ちょうど一年
7:43分、鎌倉駅に降り立つ。日曜日の朝なのでウイークデーとはまた違ったあわただしさがあるように思われる。小さなリュックを担いだハイカーや観光客などで駅前のロータリーは賑わっている。
北鎌倉の六国見山で運用したのは、ちょうど1年前である。「ジャスト1年」を狙ってきたわけではないが、やはり1年に一度くらいは来たくなるのが鎌倉なのである。昨年は、北鎌倉から六国見山へ向い、運用後鶴岡八幡経由報国寺へ、そして鎌倉駅に戻るというコースだった。今日のコースもまず運用場所を中心に考えてみる。鎌倉で高さがある場所は限られている。(高いといってもせいぜい130mから140mくらいだが。)場所的には久しぶりに極楽寺や長谷寺といった西方面へも行きたいが、こちらには高い場所がない。運用場所は逗子方面に近い衣張山(標高約120m)に設定、ただし、冬の海ものんびり眺めたいので、まずは由比ガ浜に出て、そこから釈迦堂の切り通し方面に向かい、更に鎌倉逗子ハイランドの西面に出て、衣張山へは南面から登ることにする(地図)。そこまで行くと、報国寺に寄らない手はないので、昨年同様、お抹茶を頂いて帰ることにするが、ただ今年は久しぶりに浄妙寺まで足を伸ばして、ケーキ&コーヒータイムとする。鎌倉駅へは、最後に、観光地にありがちな、クレープ屋やら、煎餅屋、漬物屋、みやげの小物屋などが立ち並ぶ小町通りをぶらついて帰る。…いつもながら完璧なシナリオだ(爆。
マジっすか?
しかしシナリオは完璧でも、常に想定外がつきものだ。材木座の波打ち際でボケーと海を眺めていたら、いつの間にか忍び寄って来た波にひざ下までずぶ濡れになってしまった。アッという間のできことだ。「マジっすか?」…思わず漏れ出た自分の声だ(笑。波打ち際の目測を誤る…この歳になって全く、お恥ずかしい限りである。というか、今日は波の引き際の距離に一回一回差があり過ぎるような気がするのだが…地球温暖化の影響か?(=まったく関係ありません。)
ひとりしかいないことを良いことに、ずぶ濡れになった両足を写真にも記録せずに、何事もなかったかのように振舞う当局。無視無視!。グッチュン、グッチュンと歩くたびに、音がするのは単なる気のせい気のせい…。一瞬、小学生の頃の、大雨の日の帰り道が思い起こされる…。
それにしてもまだ朝8時過ぎだと言うのに、材木座海岸・由比が浜には一群の海鳥が波間に漂うように、たくさんのサーファーが海に繰り出していた。
景色は抜群
衣張山へ通じる南側の登り口では、赤い毛糸の帽子を被ったお地蔵さん?がにっこりと出迎えてくれる(=冒頭写真)。なぜか登り始める頃には、グッチュングッチュン言っていた靴の中も、早くもほとんど気にならないほど乾き始めていた。
衣張山山頂――もちろん山と言うほどではないが――はちょっとした広場のようになっている。一つだけあるベンチに荷物を降ろし、そこだけ開いた片隅の崖っぷちに立つと、さっきまで佇んでいた(…いや、足がびしょ濡れになった)由比が浜の海岸が良く見える。鎌倉の中心街も一望だ。稲村ガ崎から江ノ島、そして更に右に目を移していくと、中空には富士山も雪を被った上半身三分の一が、うっすらと輪郭を現している。
空の色はそれほど深くはないが快晴だ。冷たい微風が山頂広場の葉を揺らしている。チャンネルを一通りチェックしてみると、8Chは無変調系のノイズがS2くらい振っている。5、6チャンネルは、スタンバイピーにホニャラで南方系がかなりがやがやと騒々しい。いつものように3、8Chは避けて6Ch狙いだが、このノイズはちょっとてこずりそうだ。
それでもCQを出してみると、すぐに応答がある。チバCB750局だ。海を隔てた千葉県側からコールいただいていると思われるが、RSは51程度、やはり6Chでは海外ノイズで潰されてロングQSOは難しい。運用場所を聞きそびれてしまった。チバCB750局とは、なぜかいつもこんなQSOばかりで、中途半端で申し訳ない。
山頂は北から東にかけては木立がある分、飛び受けは余りよくなさそうだが、平塚から伊豆半島方向は、見通しがバッチリである。やはりこちら方向からの電波は耳Sでは強力に入感してくる。平塚からはカナガワFK66局、国府津の駅近くからはショウナンJS900局にコールをいただく。特にJS900局の変調音は深くてFBだ。
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左:「山頂」。 中・右:さっきまでいた、由比が浜の海岸も良く見える。 |
山梨県忍野村と・・・
DCRはどうだろう。標高120mほどで、北方向にはここよりも高さがある半僧坊や大平山など「鎌倉アルプス」の尾根があるので横浜や東京方面には余り飛びそうもない。やはり飛ぶとすれば西方向だろうか?CQを出してみると、予想通り、一発目の応答は西からだ。山梨県忍野村固定のヤマナシJX89局からだ。ん~忍野??こんな場所から忍野と繋がるのか??しかも固定である。不思議だ。固定と言うことはモービルなどで高い場所に移動しているわけではなく、おそらく里の平地からだ。「以前三国山からQSOいただきました」というのを聞いてすぐに思い出したが、昨年11月3日の「各オン」で、当局が三国山(長野県川上村)からオンエアした時、前橋市内のモービルからQSO頂いた局長さんだ。時々信号が途切れると言われているが、忍野からだとムリもないような気がする。どこかで回折しているのに違いない。確かにスケルチが入った状態だと、当局側でも時々途切れるが、モニターモードでスケルチをはずすと、オールコピーで全く問題なく入感してくる。いずれにせよ、鎌倉市内から富士山のふもと、忍野村と繋がったのは収穫だ。
