[黒湯温泉にて(乳頭温泉郷)]




乳頭温泉郷

去年(2016年)の秋オンは山形県の月山運用で、折悪しく雨の中での運用だった。今年も九州方面から、台風18号が近づいてきているようで、本州へ雨風の影響がでるのは時間の問題だ。というより、おそらく中国、四国、九州方面はおそらく土日での運用は不可能だろう。当局が東北の秋田駒ケ岳で運用するのは、台風が来るからではなく、すでにSV終了後に移動場所を決めていたからである。その理由は簡単で、最近車をあまり動かしていないので、可愛そうなので、たまには少しだけ長距離を走らせてあげようという思いからである(笑。

秋田駒ケ岳は標高1,637m程で、田沢湖の東側にある。高山植物の花々に恵まれ、秋には紅葉と、ハイカーには人気の場所だ。すぐ北の裾には、こちらも温泉愛好家には人気の乳頭温泉郷がある。ということで、今回は運用(日曜日)のついでに、温泉(土曜日)も狙おうという欲張った計画だ。

10:30前、東京から乳頭温泉に到着、まずは温泉郷の一番奥にある黒湯温泉からスタートだ。乳頭温泉郷は基本的に黒湯温泉、孫六温泉、蟹場温泉、大釜温泉、鶴の湯、妙乃湯など7つの温泉があるが、よくあるほかの温泉郷のように歩いてはしごできるわけではなく、基本は車での移動になる。近い温泉同士でも数百メートル離れており、例えば、もっとも遠い?孫六温泉と鶴の湯では7キロ以上離れている。このため、温泉郷内では、はしご客のために「湯めぐり温泉バス」というのも運行されている。

 
 左から、孫六温泉、孫六温泉内湯、鶴の湯  



黒湯、孫六温泉、蟹場温泉、鶴の湯と、のんびりとお湯につかりながら転戦してみる(笑。ひとくちに乳頭温泉とくくられるが、これら四つに限らず、各温泉それぞれ個性はまちまちだ。自炊の宿泊棟など純粋に昔風の湯治場の雰囲気を残した温泉宿もあれば、建物は現代風に建て替えられている宿もある。共通して言えるのは、乳白色のお湯を基本とする温泉の品質の良さと、どこも魅力的な内湯と露天風呂を抱えているところだろうか。

各温泉、来場者の度合いもまちまちだ。鶴の湯は、茅葺の屋根や木造の宿泊棟の建屋が、昔ながらの湯治場風の雰囲気を醸し出し、バスでやってくるほどに観光客には人気のようだ。お風呂も多いが、人の数も多い(笑。時間を選ばないとのんびりとお湯につかるのは困難かも知れない。一方で孫六の湯などは、一時間近くの間、温泉に浸かっていたのは当局のみである。

温泉につかりながら、明日のことを考えてみる。理論的には台風の影響はまだ受けないはずだが、山の上は天気はどうなるか分からない。仮に天気が悪くなくても、台風が近づいてきているのは変わりないので、せいぜい昼までの運用が限界だろうか・・・・。

左:「アルパこまくさ」から見た駒ケ岳。アルパこまくさは入山者用の基地で、ここから八合目までシャトルバスが往復している。

右:夕暮れ時の田沢湖。
   


それは悪い癖です

朝5時、八合目駐車場で目を覚ますと、一面真っ白な霧の世界だ。気温は6度ほど、風は暴風とまではいかないが、かなりの勢いだ。上の方はもっと雨風で荒れてそうな雰囲気だ。ここから、頂上まではコースタイムで1時間20分、山登りというより完全なハイキングなので、悪天候でいつ途中で断念して戻ってきても全く「もったいなくない」山行ではある。この天気では、どのみちSR-01での運用は無理なので、車において出発する。

「新道コース」という最もポピュラーな登山道は、山を反時計回りに北から南に巻くように登っていくかたちになる。どうやら風は東方向から吹き抜けているようで、登っていくに従って、強風から暴風状態に変化してくる。草木をなぎ倒さんばかりの強風は、なかなか道を進むのにもてこずる。横殴りの風とはまさにこのことだ。しかも弱まる時が全くない。おまけに霧雨状態で有効視界は50mほど、ほとんど周りの様子が分からない(笑。いつ引き返そう、いつ引き返そうかと考えているうちに阿弥陀池と呼ばれる、山頂直下の池に到着する。この池の周りは木道になっているのだが、ちょうど風が東から西に抜ける道とあって、体を前に傾けて踏ん張って歩かないと前へ進まない。

ここまで来てしまうと頂上はもうすぐそこ。そうなると人間の悪い癖で、せっかくだから頂上でも踏んで帰ろうということになる。池のほとりからさらに頂上まで登りを進み始めると、なんとこの悪天候の中頂上から下りてくる登山者が一人いるではないか。何を好き好んでこんな天候の中、山に登るのか???当局には到底理解できない(笑。

