伊吹山運用

ダイハード
夏に公開されていた「ダイハード4」では、デジタルの最先端をいくハッカーの大御所ワーロックが、『マイクロチップがいかれたこの世が終わる最後の瞬間まで、世間とつながっていたい』と、「保険」の意味でやっていたのが「ローテク」(=映画の中の言葉)の代表格CB無線だった。悪者一味を追い詰めるトラックのCB機から、66.6MHz?という意味ありげではるが、わけのわからない周波数で最後にこのハッカーのCBを通じて、FBIのサイバー部隊に救援を要請するマクレーン刑事であった。
「ローテク」は最後まで頼りになるということか。
CB機はローテクかもしれないが、今回の運用はさながら「ダイハード」?であった。


AE126局とアイボール
家の近所からはちょくちょく出てはいたが、久々の移動運用となる。当初は大台ケ原での運用を予定していたが、翌日早朝からの出張が入ったため断念、滋賀県米原市の伊吹山山頂(1,377m)へ移動することとする。
午前8:00過ぎ、ふもとのドライブウェイ入り口手前の駐車場で、同じく伊吹山の1000m地点で運用予定のアイチAE126局とアイボール、コーヒーを頂く。忘年会の猪鍋の話などしながら、山の方を見上げると、どんよりと空は曇っていた。                              
標高1,000m地点を過ぎて、ドライブウェイを更に高度を上げていくと、2台先の車がようやく見えるほどの濃霧となってくる。山頂の天候、気温が思いやらられるなぁと思いつつ、濃霧の駐車場に車を止め、ザックを背負って歩き始める。既に8:40を回っているが、観光客はほとんど居ない。そういえば、入り口ゲートで料金所の人が、『頂上はガスってて、今日は何もみえませんがいいですか?』、とわざわざ声をかけてくれた。

山頂への道

山頂への途中、リュウノウギク?が群生している。
思えば2003年8月に最初にここに運用に来たときは、CB関係のウェブサイトの存在もしらずに、予告なしの無謀な運用を試みに同じ道を登ってきた。
もちろん偶然QRVしている局もなく、最後の頼りは自宅においてきた、小学校低学年の子供だけが相手だったが、息子は置いてきた87Rの操作がイマイチわからず、結局完全な坊主に終わった。そのときは未だ8月の終わりだけに、かなりの花が咲いていた。。


気温12度?
頂上は7月末のSV2007時の大台ケ原に勝るとも劣らない濃霧だった。ロケがよい、南面のがけっぷちは、常に突風状態で、下から台風並みの風が吹き上げてきている。キーホルダーで体にへばりついていた、安物の方位磁石つき温度計は12度くらいを指していたが、実際の気温と体感温度はそれどころではなかった。こんなところに絶対に5~6時間も居られるはずがない、と思いつつ、せっせと設置場所を探している自分が怖い。
一等三角点から20mほど離れた祠の隣に折りたたみイスを設置、がけの下からの風がすごいので、立ち上がると大変なことになるが、座っていると比較的風をやり過ごせる。祠のコンクリート支柱に釣り竿をビニール紐でくくりつけ、特小をガムテープで固定、控えめに3mほどの高さにあげると、風の強弱に合わせて、特小が前後に大きく振動を開始する。濃霧のせいで、すぐにリグが濡れてきているのもわかる。耐環境試験状態だが、とりあえずこのまま放置し、折りたたみイスに設置したICB-707の電源をいれてみた。リグの表面はそれほどでもないが、ロッドアンテナからはポタリポタリとかなりの水が伝わって落ちてくる。「それでもやるのか」、というもう一人の自分と葛藤しつつ、CBでCQを出してみた。今度はもう一人の自分が、「707を持ってくるんではなかった」とつぶやいていた。

六甲を除き寒さ攻め
CQを出して早々、ナガオカHR420/2局から応答をいただく。すぐ近くの垂井町からのQRVだ。続いて、えひめCA34局/大台ケ原より応答を頂く。富士宝永山に設置された特小レピーター狙いとのことだが、今のところまだつながっていないという。バックノイズもすごかったが、リグが壊れそうなくらい、悪天候で寒いとのこと。こちらと同じような天気だ。一方、六甲移動のこうべAA805局によると、ぽかぽかしているとのことだが、御在所のイワテB73/2局の方もかなり寒いとのことだ。伊吹山1000m地点にQRVしているアイチAE126局からも、気温は14度しかないとの情報を受ける。六甲を除き、各局寒い中、移動運用をがんばっているようだ。

パーソナル(PR-900)は本格降雨時に備え、小型アンテナ(1/2λスリーブ)で設定。設置してすぐに、岡崎市固定のアイチAD162局のCQが飛び込んでくる。さすがに相手のアンテナ地上高と、こちらのロケのおかげで、ガンガンに強力に入ってくる。ここがパーソナルの面白いところでもある。それにしても、162局は当然部屋の中で、こちらとは大いに「温度差」を感じる。