更にDCRでは横浜市旭区から、ヨコハマAA815局にお声がけをいただく。こちらは更に、というか、かなり微妙な入感だ。最初はQRZの連発でコールサインがほとんど全く掴めない状態だ。それでも、微妙に立ち位置を変更しポジションを探り出し腕を固定すると、よどみなく入感してくる(笑。当局側は西向きに開けたところが出ているので、旭区方向にはもともと厳しく無理もないのだが、AA815局はなんと1W送信で標高120mの衣張山まで飛ばしてきているようである。
11時も回ると、朝からの冷たい微風もおさまり、暖かい直射日光を浴びて、ぽかぽかと絶好の無線日和になってくる。鎌倉ではそんなにメジャーな場所でもないのに、ここには次々とハイカーがやってくる。……そう確かにマイナーな場所かもしれない。大平山あたりにはあれだけ出没されている、カナガワOT207局でさえ、「報国寺の南側、鎌倉逗子ハイランドのすぐ西側のあたり」、と説明しても全くピンとこないとのことだった。「釈迦堂切り通しの東側」と言った方が通じたかもしれない(爆。確かに衣張山は余りメジャーではないが、広場状の山頂は海が見えて景色もよく、開放感いっぱいなので、絶好のお弁当ポイントのようでもある。ついでに言うと、衣張山より更に南側には、「パノラマ台」と呼ばれる、富士や夕日を眺める場所として絶好なビューポイントがある。こちらは、文字通りガイドブックなどでは、よく「穴場」として紹介されている場所でもある。
大山中腹には、カナガワAD505局がご家族で運用されている。いつもの城山湖からは、かながわCE47局にもコールを頂く。AD505局といい、CE47局といい、丁度一年前の六国見山運用時にQSOしていただいている。昨年の六国見山運用時はQSO局も少なかったこともあり、どの局にお相手していただいたかはほとんど記憶している。CE47局には一年の間に他の場面でも時々QSO頂いているが、AD505局とはちょうど一年ぶりのQSOということになる。(FK66局とも1年振りである。)
報国寺&石窯ガーデンテラス
さて、運用は適度に切り上げ昨年同様、次のミッションの開始だ。まずは山を下りて、報国寺をめざす。杉本寺方面へと下りていく衣張山の北側は、ここは鎌倉?と思うほど、うっそうと木が生い茂った、本格的な登山の山道のようだ。北側から登って来ると、ちょっとした「山登り」気分が(5分だけ)味わえるだろう(笑。南側から登るとほとんど高低差はないので、これはかなり対照的な雰囲気である。
報国寺は参拝客が少なくないにもかかわらず、相変わらず静かな佇まいである。竹林という庭園が、厳かに訪問客を鎮めてくれるのかもしれない。ちょうど一年前に撮影した石像には、昨年とは違った花が供えてある。誰かがいつも見守っているのに違いない。
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中:お抹茶処。決して広くはない竹の庭園だが、心が鎮まる。 |
報国寺で心を鎮めて、さらに今日は浄妙寺へと足を伸ばしてみる。浄妙寺は報国寺のすぐ近くなのだが、ここまで来るのは本当に久しぶりだ。ここでも報国寺同様、こじんまりとした石庭を眺めながらお抹茶を頂くことができる。ただ今日はその先の境内の、少し高台にある「石窯ガーデンテラス」で、コーヒー&ケーキセットのひと時を過ごしてみる。ケーキとコーヒーは何種類かから選べる。今日のチョイスは焼きプリンとカプチーノである。「うまい」という安っぽい形容詞は、おいしさの表現としては使ってはならないのだが、実にうまい。「大人のふりかけ」というのがどこかにあったが(喩えが悪いが)、これはまさしく大人のプリンである。カプチーノも絶妙だ。報国寺でお抹茶を頂いてから、まだほとんど時間が経っていないのだが・・・一服してばかりである。
来年の今頃はどこでどうしているのか?報国寺の石仏にはまた違ったお花が供えてあるのかもしれない。
(’13/2)
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運用データ |
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■運用日時・運用場所: 2013年2月3日 10:13~13:13 神奈川県鎌倉市衣張山山頂(標高120m) ■使用&装備リグ: CB: ICB-707(SONY) DCR351(デジタル簡易無線): IC-DPR5 (ICOM)+1/4λホイップ (第一電波) ■使用電源(予備含む) ・Li-ion: 7.2V/6.2Ah×1 (DCR) 10.8V/3.2Ah (707) |
チバCB750 | 51/53 | かながわFK66/神奈川県平塚市 | 52/52 |
ショウナンJS900神奈川県小田原市 | 52/54 | やまなしJX89/山梨県忍野村(DCR) | M5/M5 |
ヨコハマAA815/神奈川県横浜市旭区(DCR) | M5/M5 | カナガワFK66/神奈川県平塚市(DCR) | M5/M5 |
カナガワAD506/神奈川県伊勢原市大山中腹 | 57/54 | かながわCE47/神奈川県相模原市城山湖 | 52/52 |
カナガワAD507/神奈川県伊勢原市大山中腹 | 57/54 | カナガワOT207/神奈川県横浜市戸塚区 | 55/56 |
カナガワAD505/神奈川県伊勢原市大山中腹 | 57/55 |
2013運用記 | |||
神奈川県鎌倉市 |