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売店裏にて


 

野甫島は、伊平屋島の南端に位置する。現在は野甫大橋という橋で伊平屋島とつながっているので、車で行くことが可能だ。橋を渡ってしばらくすると左手に野甫港があり、港へと通じる道路の入り口手前には、「野甫売店」がある。島は100数十名ほどの人口らしく、集落はこじんまりと島の北東側に集約されているようである。陸地のほとんどはサトウキビ畑という静かな島だ。

野甫売店脇は、ちょっとした広場になっており木製のテーブルとベンチが設置されている。アイスクリームを食べながらQRVするにはもってこいである。更に日差しを避けたければ、売店裏に別のテーブルとベンチがあるのでこちらも便利だ。

この野甫売店はなかなかいい味を出しており、少しだけ居座るには当局的にはなかなか心地よい場所である。無線的にも、テーブルやベンチなど、QRVするには、非常におあつらえ向きの場所である。しかし実際ワッチに入ってみると、いかんせんジーというノイズが気にかかる。Sは1振るか振らないかぐらいのレベルなのだが、連続しているので極めて耳障りなのである。都会なら全く気にならないレベルだが、ひとたびノイズレスの離島の心地よさに浸ってしまうと、どうも気になってしかたないのである。よく考えてみると、700~800m先の対岸には伊平屋島の米崎海岸があり、どうもそちらからノイズがもれくるようだ。というのも、米崎海岸では既にQRVをトライしていたのだが、半端でない人工ノイズに運用を断念していたからだ。レベルは違うもののそれと全く同じノイズだ。



土曜日の午後2時過ぎ、どうもコンディションはのらりくらりだ。上がっているんだか下がりきっているんだか、よく分からない、時々見受けられる現象ではある。見た目は静かで全く上がっていないように見える。こんな時は、天然ノイズも上がっていないので、油断してCQを全く出さないでいると、時々痛い目にあうというのがよくあるパターンである。案の定、一応10分おきくらいに、売店裏のベンチから野甫港まで降りていってCQをだしてみると、時々応答がある。あくまで「時々」、である。合法局も全く飛んでこないだろうと思っていると、やはり「時々」飛んでくるのである(笑。ただ、いずれにせよ信号は弱く、落ちるのも速いので、交信は難しい。そんな中カゴシマHR787局、ひろしまDM11局が一瞬強く入感、なんとかQSOに成功する。しかし、やはり落ちるのが速い。その後はぱったりだ。

この売店はゆっくりQRVするには都合がよいのだが、どうにかこのノイズからは逃れたいところだ。やむなく、農道を車でサトウキビ畑まで進入、さすがに畑の中にまで来ると、ノイズからは解放される。その代りトレードオフになるのは水辺での飛び受けの良さだが、致し方ないところである。しずおかDD23局とは無事QSO完了、シズオカAC703局とは、レポートを送ったところで降雨中断だ。なんともタイミングが悪い。結果的に野甫島でのQSOは3QSOに留まる。




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(QSO局は最終ページにまとめて掲載しています。)


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