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[時間通りフェリーが入港してくる]




低回派QSO


小説の世界では、余裕派、低回派といえば大御所夏目漱石である。Es QSOにもひょっとしたら、低回派QSOというのが存在するのかもしれない。

土曜日12:15分、そろそろ伊平屋港にフェリーが入港してくる時間である。防波堤の向こうに視線を移すと、時間通りきっちり白い船体の先端が見えてくる。一息入れながら、入港してくるフェリーをバックに写真でも撮ろうとカメラを構えようとすると、5Ch待機中の87Rが静かに語りかけてくる・・・「なごやYK221局さん、聞いておられれませんか?」   「んんん・・どなた??」と思っていると、なごやCE79局だ。直前のQSOからだいぶ時間も経っているし、たまに直接コールサインで呼ばれたりするとどきりとしたりもする。

当局はコンディションが上がって、8Chが団子状態になってくると、他のチャンネルに離脱して、静かに潜行している場合が多い。8Chを離脱するのは、混んでいる状況で当局などがQSOを続けていては、他の局にとっては迷惑千万だからである。もし呼ばれ続ければ、かなりの時間チャンネルを占拠してしまうことになりかねない。

CE79局のコールは当局が手すきになったのをまさに見透かしたかのような、まさしく絶妙のタイミングだ。どうもどこかで動きを見張られているかのような語り掛け方だ(笑。

CE79局によると、名古屋地区も雨がだいぶ降っているようである。単なるあわただしいレポート交換に留まらない、そんな周りの季節の状況を知らせてくれるQSOは、当局にとっては一服の清涼剤である。

夕方には、再び前泊港でQRVする。夕方は特に、港の風が涼しくて気持ちがよい。ある程度QSOも重ねていたので、当局的にはそろそろ静かに潜行しつつあった。今回は8Chであるが、直前のQSOからは既に10分以上経過している。窓が開け放たれた車の助手席のドアを開け、少し横になろうとした当局に、今度は707が語りかけてくる(笑)・・・「なごやYK221局さん、聞いておられれませんか?」・・・「はい、聞いてますよ・・・って、誰???」と思っていると、CE79局だ。ん~やはりどこかで監視されているのか(爆?完全に居場所は判明しているようだ(笑。手を抜いて休もうとしているのもバレバレだ。

地面に放置していた707でも強力入感だったが、87Rに切り替えて応答してみると更に信号は強力だ。RS57、しかもほとんどQSBはない。昨年慶良間諸島の阿嘉島から交信したときのようだ。CE79局によると、名古屋も雨が上がって、すずしい夕方を迎えているようである。いつまでもQSOできそうなほどに安定している。本当はもう少しQSOしたいところだが、すぐに終えてしまうというのは、常にEsの強迫観念があるからだが、まだまだ修行が足りないということかも知れない。



ドアミラーに立てかけた87Rが静かに語りかけてくる・・・(笑。




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(QSO局は最終ページにまとめて掲載しています。)


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