御岳山
 '09/05/03~04





残雪の南アルプス

昨年11月に、紅葉の中、しらびそ高原(長野県飯田市)で運用したときに、この場所からの残雪の美しい南アルプスの姿が既に頭に描かれており、GWの一斉移動も同じ場所で運用してみることにする。5月3日16時過ぎに、しらびそ峠から見る聖岳・大沢岳の山々は、暖冬気味だったせいか思い描いていたほど残雪も多くなく、あいにくの曇り空の下に、それでも人を遠ざけるように堂々と聳え立っていた。

目的地の「ハイランドしらびそ」脇の展望広場で、87Rを取り出しコンディションを確認すると、山梨県側の富士山5合目で運用されているしずおかDD23局の波が飛び込んでくる。OADの本番は翌日の4日だが、既に移動局が多数出ているようで、1エリア、静岡の各局と交信されているようだ。富士山の側面から、目の前に壁のように立ちはだかる南アルプスも物ともせずに飛んでくる。DD23局はその後5合目から4合目に移動されて運用されていたが、4合目の方はICB-770にてRS53で、より強力に入感してきていた。4合目は当局から見て5合目より障害物の少ない、若干西よりにずれている?ためだろうか。

DD23 局とのQSO終了後、改めてチャンネル内すべてのコンディションを確認してみると、全チャンネル空電のようなジリジリ、ビリビリというノイズが絶え間なくS2くらい振っている。これではせっかくノイズの少ない(はずの)山の上に来た意味がない。どうも、「ハイランドしらびそ」からの人工的なノイズと思われ、明日もこんな調子かと思うと、思いやられる。給湯設備か何かのノイズだろうか?おまけに、4、5Chは南方系の交信が凄まじくうるさく入感している。

それでもCQを出してみると、富山県の立山への登山移動中のギフAA365/9局にコールを頂く。喜んだのも束の間、ノイズと海外QRMにやられ、ショートQSOにて失礼せざるを得なくなる。まだ立山山頂まで行かれていないと思われたが、運用場所を確認することもできなかった。長野県塩尻移動のシズオカYM181局にもコールを頂くが、こちらもノイズと凄まじい海外QRMで、コールサインの数字を取るのにお手数をかけてしまう。2エリアからは、四日市港にミエAA469局が待機しておられ、こちらはRS55とノイズをものともせず大変強力に入感してくる。18時すぎからは、ロシア語のお姉さんが当局のCQに明らかに反応してくれているが、ロシア語では何のことか、さっぱり分からない(笑)。


久々の6m

3日の夜は、連絡用に6mも久しぶりに「運用」しようということで、明るいうちに駐車場の柵にアンテナ(釣竿)をくくりつけてワイヤーアンテナを設置完了。(「踏みたてくん」は持ってきていないし、当局は車でモービルはやらないので、車にアンテナは設置していない)さあ、運用しようかと言うところで、見回りに来た管理人さん曰く、車のタイヤを柵の横に乗り入れてはならぬ、というご下言。判然としないが、柵から1.5mほどは木のチップをまいた「遊歩道」になっているらしい。ルールとあらば仕方ないが、車を後退させると4mの同軸では長さが足りない。仕方なしに、柵は諦め、後退させた車のドアミラーに釣竿をくくりつけてワッチを開始する。(笑)

連絡用のCQを出しても6mは感無しなので、ついついHFのワッチに入ってしまう。久々に聞く14メガは、海外でのコンテストが行われていることもあり、21時を回ってもかなりにぎやかだった。特にイタリア、東欧からウクライナ方面の各局が強力に入感してくる。国内も、この時間でも開けており、6エリアと1エリアのラグチューが聞こえてきたりする。

6m用アンテナ&飛行機雲


6mでは唯一、伊豆半島達磨山移動のアイチJH316局とつながる。達磨山から半信半疑で波を出されたとのことだが、当局も達磨山とつながるとは思ってもみなかった。59+20dBと、信号も予想外に強力だった。JH316局は、後ほど駐車場から少し離れた運用場所に登って、CBに出られると言われていたので、当局も20mのアマワッチはいい加減にして、車の外に出て87R片手に11mのワッチに入ってみることにする。

伊豆大島(サイタマHK123局)

車の外に出ると、空気が冷たい。日暮れからの温度の下がり方は想像以上だった。外は月も朧だが、薄明かりに照らされたように、不思議なくらい南アルプスの山様が把握できる。

時計は既に22時半を回っている。87Rのアンテナを伸ばすと、ちょうどJH316局が、伊豆大島移動のサイタマHK123局と交信されているところだった。もちろんHK123局は当局には聞こえない。QSO終了を待って316局にお声掛けすると、CBでも達磨山とちゃんとつながる。(笑)316局とのQSOを終了しようとすると、HK123局からのQSPで、なんと伊豆大島に当局の電波が届いているというではないか。伊豆方向?には駐車場の平地が200mほど広がっているので、伊豆方面にはかなりロケがよくない。さっそく、200mほど歩いて、東南方向に谷が広がる崖っぷちの展望台に移動する。南アルプスに向かってCQを出してみると、サイタマHK123局/伊豆大島移動の応答が聞こえてくる!足元に谷が広がるとはいえ、その向こうは2,500~3,000mの山々が文字通り壁のように立ちはだかっている。それでもHK123局の信号が聞こえてくるのだから、これはうれしい。当局側では相変わらず人工ノイズがあるので、41での入感だが、HK123局側にはRS51.5で届いているようだ。

