[観音岳山頂より:甲斐駒と鳳凰三山の一つ地蔵ヶ岳(右、岩の尖塔のような山頂)。画面左端奥に乗鞍、甲斐駒の右に北アルプスが続く。]


鳳凰三山にて・・・

秋オンは、山梨県の鳳凰三山の一つ、観音岳(2,840m)から出てみることにする。移動先は同じ山域にあるいつもの仙丈ヶ岳でもよいのだが、今回は少し趣向を変えてみることにする。鳳凰三山は、観音岳、地蔵ヶ岳(2,764m)、薬師岳(2,780m)の三つを合わせた呼称で、百名山の一つでもある。南アルプスの北端に位置する仙丈ヶ岳(3,030m)から北岳(3,193m)、間ノ岳(3,189m)といった山々とは、谷を挟んで向かいの東側、山梨県韮崎市と南アルプス市の境界上に位置している。無線のロケ的には2、3エリア向けには少し厳しそうだが、仙丈とどれくらい飛び受けがちがうのか、確認するのも目的の一つだ。

敬老の日は第3月曜日なので必ず3連休となるが、最近の秋オンは、「土曜日の夜から日曜日」開催に変更になりつつ?ある。土曜日の朝、韮崎市側の御座石鉱泉登山口から標高2,400m近辺の鳳凰小屋までアクセス、翌日のOAD当日は御来光を拝んだ後、QRVして下山する計画だ。山頂でのQRV時間は6時間以上が目標である。登山口から観音岳山頂までは標高差1,760m、標準コースタイムはネット7時間10分だが、土曜日は小屋まで上がるだけの手抜きなので、5時間半ほどである。

事前にナガノNP152局さんに連絡を取ってみると、あいにくOADには参加できないようだが、土曜日の昼過ぎなら若干QRVできるかもしれないということで、登山途中で13時頃から「回折実験」にチャレンジしてみることにする。今回の回折実験は、NP152局のおられる長野県の伊那市側と登山途中の山梨県韮崎側ポイントとの間のものだ。この間にはアサヨ峰や仙丈ヶ岳の肩などが引っかかり、通常ではとてもQSOは不可能であるが、何事もチャレンジ、13時過ぎであれば、当局も標高2,100m以上に達しているはずなので、ひょっとして???にかけてみることにする。まあ、山腹からのQRVなので、回折というより、電波が「回り込み」しないと厳しい状況ではあるが・・・。

スケジュール通り13時にザックを降ろし、一旦QRVしてみる。8Chなのに、なぜかロシア語お姉とロシア語おじさんがうるさい。CQやコールサインでNP152局に呼びかけてみるが、CBもデジ簡もノーメリットだ。引き続きテクテク歩いていると、NP152局より「伊那リ(=伊那スキーリゾート)に到着」とのメールが入ってくる。これから実験開始のようである(笑。高度計は2,180mほど。密集した梢の間の白い空からは、先ほどから雨がパラついている。さっそくこちらから再びCB&デジ簡で発砲してみることにする。登山道は伊那市方向北西側に開けた、一応尾根ではあるが、木々が生い茂り、当然数キロ先には別の山肌が壁のように立ちはだかる、厳しいコンディションである。はたして、こんなところから届くのか?・・・・・・うんともすんとも応答なし(笑。それにしても今日は8Ch以外でもロシア語が良く聞こえてくる(笑。まあ、無理とは思ってはいましたが・・・やはりダメか。NP152局曰く「アサヨ峰回折」は、やはり手ごわかった(笑。

鳳凰小屋前にてQRV!
鳳凰小屋のデッキでくつろぐ登山者(写真左)。小屋到着後、1時間ほどQRVしてみるが、山間のロケからはノーメリット。
9月中旬だと言うのにまだ真夏のような空だ。



16日OAD本番




[日の出:富士のシルエットがくっきりと浮かび上がる。地面にはゆるやかな川のように雲がたゆたう。]

