2014運用記
黒川牧場
長野県大鹿村



[標高2,013mの運用ポイント。]



静かなブーム(笑、53.5FM

 運用場所の開放感は抜群だ。

草原にできた轍のうえに立って、ピンポイントで位置を探る。やがて、ピコタンクのスケルチは完全に開かれ、今までぶつぶつと途切れていた、霧ケ峰局からの電波がFBに受かり始める。

最近長野県の伊那谷を中心に(笑、静かなブームとなっている53.5FM。今日は当局もHX-600(ピコタンク、スタンダード製)と50-H3(ユピテル)を持ち込みテストだ。HX-600の方は受信の方は問題なさそうだ。音量感もバッチリで、霧ケ峰からのFM波がきれいに再生されてくる。

霧ケ峰局の交信のお相手は、高烏谷山(伊那市・駒ケ根市)におられる、ながのDF73局のようだ。無論交信は両局ともアマコールなので、CBコールは不明だが、DF73局は先ほどデジ簡でつなげていただいたので間違いはなさそうである。DF73局も、「今回アマ機も持ち込んでいるので、最近静かなブームになっている、53.5FMにも出てみようと思います・・・。」と先ほど言われていた。

高烏谷山からはデジ簡では、200mW で全く問題なしにこちらに届いていたのだが、53.5FMでは、DF73局側の電波をとらえることができない。このピコタンク、とてもアマ機とは思えない、ホット側をアンテナにつないだだけの、超簡易設計、しかも6mにしてはとんでもなく短いアンテナなので、受信能力はそんなところだろう。送信の方は、50-H3でいきなりCQを出して試してみるが、やはりどなたからも応答はない。さすがに10mWでは、見通しに相手がいないと、交信は無理である(笑。別にスケジュールを組んでいるわけではないが、これでは、ブームの火付け役?(笑、ナガノNP152局(伊那市)とも交信は無理のようではある。


黒川牧場?


天気は、今日も?快晴だ。黒川牧場に流れる高原の風は、どこまでもさわやかだ。イスに深々と腰を掛けていると、いつもの通り、眠ってしまいそうになるくらい気持ちの良い天気だ。下界には、すっかり赤、黄に色づいた山襞と、遠くにはやや青みがかった少しだけの平地が顔をのぞかせている。その先には再び、中央アルプスの山すそが、その青みがかった大地から急速に立ち上がっている。紅葉はすでに終盤だが、ここに上がってくる間にも十分にその色づきを楽しむことができる。晩秋の高原は最高の雰囲気を醸し出していた。



今回の運用ロケは、長野県大鹿村にある黒川牧場だ。しかし、なぜ黒川牧場なのか?そんな場所、誰も知っている人はいない(はず)。

どうでもいい話だが(笑、当局の基本モットーは、①(高所運用では)山頂での運用時間をMAXにすること、②できるだけ人様がよく運用する場所は避けること、である。そして、今回の追加条件は、天気予報で一時雨も予想されたので、③できるだけ高い場所でありながら、すぐに車等に退避できる場所、④最近静かなブームとなっている53.5FMを試すべく、伊那市から遠くもなく近くもない場所、ということになる。

実は、②の条件を達成するのは意外と難しい。そもそも運用によく使われる場所というのは、電波の飛び受けが良いから使われるのであって、そこを避けるというのは、飛ばない場所を選ぶのに等しいからだ。さらに、比較的飛び受けが悪い場所ですら、すでに運用で(めったに)使われたことがないような場所を探すのは極めて困難だからだ。黒川牧場の運用ポイントは標高2,013mで、これらの条件をすべて満たすことになる。ロケ的には、山登りをされる方はよくご存じの、南アルプスの玄関口の一つである三伏峠口へ通ずる鳥倉林道から北へ分岐した場所である。


 到着後さっそくルーフの790Tでワッチに入る。



それにしても、おもいっきり・・・探偵団?・・・ではなく(笑、思いっきりマイナーな場所を選んだつもりだが、結構この場所には意外と人がやってくる。平均すると一時間に二人ぐらいだが(笑、それでも、一日中誰もやってこないだろうと、たかをくくっていた当局の予想を思いっきり裏切ってくれた(爆。そもそも、黒川牧場なんて誰も聞いたことがないだろうし、ここは一番近い「山間の」集落から、林道を車で40分以上走らないと来られない場所だ。しかも最後の2~3キロは乗用車では腹をすりそうなデコボコの砂利道である。

 

それでも犬を何匹もつれて、ドッグランをしにくる人やら、ランクル愛好家たちや、軽の四駆マニアが数台でやってくる。しかもランクル愛好家の一人は、何を思ったか、車を停めるや否や、まっしぐらに当局に向かって駆け寄ってくるではないか???!!!
「これ、790ですよね?。CBですか、なっつかし~いなぁ・・・」一体、何事かと思っていた当局に聞こえてきた最初の言葉が「790」だ(笑。今日はアマ機も持ち込んでいる。(あまりアマ機には見えないが。)テーブルに数多く並んだリグの中から、いきなり790を名指しできたのにはびっくりだ。ほかの多くのCBerがそうであるように、どうやら、中高生の頃ハマっていたらしい。
「770とか、707もまだ持ってるんですよ。707なんか、もうとっくに無線なんかやってないんですが、数年前リサイクルセンターに1万5千円で出ていたもんだから、思わず買ってしまいましたょ・・・。」昔懐かしく、よほどうれしいのか、かなり饒舌だ(笑。
「1万5千円とはいい買い物しましたね・・・程度のいいやつは5万以上しますからね・・・。」(=当局)
「今日はイベントデーか何かですか?」
おー、「イベントデー」を知っているとは、やはりかなりハマっていたようだ。
「夏の・・・、なんでしたっけ?、イベントデーでは、一晩中やりましたよ~」
それは、SVに違いないだろうが、こうした中高年の方々は多分ほかにたくさんいらっしゃるのかもしれない。

後日、たまたま判明したことだが、ドッグランに来ていた人は、ながおかHR420局と同じ会社の人らしい(HR420局ブログによる)。全くの偶然だが、こんな偶然は、ただ気づかないだけで、意外とそこらへんに転がっているのかもしれない。


TX-830で行ってみよう!


