[9/21朝陽が上り始める。烏帽子岳山頂2,726m]

秋の一斉OADは南アルプスの烏帽子岳(2,726m)での運用を試みる。烏帽子岳は南アルプスの縦走路の一部だが、通過点という位置づけで、どちらかというと無名に近い。高さは余りないが、三伏峠小屋から40~50分で到達できるので、OAD本番(21日)にアサイチから運用可能な距離に焦点を定めるには好都合な場所である。遮蔽物もなく、視界も360度開けているようだ。


9月20日(OAD 1日目)
烏帽子岳へは三伏峠からアプローチする。鳥倉林道(長野県大鹿村)終点にある登山口最寄の駐車場は、着いた時間が9時半過ぎだけに、既に満杯。林道を逆戻りし、かなり手前の駐車スペースから歩き始める。途中2,200m近辺からは、既に木々の葉が鮮やかな黄色に色づき始めていた。山全体が紅や黄色に染まるのは、もう時間の問題だろうか。


午後1時、駐車場から3時間20分程で、三伏峠小屋に到着する。
さっそく小屋の受付を済ませ、87R片手に近くの三伏山(2,615m)に移動、QRVを開始してみる。一通りワッチしてみると、何も聞こえてこない(笑)。どうやらOADの割には、運用局が少ないようだ。少々拍子抜けしながら、それでも一応CQを出してみると、さっそくしずおかDD23局/富士山5合目移動にお声がけを頂く。シズオカAD964局と合同運用のようで、2局とも元気のよいお声(笑)が、57で入感してくる。今日は車中泊で、明日は朝からフルタイム運用されるようである。

それにしてもバンド内は、海外局、トラック局の混信もなく静かだ。もっとも、OADの開始は公式には午後9時からなので、入感がなくても不思議ではないのだが、もっと運用局を期待していたので、少しさびしい気もする。

三伏山は低木すらなく、360度視界が開けており、山小屋近辺からお手軽運用するにはうってつけの場所だ。天気も快晴、無風で、7月のSVの時の天候状態とは天と地の程の開きがある。正面に見える塩見岳のずっと左方向には、そのSVで運用した仙丈ヶ岳(3,033m)も全容がクッキリ見えている。その間に見える北岳山頂では、サイタマKM117局が運用されており、コールを頂く。KM117局はSVでも北岳から運用されていたが、SVの時は天候が最悪で早々に撤収(当局も同じ)されたので、今回のOADではそのリベンジ運用とのことである。信号は無論59+、望遠鏡があれば運用姿が見えたかもしれない(笑)。おおさと59局は、いつもの美ヶ原から、和歌山県田辺市の護摩壇山からは、オオサカHNC24局にコールを頂く。

今回ギフAA365局は北アルプスの白馬岳に登られているようだ。沼津のしずおかT100局は千本浜からと、文字通り各局海に山に移動されているのだが、なんとなく運用局数が物足りないような気がするのは、気のせいか・・・。西には伊那の盆地を挟んで、空木岳、駒ケ岳を中心とする中央アルプスの全容もよく見えている。とりあえずは、絶景を楽しんで、山小屋に戻る。

三伏山山頂
後ろ左は、翌日運用
予定の烏帽子岳
(2,726m)。右手前:
小河内岳(2,801m)、中
後:荒川岳(3,141m)。
塩見岳(3,046m)
塩見岳の全容がよく
見える。
左端は、サイタマKM
117局が運用中の北岳
(3,192m)。
中央アルプス
盆地越しには中央
アルプスが。
遮蔽物なし
しかし、運用局が少ない
ような・・・。




9月21日(OAD 本番)