運用するには夜も更けてきていたが、念のため更にCQを出してみると、和歌山県田辺市移動のオオサカHNC24局よりコールを頂いた。RS41だが、お風呂が終了する22時には納まるだろうと期待していた人工ノイズが停止していれば、かなりクリアに聞こえていたはずだ。それにしても各局夜遅くまでがんばっておられる。(笑)


駐車場&展望台

東南方向へ
左奥の小高い丘が展望台になっている。3日夜中、サイタマHK123局(伊豆大島)とのQSOに、月明かりの中徘徊する。画面手前の右側柵沿いが2、3エリア方面に開けている。
小高い丘の展望台
左写真の展望台。写真正面は聖岳~大沢岳で、写真のアングルは真東から少し北を向いている。


「違いの分からない男」(爆)

5月4日、朝5:30に車中で起床すると、窓越しに見える山の頂には、予想通り灰色の雲が厚く広がっていた。気温は5℃。とりあえず770をルーフにセットして電源を入れると、最も心配していた昨日の到着時からの人工ノイズは、うれしいことに消えている。サーという低レベルの健全なホワイトノイズが、むしろ気持ちよく聞こえていた。ただ、チャンネルによっては、南方系のホニャラカ局が朝からスタンバイピーで絶好調だ。朝早くから、何の仕事か知らないが、ずいぶんと精が出るものだ。ワッチに入ると、岐阜県の池田山で同じく車中泊であったというミエAA469局が既に運用されておりつながる。夜のうちに四日市から移動されたようだ。

コンディションがよいせいか、6時を回るとバンド内がかなり騒がしくなってくる。

朝からやまぐちAN77局が静岡に移動?されており、しずおかCV22局とQSOされている。高いところに移動されているのか、AN77局側だけ安定したローカルの信号強度で入感してくる。4Chから3ChにQSYまで追随、QSO中なので後でお声掛けすることにしチャンネルを離脱する。QSBも皆無で、ICB-770で53での「強力」入感だったので、2エリアへの遠征と疑わなかったが、実はEsによる伝播だったことが後で分かる。(爆)


Esは早朝から元気で、九州移動中のイワテB73/6局の信号を聞いていると、B73局への応答局のコールサインで電波の反射先が1エリアと2エリアの間を行ったり来たり、東と西に強度のずれが分かるようである。よく言われるEsの「雲」のように、反射の強い部分が行ったりきたりしているようだ。カゴシマSS167局、ふくおかNS45局ともQSOを完了、ヤマグチSA37局も強力に入感していた。

各局が動き出さないうちに、ゆっくりコーヒーを味わいたいと思っていたがそうはさせてはくれない。テーブルには、前日コンビニで調達した安物の特大クロワッサンとガテマラが、6時から出したままだった。朝の盛り上がりがひと段落ついて、コーヒーを淹れ直す。♪♪ダバダーというBGMは流れないが、違いの分かる男のフリをして、イスに深く腰を下ろしてコーヒーのカップを傾けると、ひと味だけ違った味に思われる。もちろん気のせいだが。


朝の風景


特大クロワッサン
「違いの分からない男」には
安物で十分
中央アルプス
時どき厚い雲の向こうに
姿を現していた。
10時のおやつ
子供じゃないんだから
おやつなんていらない
でしょ。

待ってました「バーモントカレー高原」

長野県伊那市鹿嶺高原(かれいこうげん)からは、おなじみのナガノNP152局が出てこられ、QSOを完了する。前回(’08/11月)もしらびそ高原からつなげていただいているが、しらびそからだとやはり北方向への飛びは山が押し迫っており、距離の割には飛び受けが厳しくなる。

カシミール付属の地図には、鹿嶺高原には「鹿嶺ハウス」というのが記載されており、逆さに読んだらハウスカレーだ、などと、以前は馬鹿なことを言っていた(当局だけか?)のだが、鹿嶺高原はNP152局のおかげで、すっかり有名な?場所になった。(笑)



「飛ばない男」
10:30を回ると、この日のOADも既にひと段落し、ワッチ時間が長くなる。立山山頂移動のギフAA365/9局は、朝からパイルアップ状態で、各エリアいろいろな場所から呼ばれている。ひと段落着いたと思しきところでお声掛けし、昨日のQSO時の運用場所をうかがうと山荘脇からの運用とのことだった。
福井県国見岳からは、フクイFB401局が、京都府南丹市深山からは、ヒョウゴAB245局がでておられる。どちらも51でFBに入感してくるが、こちらからは呼べど叫べど届かない。「違いが分からない男」だけでなく、同時に、やはり「飛ばない男」か?


2エリア管内

2エリアではおなじみのマリタイムモービル、アイチDI209局が伊勢湾上に、珍しい場所では、養老山からキョウトZZ566/2局が運用されている。DI209局は、立山山頂移動のギフAA365局ともつながったとのことで、これも興味深い伝播と思われた。四六時中、キュルルンノイズがうるさい中、バーベキューの合間の?アイチAE126局/池田山とも無事つながる。

午後になるとようやく雲が切れ始め、大沢岳・聖岳の頭上にも青空が広がり始めていた。抜けるような青空と、残雪のコントラストを堪能するには、もう一度ここで運用する必要があるかもしれない。
                                              ('09/5)
運用データ
運用日:
  2009年5月3日、4日

運用場所:
  長野県飯田市上村 しらびそ高原(標高約1,900m) 
   3日:16:00~23:00
   4日:5:50~14:30
  
使用リグ:
  ICB-87R、ICB-770
  

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