琵琶湖西岸
2日、4日と、たまたま大阪出張となったので、間に挟まれた11月3日(水、祝)のOADは、そのまま大阪に滞在して、関西近辺から出ることにしてみる。当初は関西でも有数のススキの名所と言われる和歌山県の生石高原(おいしこうげん)にある生石ヶ峰(870m)からQRVを計画するも、諸般の事情により断念、前夜急遽予定を変更し蓬莱山(滋賀県
大津市)から出てみることにする。六甲山を襲撃するという選択肢もあったが、神出鬼没をモットーとしている当局(笑)としては、やはり違った場所から出るという意外性が重要?だ。 蓬莱山は1,200mに満たない標高だが、冬はびわ湖バレイというスキー場になっており、ゴンドラで一気に上まで上がることができる。


朝から天気は快晴だ。しかし、最寄り駅の湖西線志賀駅に降り立つと、この時期にしてはかなり空気が冷たい。ゴンドラ乗り場へのバスを待つ間にセーターの上にダウンを着込む。バスを待っているのはハイカー客がほとんどで、登りか下りのどちらかで、ゴンドラを利用してトレッキングを楽しむ人が多いようだ。
121人乗りのゴンドラは琵琶湖を一望しながら、頂上まで一足飛びに駆け上がっていく。(日本で最速らしい) 山頂駅兼レストランの自動ドアが開くと、一気に冷たい風が体を包みこむ。ゴンドラ駅のすぐ前にある展望台は打見山にあり、本当の蓬莱山は更にゲレンデ二つ分南西側にある。快晴の光の中、高原状になった蓬莱山の頂上が青い空をバックによく見えている。しかし、それにしても風が強く冷たい。

リチウムイオン電池仕様の707は、テーブルにセットしても、風ですぐに飛ばされそうになる。ネットで前夜見た琵琶湖バレイHPの気温は6度台だった。今日も同じくらいの気温なのだろうが、風が強い分体感温度をかなり下げている。駅舎を出る前にポケットに忍ばせた自販機の缶コーヒーで手を温めながら、打見山展望台でQRVを開始する。




う~ん・・・寒い!
11月のOADは、OADの中では最も静かだ。9:30はとうに回っているが、チャンネル内には誰も居ない。誰かが出てくる気配もない(笑。しかし最初から期待はしていないので、こんなものだろう。しばらくCQを出していると、岐阜県池田山のナガオカHR420局からお声がかかる。琵琶湖を挟んでお隣のはずだが、Sは意外に弱く53だ。池田山ならもっとガツンと来てもよさそうなのだが…。奈良県天理市からはテンリMH784局が運用されている。MH784局は当局より早い時間から運用されていたようだが、まだ余りつながっていないようだ。


場所的に言って、リグを持ちながら少しうろうろすれば、両局とも感度も上がりそうな気がするのだが、寒いので、うろうろする気合がなかなか出てこない。片手はポケットに突っ込んだまま、ベンチで背中を丸めたままの運用だ。ここは風が強いというのは、運用実績のあるヒョウゴAC315局さんから以前聞いた気がするが、それにしても今日は寒いぞ~っ!

三重県の青山高原には、朝からアイチUO11局が出られていた。鈴鹿方向は南にずれると相性がよいのか、S6ながら耳Sではかなり強力に入感してくる。UO11局とは久しぶりのQSOだ。今日も、アイチDI209局さんとこれから合同運用らしいが、UO11局が先に出てこられるというのも少々妙な気もする。

嘆きの「つぶやき」

ゴンドラで登ってくるお客さんは観光客というより、ほとんどがトレッキング武装したハイカーだ。ゲレンデを、蓬莱山方向目指して、色づき始めた紅葉の背景へと溶け込んでいく。11時過ぎからは快晴だった空に、時々灰色の大きな雲がよぎり始める。次から次へとやってきては日差しを塞ぎ、小雨を降らせていく。おかけで当局は、20分おき位にレストハウスへと撤収せざるを得なくなる。定期的に展望台とレストハウスを行ったり来たりだ。しかし、ちょっと引っ込んで暖房機の前でコーヒーをすすって、体を温めなおすには、ちょうどよい合間なのかもしれない。

ある時展望台に戻ると、キンキCJ86局の嘆きの言葉が、オンエアされて独り響いていた。「誰も出てこないよ~」と(笑。その気持ちは分からないではない。11月のOADとはいえ、3エリア側も今日は圧倒的にQRV局が少ないように思える。京都府南丹市の深山(ヒョウゴAB245局、ミヤギFS43局)や金剛山(オオサカKA06局)といった、おなじみの場所には移動局が出ているが、他に聞こえてくる局がほとんどない。このロケなら9エリアが聞こえてきてもおかしくないのだが、9エリアからも全く何も聞こえてこない。逆に、海外からは、「コンニチワ、アロハー」といったノーテンキな片言の日本語や、ロシア語お姉さんの海外局が、いつもよりやけに騒々しく入感してきていた。