烏帽子岳へ
昨日やや拍子抜けした影響か、今日はめずらしく?なぜか、「さあ、無線をするぞ!」、という気合が入らない。朝飯を食べて、4:15過ぎには外に出て小屋を出発する準備は整っていたが、うだうだと、未だ明けない星空をながめて時を過ごしてしまう。結局出発したのは4:45だった。
烏帽子岳山頂近くに到達すると、アマチュアカメラマン氏が2名、カメラを構えて写真を一生懸命撮っている。朝焼けの富士と、上る朝陽を捉えようとしているようだ。当局はカメラマン氏の邪魔にならぬよう、ザックから707と87Rを取り出し、のんびりセットアップを開始する。

5:50分過ぎに、とうきょうCT73局/富士山4合目移動にコールを頂き、OAD本番がスタートした。

時々登山者が富士の景色を眺めながら通過していくが、山頂に長いこと滞留しているのは、当局と例のカメラマン氏二人のみである。
交信を続けていると、写真撮影が一段落したのか、「名古屋からですか?」と、先ほどまで銀塩写真をパチパチやっていたカメラマン氏が話しかけてくる。当局のコールサインを聞いてそう思ったのだろう。話を聞いていると、当局と同じ区内(名古屋市内)から来られたらしい。

「まさか、無線をやるためにわざわざ登ってきたんですか?」
「ええ、そうですが。」
「私らもカメラだけ。写真撮影のためだけです。一緒ですね~」などと言われている。
当局も、なぜか、なんとなく無線運用には力が入らないので、しばらく、カメラマン氏としゃべりこむ。どうやら、何日か山小屋に泊まって満足のいくまで同じ場所で写真を狙われていたらしい。今日は良い写真が取れたので、今日こそは、下山すると言われている(笑)。ありがたいことに、昨日登り始めてから、ずっと天気は上々なので、それだけでもラッキーということか・・・。


移ろいゆく時間 山頂の時間はゆっくり過ぎていく


秋の気配

リグをセットした近くには、一部ススキのような植物が白い穂をなびかせており、秋の訪れを感じさせる。朝の緩い日差しが、西方向の中央アルプスの影形を演出していた。時が経ち、陽が徐々に南に回ってくると、最初は真っ黒だった塩見岳の南面も、一夜の眠りから彩をよみがえらせてくる。山頂は本当に穏やかな時間が過ぎていた。

それにしても、余りに天気と景色が良すぎて快適すぎる。その心地よさに、CBの方はもう一つテンションがあがらない。やはり秋は、「もの思いの秋」か?(爆)

やがて気づくと、例のカメラマン氏2名は、いつの間にか撤収して、山頂に取り残されたのは当局一人だけになっていた。朝も8時をすぎると、通り過ぎる登山者もほとんどいなくなる。
当局はリグにかじりつくでもなしに、運用を続けていた。



京都府の大江山にはきょうとKP127局が移動されており、コールを頂く。いつもイベントではつなげていただくのだが、当局の運用場所が場所だけに、今日は無理かな?と思っていたが無事つながる。7月の北陸ロールコール(金糞岳運用)以来のQSOだ。しかし高い場所に登っていると、あちこちに電波が飛ぶので、チャンネル占有になりかねない。次回?、北陸ロールコールチェックインを期して、QSOはショートで失礼する。

今日は、愛媛県の瓶ヶ森に移動されている、フクオカAB182 局が51でFBに入感してきている。何度かお呼びするが、こちらの方で交信中の局とチャンネルが被ってしまうので、思うようにコールできない。結局最後までタイミング合わずじまいである。
同じく四国からは、トクシマMN72局が徳島県高城山から運用されており、先ほどから聞こえていたが、こちらもなかなかタイミングが合わない。しかしMN72局とは、アイチAE114局とのQSO終了後に時間を頂き、昨年11月3日以来の久々のQSOを果たすことが出来た。

11:30頃になると、各局OADの運用もひと段落する。いつもの通りボケーっとワッチしていると、奈良県天川村の八経ヶ岳(八剣山)で運用されている、ミエAC129局の交信が入感してくる。余りに強いので、87RのSメーターを見ると、なんとS7を振っている。さらに、QSO終了後に少し場所を変えるとS8を振ってくる!むむ~。かなり近距離の交信でもS7~8を振らせるのは意外と難しい。この距離(256Km)でS8を振らせる伝播とは?何とも不思議な飛びだ。