山頂へ

3:45分、小屋の外で出発準備にとりかかる。空は満天の星だ。「満天の」という表現は、この様な時の為にあるのだろう。しかも星一つ一つの輝きが都会とまるで違う。飛行機のランプかと間違うほどである。別に御来光が目的で来ているわけではないが、ここまで晴れていると、さすがに昇る朝日の光景もすばらしいものがあるに違いない。予定通り日の出に間に合わせるべく山頂に向けて出発することにする。小屋のデッキではすでに何人もの登山者がにぎやかに出発準備にかかっており、その会話からすると日の出時刻は5:30頃らしい。
5:15分、山頂直下の岩場に到着。狭い山頂の岩場はすでに、人が少なくないので、手前で御来光を仰ぐ。それにしてもいい天気だ。富士山が綺麗にシルエットに浮かび上がっている。日が昇ってくる左方向には、八ヶ岳もくっきり見えている。やがて朝陽は、当局の右後ろの雄大な北岳の容姿を、わずかに赤黄色く、ゆるく染めながら昇り始める。朝陽に照らし出された北岳の山容がいっそう手に取るようにつぶさに見え始める…。


旭光
大菩薩峠から陽が昇る。手許の時計で5時26分だ。
朝陽を浴びる
5:33分、朝の斜光が雪渓の残る北岳を照らし始めた。左は間ノ岳。


5:45分、やがて光は甲府盆地を輝かせる。



QRV開始・・・?

陽が昇った。空はどこまでも青い。快晴だ。体は陽を浴びてはいるが、長袖シャツにダウンぐらいでは時々震えがくるくらい肌寒い。しかしこの上なくさわやかである。

さて、どこで運用するか?あらかじめ目星をつけてきた山頂の運用場所(岩場)は登山者やカメラマンが陣取っており、なかなかQRVできそうな場所がない。87Rで立ちながらQRVを開始しても良いのだが、今日はせっかくポータブル機を担いできたので、スペースが空くのを待つことにする。しかしカメラの三脚が3本すえつけられたテーブル状の岩場は、待てど暮らせど永遠に?カメラマン諸氏の撮影が終わる気配がない(笑。いったいシャッターを何枚きれば気が済むのだろう?まあ、これだけ天気が良いので気持ちはわかる。しかし、このままでは「永遠に」QRVできそうにないので、カメラマンに踏まれぬよう(笑、岩場の片隅に申し訳程度にスペースを譲ってもらい、580DでいよいよQRVを開始する。

まずは、サイタマAD966局、富士山の大沢駐車場からコールが返ってくる。AD966局は確か去年は茨城/福島県境の八溝山からのQRVだったと思うが、今年は富士山と、なかなかアクティブだ。8Chでは消え入るようにCQが入感してくる。イバラギ・クエスチョン局のCQだが、コールしてもこちらからは届いていないようだ。信号の聞こえ方からして、そこそこ距離があるようだ。しばらくして、このクエスチョン局=イバラギAB110局(茨城県常陸大宮市尺丈岳移動)とは、無事繋がるが、しかし、その後はなかなかQSOは続かない。というより交信したくとも、チャンネル内はガラガラ、もう6時はとうに過ぎているのだが、聞こえてくる局が全くない(笑。う~ん、どうしたもんか?それに比べて、海外勢は、いつにもまして元気だ。1から3チャンネルは、ホニャラが綺麗に力強く入感してくる。今日って本当にオンエアデーなのか?7時を回っても、運用局は全く聞こえてこず、4Chではまたしてもアロハがうるさく騒いでいる。この夏、もうアロハはいい加減聞き飽きてるんですが…。結局7時台はノーQSOである。

デジ簡はどうか?デジ簡はCBが静かなときでも、必ず応答局があるものだが、こちらもCQには音なしの構えだ(笑。「う~ん・・・・」、運用局が少ない時は、朝9時を過ぎないと増えてこないというのが、これまでの当局の経験則である。やはり予想通り、結局バンド内が少しずつ活性化してきたのは、9時を回ってからのことである。






ラクチン運用

今日は久しぶりに580D稼動で、昨年の秋オンで新潟県の火打山にQRVして以来ちょうど一年ぶりである。久しぶりなので、何とはなしに、87Rとの聞こえ方を比較してみることにする。一言で言うと…580系は確かに感度がよいように思われる。ただ、その分いらないノイズも拾ってしまう。聞きたい信号が入っていない時は、時折耳障りと感ずる時もあるくらいだ。87Rはわずかに感度は劣るかもしれない。ただ、器用に信号だけ切り分けて、いらないノイズを切り捨ててくれる。…そんなイメージである。どちらが良いのか?これはもう好みの問題だろう。

しかし、さすがにPTT付きのポータブル機はラクチンだ…特に今日のように暇なときは…。87Rでは常に両手を使ってリグを保持していなければならないが、それとは大違いである。87Rのようなハンディ機は使っていない時の置き場にも困る。山頂でアレコレ違ったリグを運用する時に、アンテナをいちいち畳まないといけないからだ。今回ポータブル機を持ち込んだのは、あらかじめネット上の動画や写真で観音岳山頂の様子を確認、ポータブル機を置けそうなテーブル状の岩があることがわかっていたからだが、そうでなければいつものように87R片手にうろうろしていたに違いない(笑。


秋の入り口?