50mW、100mW
しかし、こういう日のOADは、程よい距離に移動局がいて、チャンネルもすいているし、適度に時間があるので、実験日和ではある。各局低出力トランシーバーを試されているようだ。オオサカHNC24局は、護摩壇山から、500mWでの交信終了後に50mWを試される。スピーカー変調と、海外ノイズのせいで若干明瞭度が落ちるが、Sメータはきっちり振れてくる。RS41で和歌山県の田辺市から飛んでくる。(131Km)当局と交信終了後は、ミヤギFS43局が同じく50mWでHNC24局を呼ばれる。50mW同士で交信を試されるようだ。ワッチしていると、FS43局の50mW波は当局にも入感してくる。500mWは53、50mWは51である。FS43局に参考のために当局からもレポートを送ってしばらくすると、えひめCA34局からコールがかかる。しかし、六甲と思われるCA34局の信号は距離の割には41で異様に厳しい入感だ。よくお聞きすると、なんとCA34局も50mWで当局を呼ばれたらしいが、当局に届かなかったようだ、といわれている。ふむ、確かに聞こえなかったが、500mWでこの入感であれば、50mWでは到底無理なはずだ。どうやら六甲方向は蓬莱山の山陰にあたるらしかった。
100mWでは、ヒョウゴAB245局がRJ-260で深山から、ミエAA469局が青山高原からオンエアされていた。





国際電気
14時近くになると、さすがに風もかなりおさまり、気温も幾分上昇してきたようだ。少しは運用もしやすくなってくるが、寒いのに変わりはない。空も相変わらず灰色の雲が時折覆い尽くし、雨もパラパラと降ってくる。岐阜県関市の中美濃林道にはアイチAE114局が移動されている。山越えになるのと、海外からのノイズで信号は51だ。お互い「寒いですね~」というのが、合言葉のように、AE114局も車に入ったり出たりで、寒さを防ぎながら運用されているようだ。一方海外ノイズのなか、ひときわ強いCQが入感してくる。きょうとYS12局だった。比叡山に移動されているとのことで、メータの振れはなぜか渋いが、信号はくっきりすっきり、さすがに強力だ。この信号の強さに「比叡山」と聞き、我ながらあらためて京都に近い?場所にQRVしていることを思い出させてくれる。

えひめCA34局からも2回目のコールを頂く。午前中も厳しい入感だったが、午後は午後で5、6Chを中心にロシア語が異様に強く入感していた。ノイズで聞き取りづらい中、CA34局さんのブログ「50みりわった~ず」の国際電気の100mWトランシーバーの話などをしながらQSOを終える。ブログではここのところずっと、リグ紹介シリーズを掲載されており、トランシーバーへの思い入れなど、どれも興味深い記事である。

14時半を過ぎると、バンド内はいよいよ何も聞こえなくなってくる。各局、もう撤収したのだろうか?しかし、バンド内では唯一、テンリMH784局(天理市竜王山)のCQのみが響いてくる。当局より先にQRVされていたはずなので、今日は運用局が少ないのに、よくがんばっておられるなぁーと感心する(笑。朝のQSO時は億劫がって運用ポイントを動かさなかったのだが、場所をいろいろ変えてポイントを探ってみると、今度は57で信号を捉えることができる。もういちど、MH784局にお声掛けし、今日最後の交信のつもりで、57をレポートする。784局はまだまだがんばれるようだ。

打見山ではなく、蓬莱山まで上がれば、六甲などとも50mWでいけたのかもしれないが、なにせ服こそスーツでないものの、靴は革靴のままだ(爆。蓬莱山との違いは、次回のチャンスにとっておこう。

                                                   (’10/11)



[琵琶湖、紅葉&707]


運用データ
運用日:
  2010年11月03日(水、祝) 9:35~14:45
      
運用場所:
  滋賀県大津市
  蓬莱山(打見山展望台) (標高約1,100m)
       
使用リグ:
  ICB-707、DJ-R20D 
  
    




QSO局
(敬称略)

CB
ながおかHR420/岐阜県揖斐郡池田山 53/53 テンリMH784/奈良県天理市竜王山 (1回目) 53/51
アイチUO11/三重県青山高原 56/56 キンキCJ86/京都府井手町大峰山 54(57)/54
ヒョウゴAB245/京都府南丹市深山 53/52 ミヤギFS43/3/京都府南丹市深山 53/52
アイチDI209/三重県青山高原 53/55 オオサカKA06/大阪府千早赤阪村金剛山 55/45
キンキAC846/大阪府河内長野市岩湧山 58/58 オオサカHNC24/和歌山県田辺市護摩壇山 53/55
オオサカHNC24/和歌山県田辺市護摩壇山* 41/51 ミヤギFS43/3/京都府南丹市深山* 51/M5
えひめCA34/3/兵庫県六甲山 41/51 キンキCO63/大阪府河内長野市編笠山 51/53
ミエAA469/三重県青山高原 52/52 アイチAE114/岐阜県関市中美濃林道 51/52
えひめCA34/3/兵庫県六甲山 (2回目) 51/52 きょうとYS12/京都府比叡山 54/59
テンリMH784/奈良県天理市竜王山 (2回目) 57/
*:相手局50mW、当局500mW


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 '10/11/03: 滋賀県大津市