東埼へ

最初の移動目的地は、島の東端にある東埼(あがりざき)である。3年前は島の西端にある、西埼(いりざき)が中心だったので、今年は東埼を中心にQRVすることにする。「あがり」、「いり」というのは、もちろん日が上がり、日が入る、と言う意味である。東埼周辺は与那国馬の放牧地域になっており、馬も人も生活空間に区別は無く、ここではどちらも全く平等な存在だ。

二基の風力発電風車が回る、東埼周辺まで来ると、灯台が海に浮かび上がってくる。
牧場(まきば)のようになった岬を更に灯台に向かって進む。北側崖っぷちに折りたたみイス&707を設置、つまみを回すと、与那国での最初の信号が707からもれ出てくる。

静か・・・?、か。

8Chには特に信号はなく、横に腰を下ろして、海を見下ろしながらワッチを続けることにする。海の色は余りに綺麗だ。8Ch以外では、低チャンネルと6Chぐらいで、ホニャラが入感しているくらいだ。本土の違法の入感もない。これまでの経験則では、八重山から開けるのは朝の8時から10時頃と、夕方5時~7時頃の間である。もう12時を回っており、本土ではさかんにランチタイムEsQSOが行われているはず(たぶん)だが、やはり与那国で昼の時間帯は厳しいか?


8Chでワッチを続けていると、いきなりS9+で信号が飛び込んでくる(笑。オキナワYC228局だ。石垣島常駐だが、今日はたまたま仕事の関係で与那国に来られているようで、本土との交信にトライされているようだ。CBのほうは開局されて間もないようだが、アマの方では主にV/UにQRVされているらしく、2mで与那国から、石垣島のレピータにアクセスができたとのことだ。
「今日はダメですかね~。」(YC228局)
「やっぱり、お昼の時間帯は厳しいみたいです。」(当局)
「・・・」
会話は続くが、コンディションが上がっていないので、8ChでQSOしていも全く問題はない(笑。YC228局は風車の近くにおられるようだ。ただ、夕方には石垣に戻られるという。

灯台の周りは白い石を積み上げた壁が、岬の崖に沿って延びている。千葉県太東埼の白い柵同様、完全に風景に調和している。707を置いたまま、87R片手にこの壁の向こう側を歩いてみることにする。予想通りその向こうは断崖絶壁だ。しかし、灯台の裏側まで来ると、ここは少し高くなっているせいか、水平線が300度近く見渡せる。海は何とも言えない青・・・。実にすがすがしい。

試しに87Rのスイッチを入れてみると、ピュルルン系のノイズが上がってきている。YC228局との静かなQSOから数十分しか時間が経っていないのだが、どういうことだろう?6Chでは、本土の違法もわずかにかぶってきている。コンディションが上がってきた証拠だ。これはチャンスか?すかさずCQを繰り出してみることにする。

CQを出している間にも、ノイズが更に上がってきているのがわかる。コンディションは明らかに上向きだ。最初に、与那国移動一発目となる、ならAI46局のコールバックが返ってくる。奈良市のようだ。ノイズ上昇とともに、他の合法局の断片に混じりながら聞こえてくる。RS51/52。こちらからは相対的に強く飛んでいるようだが、ガツンとくるEsではなく、少しなよなよとした、F層のような反射だ。続いて、しずおかDD23局のコールが入感してくる。こちらもAI46局同様の聞こえ方で、RS51/52。DD23局は、いつも当局の沖縄運用時に、3日間フルタイムでお付き合いいただいている。さすがに迎撃能力は必中だ。(TNX!DD23局)2エリアからは、イワテB73局にもコールを頂く。

短時間のコンディション上昇で、8Chは合法局が2~3局聞こえてくるようになる。「断片」はかなり長くなってきているが、その中でもほぼフルで聞こえている局がQSO可能な局だ。ただ、それとてQSBがかかっているのには変わりない。韓国語の混信もありQSOは容易ではない。全般的に「薄いEs」ながらフクオカAA752局、ヒョウゴTT314 局は、比較的強力な入感である。ただこちらからの飛びが、逆に厳しくなっているようである。やはりEsは生き物だ。



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