2012運用記
北横岳
長野県茅野市


[北横岳山頂南峰にて]


横岳へ行こう!

春オンはどこから出るのか?「神出鬼没」と「山頂での滞在時間をMaxにする」ことをモットーとする(笑)当局としては、いつもOAD前になると悩むところである。
今冬は特に寒さが厳しく、全国的にまだまだ今シーズンのCBのエンジンはかかっていない。いろいろ考えたが、忘年会以降ご無沙汰している長野県地区から出てみることにする。とはいえ世の中はまだまだ冬山シーズン。お手軽に登れる北横岳(2,480m)からQRVしてみることにする。

相変わらず公共交通機関でのアクセスとなるので、JR中央本線茅野駅前に前泊。当日、バスでロープウェイ乗り場へと向かう。茅野駅から1時間ほどだ。「曇り」という天気予報は幸い「ハズレ」の方向に向かっており、既に前日の夜には星が見えるほど空は回復しつつあった。

唯一の想定外があったとすれば、風だ。平地はもちろん、山頂直前まで全く無風の状態だが、北横岳南峰の山頂(標高2,473m)に上がると強風が吹き荒れている。南峰は坊主状態で全く風を遮るものがない。写真でも撮ろうと身構えただけで、体ごと風で持っていかれそうだ。と言うより、撮影のためにしゃがみこんだ姿勢でも突風でよろけてしまう(笑。1年中強風なのか、山頂の近くに生えているハイマツ?の枝は見事に一方向(北北東)にしか生えていない。

それにしても山頂(南峰)からの景色は一級品だ。南南東方向には八ヶ岳がでんと構え、南から西に向かって甲斐駒から仙丈ケ岳、そして木曽駒、空木岳などの中央アルプス、その向こうには木曾御岳が意外なほどスケール感一杯に山容を現している。すぐ近くの蓼科山の流麗な容姿も見事だが、その左手には北アルプスが連なっているのが良く見える。おそらく無線をするにはもってこいの場所だ・・・風さえなければ(笑。

北横岳は南峰と北峰から成っており、南峰から北峰へは2分程の距離である。一旦北峰に足を伸ばして風を避けられる場所がないか、あちこち探してみるが、やはりなんとかQRVできそうな場所は、南峰脇の、北峰へと通ずる尾根道にわずかに残る小さな木立だけのようだ。山頂に登ってきたのが10時20分、写真やら風を避けられる場所探しやらで30分ほどを瞬く間に費やしてしまう。


風ニモメゲズ・・・
ぼやぼやしている暇はない。まずはCBで運用を開始する。しかし伸ばした87Rのアンテナは、風が弱まる場所とは言え、応力でかなりしなっている(笑。アンテナをかばいながら、3、8のメインチャンネルでCQを飛ばすこと30分、しかし、何も反応はない(爆。今日は意外と海外ノイズは静かで、めずらしく3Chでロシア語お姉さんならぬ「ロシア語オジサン」が、CQに反応するかのように短めのシグナルが返ってくるだけだ。お空の寒さに、風は余計に冷たく感じられる(笑。風のない場所では以外に気温は高く、手元の温度計はマイナス7℃ほどだ。しかし、風速は常に12~13m/s?以上、そこに更に時折突風が混じる。体感温度はおそらく裕にマイナス15℃以下だろう。こんなところに4時間以上じっとしていようというのだから我ながら呆れてくる・・・少しだけ(笑。雲は多めながら日が射していることだけが唯一の救いである。

風ニモメゲズ・・・がんばって木陰でCQを出していると、ようやく1局目となる、ナガノAA601局よりコールバックが返ってくる。AA601局からは、長野県CBerの掲示板上で予めメッセージを頂いており、予定通り、鶴ヶ峰(上伊那郡辰野町)からQRVされているようだ。AA601局とは12月の忘年会以来である。8Chはピュルピュル系のノイズがいつの間にか強力になってきており、時々ノイズでマスクをされるが、シグナル自体は57で問題なく入感してくる。木陰から出ればもう少し飛び受けとも強力になるのかもしれないが、いかんせんアンテナが危険だ。木陰でじっと我慢である。こちらは風が冷たいせいか、久々のQSOになかなかろれつが回らない(笑。AA601局は臨時レピータを設置されたようで、CBがひと段落してから特小レピ経由(L18-18)でのQSOも試してみることにする。

