51/51
きょうとKP127/福島県郡山市宇津峰 51/51 おおさと59/埼玉県秩父市城峰山 52/52
あばしりAB39/北海道北見市  51/51  ふくしまME71/福島県南会津郡下郷町  51/52 
チバTS106/茨城県大子町尺丈山  59/56*  サイタマKK007/茨城県つくば市子授け地蔵 52/51* 
       
:87R改使用



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