特小の耐久試験はあまりにかわいそうなので、30分ほどでレピーターをおろすことに。
厚手のシャツ、厚手のトレーナー、冬物ジャケットにレインウェアと、厚着をしているので、強風さえなければ何とかなるが、それにしても寒い。前夜の、「使い捨てカイロ持って行く?」というXYLの言葉を信じておけばよかったと思いつつ、我慢の運用を続ける。きんきCJ86局は、ちょうど1年前の10月9日のQRVで、道端に止めたバイクから、87Rで、大阪箕面市からつないでいただいており1年ぶりのQSOとなる。
いつもつながるのが楽しみな局の一つ、きょうとKP127局舞鶴市よりお声掛けを頂く。いつもいろいろな場所に移動されているが、今日は「タネ山」にQRVされているもようだ。以前、舞鶴市槇山からは、当局移動地岐阜多治見市の潮見の森まで、見通し外でお互い電波を確認しあっている。
掲示板で移動場所の動向を注目していたヒョウゴAC315局が、兵庫県の暁晴山に出ておられる。カシミールの下調べでは伊吹山とは見通し外だが、予想通りなんなくつながる。QRV場所の情報をいろいろ頂く。頂上周辺のポイントをあちこち試されているようだが、ノイズが多くてかなり運用条件はよくないようだ。ただ、えひめCA34局が大台ケ原から特小でレピータにアクセスできているとのことだった。

山頂付近にて

一等三角点
当局が運用していた、祠を頂上と勘違いする人が多い。
特小レピーター
環境試験中
PR-900
ロケさえよければアンテナなど...

コンピラ山より
昼近くになっても、一向に日はささないし、気温も体感上、全くあがらない。それでも観光客がやってくる。「コンテストですかー」と声を掛けてくれるが、「合法CBです」というとあっさりと過ぎ去っていく。だいたい山頂で運用していると、かならずアマチュア局に声を掛けられるが、大体はハンディー機ひとつというパターンで、山頂まで来る人はハイキングや登山と一緒に楽しんでいるだけというケースが多いようだ。
4ChでCQを出していると、QRMの谷間から当局を呼ぶ声が弱いながらも聞こえてくる。よく聞くと、アイチDV65局で、移動地は「志摩市のコンピラ山」と言われている。「コンピラ山」という高い山などないはずだから、ずいぶん「遠い」ところから呼んでもらっているなぁと感謝しつつQSOを完了。後で調べてみると、先志摩にある標高99mほどの「金毘羅山」で、無論見通し外であった。
津島市からはアイチHD01局に呼んでもらう。リグはヘリカルの87Hで、一緒に87Rも持っているとのことだったので、87Rで送信してもらった信号を聞いてみると、Sが3つほど上昇する。さすがは87R、変調の乗り方もまったく異なる。

午後も1時を回ると聞こえる局が少なくなってきた。伊勢湾上に出ているアイチDI209局/MMも聞こえていたが、コールするタイミングを逸してしまう。名古屋市内港区からは、なごやMY825局が声をかけてくださった。これまでに何度かQSOしていただいているが、こうしたときに出て来てQSO頂くというのはうれしい限りである。アイチAE114/9局部子山ともずっとタイミング合わずだったが、お声がけを頂き無事QSO。あちらも風がかなり強いようで、強風を避けて、なんと山小屋の中から運用しているという。それでもQSOできてしまうのは山頂同士だからか。

やはり天候に左右?
1時40分を回った頃、えひめCA34局/大台ヶ原より再びコールを頂く。特小の状況は、依然芳しくないようで、宝永山レピーターには残念ながらほとんどまったくアクセスできていないとのことだった。SV2007で、当局が大台ケ原から富士山頂レピータにアクセスしたときもそうだった。濃霧、厚い雲等で覆われている間はつながらず、晴れ上がったとたんにつながるようになった。10mWという小出力のUHF波は、やはり気象条件に大きく影響を受けるのだろうか。

結局、2時過ぎまで、山頂運用を続けてしまう。山頂は、朝よりは20mほど視界がよくなったものの、依然霧に覆われたままだった。
QSOしていただいた各局、ありがとうございました。


伊吹山は霧の中に

霧は...
写真より、実際はかなり濃くみえます。
唯一目を
和ませてくれました。
1,000m地点より
午後3時頃帰り際に頂上方面を。
午前中は、これよりかなりひど
かったはず。

主要装備
主要装備:
使用リグ:ICB-707、PR-900(+1/2λスリーブ)、DJ-R20D×2
その他:釣竿5.4m、バッテリー6.6Ah、3.2Ah×2、5/8λ3段(コリニア)、折りたたみイス3脚
(ピンボケは霧のせいでなく、腕のせい)

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