続いて、山形村の清水高原(きよみずこうげん)からは、ナガノTM285局が出てこられる。丁度移動地に現着して、アマも含めてリグを設置中のようである。TM285局の信号も、一層強力に聞こえてくる。RS58/59。TM285局からも掲示板上でメッセージを頂いており、当局も移動前に、TM285局の移動予定地を予めカシミール上でチェックしてきた。横岳山頂からは見通しのはずなので、信号も強力なはずである。鶴ヶ峰もそうだが、各局の移動予定地を、事前にカシミったり、5万分の1の地図等で確認していると、こちらもいろいろと移動地の勉強になり、ためになることが多い。当局の場合、移動される局長さんの場所に合わせて、こちらの位置も微妙に変化させる場合があるので、予習は有益でもある。その後、TM285局とは、AA601局が設置された特小臨時レピータ経由でも無事つながる。

鶴ヶ峰には、忘年会でも歓談させていただいたナガノM3104 局も移動されており、コールを頂く。AA601局と合同運用されているようである。変調は、同じリグではないかと思われるほどAA601局と全く同じ聞こえ方で、時々ノイズの邪魔が入るもののRSも57と強力だ。




埼玉中北部?
しかしアンテナが長い87Rで長時間運用するのはリグ破損の危険が伴う。ショートアンテナのパーソナルや、DCRに切り替えてみることにする。アンテナが短いDCRやパーソナルなどでは、木立を抜け出て、風が更に強くても、より見通しが良い場所からの運用が可能だ。DCRで第一声を出してみると、さっそくサイタマMC305局からコールバックがある。運用地は埼玉県白岡町だ。ん?・・・白岡町???ひょっとして埼玉の平地までDCRが飛んでいるのか?白岡町といえば、確か、埼玉県内でもかなり東部、茨城県に近い場所のはずだ。感覚的には間に長野県内や秩父など、高い山々の障害物があって到底平地まで届くような気がしないのだが、どこかに抜け道があるのだろうか。入感もアンテナマーク3本のフルスケールで、超強力だ。こちらからもほぼフルスケで届いているようである。(当局は1/4λホイップ、5W運用)続いて行田市のサイタマ599局ともアンテナマーク1本で全く問題なしにつながる。「埼玉中緯度方向」には、やはり抜け道があるのか?(笑

風はコンスタントに強風で、一向に弱まることはない。実際風の冷たさは半端ではなく、写真撮影をしようと手袋をはずすと、30秒も持たない。我慢して1分もはずしていると、その後少なくとも3分間は凍傷にかかったように全く手が動かなくなる。スキーでは長年、標高が高い山上で手袋を外した場合の空気の冷たさは相当経験しているが、これほどまでに手が利かなくなる経験をしたのは初めてである。いかに風が温度を奪うか、改めて思い知らされる。

風はおさまることはないが、当局の運用のメインはあくまでCBなので、アンテナに気を配りながら、しつこくCQを出すことにする。3ChのCQにナガノNP152 局からコールが返ってくる。伊那スキーリゾート(通称「伊那リ」)からだ。限られた時間のせめぎ合い?の中、迎撃のためにわざわざ移動していただいたようだ(TNX! NP152局)。NP152局の信号は当初から57と強力だが、リグを車のルーフに移されてからは、59近くに跳ね上がる。変調もかなり力強くなった。長野県内の交信は距離の問題ではなく地形の問題である。県内は標高の高い山だらけなので、距離的に近くてもなかなかQSOがままならない、というのが実情である(たぶん(笑)。特に伊那市や飯田は、「伊那谷」という言葉があるように、周囲からはなかなか電波飛びづらい場所である。しかも、伊那リはスキー場ではあるが、いわゆる地上高が高い場所にあるわけではない。しかし、そこは、さすがに地元の電波伝播状況に詳しいNP152局、当局のSメータを容易にフルに振らせてくる。