山頂は南から風が吹いているようで、背中から風をまともに受ける形だ。一度体が動き出してしまうと、加速されて山頂からはじき出されてしまうので、とにかく動き出さないように踏ん張るのが大変だ。かろうじてカメラを取り出し、速攻で一枚だけ撮影、すかさずわきにある小さいケルンのような岩陰に退避する。岩陰といっても胸の高さもないのだが・・・。しかし、これまた人間の悪い癖で、今度はせっかく頂上まで来たのだから、一発でも無線を発砲して帰ろうという邪心が湧いてくる。我ながら、なんとなくそうなる悪い予感はしていたのですが・・・。当局の場合、歩いているときは一切無線運用はしないので、かじかみそうな手でザックからDCRを取り出し、アンテナを装着、再びザックを元に戻すという作業をこの状況下でしなければならないのである。



時計は7:00ちょうど、ケルンの後ろにしゃがみこんで、DCRを1Wで発砲してみる・・・・うん~ほかの場所の天気は皆目見当もつかないのだが、応答はあるのかぁ?・・・・と思っている暇もなく、イワテKA215局より応答がある。青森県の岩木山からだ。アオモリAA113局と合同運用とのことで、続けてAA113局ともつながる。う~ん、向こうもやはり強風のようだ。

しかしCQは一発では終わらない、これも人間の悪い習性だ。もう一回だけ、と念じてCQを出してみると、まだ待機局はおられて、みやぎIT03局から応答がある。ジョウボンサンという山かららしい。IT03局の当局の印象と言えば、やはり離島からEsで飛んでくるイメージが強いらしく、グランドウェーブでつながるというのが、どうも不思議な感じのようではある(笑。IT03局と言えば、'15年の渡嘉敷・座間味島運用時のMMで最初につながった時のことはもちろん鮮明に覚えている。

山頂に長居するのは危険だ。というより長居は不可能である。阿弥陀池脇には避難小屋がある。次なる邪心が頭をもたげてくる・・・建物の陰に隠れて11mを1分でも運用して帰ることだ(笑。

避難小屋には誰一人いない。二重扉の外の扉が強風でバタバタと揺れる。87Rを取り出そうとザックを下ろしてみると・・・、ん、ん、ん???、ザックカバーが見事に吹き飛んでなくなっていた(笑。山頂までは確かにあったので、小屋まで降りてくる10分間の間に吹き飛ばされたことになる。しかし全く気付かなかった。ザックカバーには可愛そうなことをしてしまった。



小屋の庇の下で、87Rを展開してみる。空も周りも相変わらず灰色の世界だ。スイッチオンですぐに、かがわMC36局が入感してくる。しかし弱めのEsで、呼びかけても応答はない。やがてフェイドアウトしていく。ほかにも何局かが入感してくるが、すぐに消えていった。はかない今日の天気のようだ。お目当ての7エリアグランドウェーブ局は、まだ開局されていないようだ。

小屋の庇下は、アンテナはびしょ濡れになるものの、風は防げるので、予想以上に「長時間」運用可能だ。もっとも飛び受けは保証の限りではない。目標の1分をはるかに超えて20分ほど粘ってみるが、時間が早すぎるせいか、GWの局長さんはまだ現れない。

この雨風はおそらく台風の直接の影響ではないので、10時くらいまで粘れば天候は回復しそうに思えるが、さっさと下山を選択だ。一応駒ケ岳山頂から曲りなりにもQRVできたので、思い残すことはない(笑。後ろ髪を引かれるのはザックカバーだけで、またもや西條八十の『ぼくの帽子』が脳裏によみがえる(笑。

9時、駐車場に戻ってきて87Rを飛ばしてみる。バスがやってくるまでの20分間が勝負だ。この時間、八合目まではマイカー規制が行われており、進入できるのは30分~1時間に一本位やってくるシャトルバスのみである。すでに駐車場にいる車は、バスの後ろに続いて下らなければならないのである。

岩木山にはまだイワテKA215局がおられ、11mでもつながる。雫石では、いわてAG22局が開局されたものの強風ですぐに撤収されるようだ。昨年の月山同様、この山でも再びQRVする時が来るはずだ・・・天気の良い日に(笑。

5QSO TNX!!             ('17/9)




鶴の湯




運用データ

■運用日時・運用場所:
 
 ・2017年9月17日(日) 7:00~7:10、7:30~7:50 
  ・秋田県仙北市秋田駒ケ岳山頂、避難小屋前、八合目駐車場
  

■使用&装備リグ:
  CB : ICB-87R(SONY)
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/4λホイップ
  
■使用電源
  ・リチウムイオン電池10.8V/0.9Ahほか

田沢湖畔にある「山のはちみつ屋」 コムハニーチーズタルト 


QSO局
5QSO TNX!!  
(敬称略)

9月17日(日)   
イワテKA215/青森県岩木山(DCR) M5/M5 アオモリAA113/青森県岩木山(DCR) M5/M5
みやぎIT03/宮城県石巻市上品山(DCR) M5/M5 イワテKA215/青森県岩木山 53/52
いわてAG22/岩手県雫石市網張 51/51



おまけ
 運用記UP後に、イバラギAA818局さんが、わざわざチョロQ「温泉物語シリーズ」の乳頭温泉バスを送ってくれました。もちろん未開封品です。AA818局さんに感謝、感謝!!大事にします。
温泉物語」は全国16の温泉がバスのシリーズになっているようです。AA818局さんは、シリーズはすべて持っておられるようです(笑。
   


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2017運用記
秋田駒ケ岳(秋オン)
秋田県仙北市