87Rを残して、機材をすべて片付け、最後のCQを出して帰ろうとすると、シズオカAD964局より再びコールをいただく。DD23局との富士山4合目合同運用隊では、ココアを飲んでくつろいでいるとのこと。それを聞いたとたん、急にコーヒーが飲みたくなった(笑)・・・「コーヒーが飲みたい・・・」その一心で、車に戻るための下山する足取りは速かった(笑)。
                                      ('09/9)

秋の空気



                               

運用データ
運用日:
  2009年9月20日(日)13:45~15:30
       9月21日(祝、月)5:50~12:30

運用場所:
  長野県下伊那郡大鹿村 
  三伏山(標高2,615m)
  烏帽子岳(標高2,726m) 
     
使用リグ:
  ICB-707、ICB-87R

  
左:手前の緑の丘(山)が20日に運用した三伏山。
右:小河内岳への道。小河内避難小屋もよく見える。

QSO局

20日
しずおかDD23/富士山5合目(山梨側) 57/57 シズオカAD964/富士山5合目(山梨側) 57/57
アイチHZ76/愛知県豊根村茶臼山中腹 52/52 サイタマKM117/山梨県南アルプス市北岳 59+/59
おおさと59/0/長野県美ヶ原 54/53 しずおかZP50/静岡県伊豆市達磨山 51/52
オオサカHNC24/和歌山県田辺市護摩壇山 51/52 シズオカYM181/0/長野県塩尻市 55/52
シズオカT100/静岡県沼津市千本浜 51/41 いしかわ4137/石川県中能登町碁石ヶ峰 51/52
ながのSQ21/長野県池田町大峰高原 52/53 ギフAA365/9/富山県白馬岳 56/53

21日
とうきょうCT73/富士山4合目(大沢P) 57/55 オオサカHNC24/和歌山県田辺市護摩壇山 52/52
ギフTY32/岐阜県中津川市恵那山 52/52 グンマAA661/0/長野県美ヶ原 52/
サイタマKM117/山梨県南アルプス市北岳 59+/59+ ヒョウゴAB245/京都府南丹市深山 51/41
ミエAA469/9/石川県能登市宝立山 51/51 シズオカT100/静岡県沼津市千本浜 51/51
アイチJH316/0/長野県大滝村御嶽 56/57 シズオカAD964/富士山5合目
ギフTY290/岐阜県中津川市恵那山 55/56 ナガノNA374/長野県川上村天狗山 51/41
ギフAA365/9/富山県白馬岳 57/55 ナガオカHR420/新潟県柏崎市米山 41/41
サイタマAD966/0/長野県小諸市高峰山 51/53 きょうとKP127/京都府福知山市大江山鍋塚 51/51
アイチAE114/0/長野県大滝村御嶽 58/57 ヨコスカJX250/神奈川県横須賀市 41/41
シズオカCE33/静岡県沼津市みかん山 57/55 シズオカYM181/0/長野県鉢伏山 59+/59+
とくしまMN72/徳島県那賀町高城山 51/41 なごやCE79/0/長野県大滝村御嶽中腹 54/53
トウキョウEH101/東京都七ツ石山 41/41 フクイFB401/福井県池田町部子山 55/52
ヨコハマR16/神奈川県鎌倉市 51/41 ミエAC130/三重県四日市港 52/52
カワサキAA676/0/ 41/52 シズオカAC703/静岡県静岡市 41/41
ミエAC129/3/奈良県天川村八経ヶ岳 57/53 サイタマHK123/0/長野県碓氷峠 52/53
フクイZ136/福井県池田町部子山 56/55 きょうとYM39/2/静岡県万三郎岳 51/51
シズオカAD964/富士山4合目 58/57 しずおかDD23/富士山4合目 58/


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 '09/09/20~21: 長野県大鹿村