伊那リのNP152局とはデジ簡でも問題なくつながる。QSOを終えると、すかさず、今度は関東側の思いがけない局からコールが入ってくる。サイタマAB960局だ。???。さて、AB960局、まさか、いつものように埼玉県内からの運用だろうか?AB960局からのレスポンスは余りに明瞭(DCRなので当たり前だが)なので、一瞬近くにおられるのではないかと錯覚するが、当然近くにおられるはずも無く、やはり埼玉県久喜市内からの運用のようである。

DCRだけでなく、CBでもつくば市内のつくばA3局や、筑波山のイバラキAA818局と55~56でつながっているので、横岳から「埼玉中緯度方向」には完全に直接波で届いているようで、その具体的な伝播ルートが気になるところだ。

板橋ロールコール@四阿山

14:30近くになり、そろそろ撤収すべき時間が近づいてきた。山を下りたらロッカーに預けた背広と3泊4日分の出張道具、そしてもちろんリュックを抱えて、大阪まで移動しないといけないので、最終のロープウェイまでには余裕を持って下山しなければならない。

開き放しだったリュックの上蓋には、風で舞い上がった細かい雪が、いつのまにか白くサラサラと積もりつつあった。黒一色のリュックとのコントラストが目に冴える。

上蓋の雪を払いながら、特小、パーソナルをザックに仕舞い込む。「今日は、いたばしAB303局さん(四阿山(あづまやさん))のロールコールの信号を捉えることができなかったなぁ・・・残念・・・・・・」と思った瞬間、まだ枝にぶら下げてあったDCRの呼び出しチャンネルより突然AB303局の変調が聞こえ始める・・・。ちょうど今からDCRでのロールコールを始められるようだ。「DCRを最初に仕舞わなくて良かった!」・・・と思いつつ、さっそく指定された17ChにQSY、チェックインを果たす。既にCB版ロールコールは終わっているようで、どうやら当局がワッチしそこなったようである。その代わりDCRでは一発目のチェックイン局になれたようだ(笑。

正午過ぎからはずっと雲に覆われていた空は、撤収を完了して山を下りようとする時間になると、再び雲が解け始め、青空が覗きだしてくる。ハイカーが全く姿を現さなくなって久しい山頂は、再び静かな明るさを取り戻していた。

                                                            ('12/03)



運用データ

  
■運用日時・運用場所:
 
長野県茅野市 北横岳山頂(南峰) (標高2,472.5m)
   2012年3月20日(火) 10:50~14:40 
    
■使用リグ:
  CB: ICB-87R (SONY)
  DCR351(デジタル簡易無線):
   ・IC-DPR5 (ICOM)+1/4λホイップ (第一電波)
  パーソナル: PR-6 (信和)
  特小:
 DJ-R20D (アルインコ)
■使用電源
(予備含む)
  ・Li-ion 7.4V/6.4Ah×1、7.4V/1.85Ah×1 (DCR)
        10.8V/1.6Ah×1、10.8V/1.4Ah×1 (87R)
  ・NiMH 7..4V/2.3Ah×1 (PR-6)
  ・ 乾電池 (87R) (特小)      

QSO局
(敬称略)
無印=CB、DCR=デジタル簡易無線、PR=パーソナル無線、特レ=ナガノAA601局臨時レピータ(鶴ヶ峰)
3/20:北横岳山頂 
ナガノAA601/長野県上伊那郡辰野町鶴ヶ峰 57/59 ナガノTM285/長野県東筑摩郡山形村清水高原 58/59
ナガノM3104/長野県上伊那郡辰野町鶴ヶ峰 57/57 ナガノTM285/長野県東筑摩郡山形村清水高原(特レ) M5/M5
ナガノTM285/長野県東筑摩郡山形村清水高原 (PR) M5/M5 サイタマ599/埼玉県行田市 (DCR) M5/M5
サイタマMC305/埼玉県白岡町 (DCR) M5/M5 ナガノTM285/長野県東筑摩郡山形村清水高原 (DCR) M5/M5
つくばA3/茨城県つくば市つつじヶ丘 55/56 ナガノNP152/長野県伊那市伊那スキーリゾート 58/59
ナガノNP152/長野県伊那市伊那スキーリゾート (DCR) M5/M5 サイタマAB960/埼玉県久喜市 (DCR) M5/M5
イバラキAA818/茨城県筑波山 55/55 いたばしAB303/長野県須坂市四阿山 (DCR) M5/M5


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