 中・下:TX-830。カバーも本体も
 ピカピカだ。

あまりの天気の良さに、また日焼けしまいかと心配だが、さすがに秋の一日だけあって顔が少々火照る程度だ。テーブルの正面には、文字通りパノラマの景色が広がる。こういう景色にはコーヒーが一番。今日は80年代に通った、吉祥寺の「ペンギンカフェ」のカップ&ソーサーだ。(しかし、いまだに持っているとは・・・(笑)入感局もほとんどないので(笑、自ずとゆっくりとした時間が流れていく。

お空の方は、11月に入っても相変わらずノイズ感が激しい。Fが元気なのか、6Chあたりではホニャラも明瞭だ。オキナワYC228局も2発ほどでコールバックがあるが、やはり夏のEs伝搬とは異なる感じだ。別に信号強度が弱いというわけではないのだが、QSBが弱い代わりに気のせいかどことなく遠くで鳴っているような感じだ。

三重県と滋賀県を結ぶ武平峠(御在所岳のすぐ下)には、ミエAA469局が出られており、デジ簡でつながる。「さっき11mでも呼んだんですけどねぇ~。ダメでした。」と言われる。そういえば先ほど11mでCQを出していた時、確かに「QRZ、アルファーステ~ション~っ」と叫んでいた。AA469局には、何の変哲もなく53程度で届いていたようだが、当局側ではほとんど信号をピックアップできなかった。海外ノイズが朝から激しくこちらでは聞きにくかったせいもあるが、どうもそれを勘案してもAA469局からの信号と当局の信号はあまりに落差があったようである。実は先ほども、同じく三重県から滋賀県へ通ずる石槫峠にQRVされている、ながおかHR420局ともつながっていたのだが、こちらもぎりぎりでのQSOだった。こちらも、HR420局にはふつうに聞こえていたようであった。どうもおかしい。自宅に帰って調べてみると、AA469局とはちょうど恵那山山頂、HR420局とは恵那山の北側の富士見台近辺での回折のようである。どうも、送りと受けで、回折前後の伝搬経路上の条件の違いが、飛び受けに影響しているようである。

今回は、車で運用場所まで上がることもあり、重量的に持ち込み制限はないので(笑、懐かしのトランシーバーも持ち込んでみる。三菱のTX-830である。6Ch、100mW仕様だ。このトランシーバーを動かすのも7年ぶりぐらいだろうか。しばらく790と並行ワッチしてみるがノイズの出方と言い、時々ピーク的に入ってくるノイズの再生も極めて正常だ。CQもたびたび飛ばしてみるが、残念ながら運用局が少なく応答はない。先月の運用ではT-1(製造から52年)を使ってみたが、このトランシーバーも製造から46年経っているが、これまでノーメンテでいまだに正常動作(たぶん)するところはあっぱれである。つくりは非常にしっかりしており、「MITSUBISHI ELECTRIC」の文字が誇らしげだ。昔のトランシーバーづくりの意気込みを感じるこのリグでのQSOは次回のチャンスに持越しだ。

53.5FMによるQRPは、これからますます流行りそうな雰囲気である(笑。当局も6mを運用?するのは、2009年しらびそ高原から6m(&20m)を運用して以来久々である。おそらくこんなことがなければ6mなど今更運用することはないだろう。ライセンスフリーQRPからは若干逸れるが、まあ固いことは言わずにこれはこれで楽しむことにしよう。

各局TNX!!

                                               ('14/11)




運用データ
■運用日時・運用場所:
 
 2014年11月3日(月) 8:20~13:45
    
 長野県大鹿村黒川牧場
  
■使用&装備リグ:
  CB: ICB-790T(SONY)、TX-830(三菱)、ICB-87R(SONY)
  DCR: IC-DPR5(ICOM)+1/4λホイップ
  アマ機: HX-600T(スタンダード)、50H-3(ユピテル)
  
■使用電源
  ・乾電池、リチウムイオン電池


QSO局
10QSO TNX!!  
(敬称略)

11月3日(月)   
ながのCU78/長野県箕輪町萱野高原(DCR) M4/M4~5 ながのDF73/長野県伊那市高烏谷山(DCR) M5/M5
おきなわYC228/JR6 52/53 ながおかHR420/三重県いなべ市石槫峠 51/53
ながのDF73/長野県伊那市高烏谷山 51/51 ミエAC129/三重県菰野町 52/52
ミエAA469/三重県菰野町武平峠(DCR) M5/M5 ながのYS21/長野県箕輪町萱野高原(DCR) M4/M4
ながのDF58/長野県霧ケ峰(DCR) M5/M5 ミエAA469/三重県菰野町武平峠 41/52



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