QSO局は少ないものの、「今日はすっごい、さわやかですね」、というのがQSOできたと時の出だしの合言葉のようになっている。空は快晴、冷ための風が若干吹いているが、さらりとしていて心地よい。富士は早朝ほどのくっきりさはなくなったものの、相変わらずはっきりとその端麗な姿を惜しげなく見せている。観音岳は視界を遮るものは全くなく、360度開けている。ただ、山頂は2,840mの高さがありながら、周りにはそれ以上に高い山々があるのであまり高山の頂にいるような感じはしない。しかも澄み渡った空気で、八ヶ岳裾野の小淵沢や、甲府の市街が手に取るように見えていることもあり、まるで1,500mくらいの低い?山頂にいるような感覚だ(笑。


薬師岳
もう一つの鳳凰三山、薬師岳は観音岳の南側に位置する。
南ア
間ノ岳(右)から、西農鳥岳、農鳥岳、悪沢岳(左、三角形)へと続いていく
北方向
八ヶ岳(右端)から、蓼科山、中央奥に新潟の妙高山、昨年の秋オンQRVの火打山が見える。



ロケは?

無線のロケとしての観音岳はどうなのだろうか?すぐ西北隣の仙丈ケ岳や西隣の北岳などは、0、1、2はもとより、3、4、5、7、9エリアと交信が可能だ。特に仙丈では、地形の関係からか、3エリアよりもむしろ、より距離がある5エリアと相性が良く、剣山なども良く聞こえてくる。当局は運用したことは無いが、サイタマKM117局さんがよく運用される北岳は更に飛び受けがよいようである。西方向の2、3、4、5エリアの入感状況が気になるところだが、観音岳は標高2,840mと、仙丈ケ岳や北岳より200m~350m標高が低いため、常識的には西側からの信号はブロックされて聞こえてこない可能性が高い。

9時前、ぼそぼそと、待機していたデジ簡に入感がある。手にとって見ると、滋賀県境に程近い、岐阜県池田山移動のあいちNY28局だ。壁になっているはずの南アルプスの山のどこかで回折して来るのか、メリット5での入感である。しかも1W送信だという。その後池田山のあいちNY28局はCBでも入感してくる。観音岳は、果たして3エリア方面といけるのだろうか?しかし、仙丈ならいつも良く聞こえて来る、四日市や名古屋近郊などの局、あるいは六甲山移動の局は9時を過ぎても全く聞こえてこない。池田山でNY28局と合同運用のあいちFT60局がロールコールをされており、聞いていると、六甲山移動のえひめCA34局などがチェックインされているようだが、こちらでは残念ながら信号を拾うことができない。やはりここまではムリか?西側からの信号はやはりブロックされてしまうようである。

一方こちらのCQに対してよく応答があるのは、横浜方面からだ。平地でありながら、横浜市栄区のよこはまZ489局などは51で入感してくる。デジ簡でも、横浜市旭区のナゴヤAB449局などは、アンテナマーク1本を振らせてビンビンに入ってくる。横浜方面には見通しのパスが繋がっているに違いない。

9時頃からようやくバンドは活性化してきた感じだが、OADの割には圧倒的に運用局が少ない(笑。もうEsシーズンも終わったし、今年は残暑が厳しかったので、各局お疲れモードで移動局が少ないのかもしれない。暇にまかせてCQを出していると、山のエキスパート、サイタマKM117局さんから応答がある。今日は小金沢山(山梨県甲州市)に登られているようだ。通常、大菩薩から黒岳へと南北に連なる小金沢連嶺は、西側の甲州市側(旧塩山市側)からアクセスするのが一般的だが、さすがはエキスパート、今日は東側の小菅側から登られたようである。おそらく見通しのせいか、信号も57と強力だ。KM117局さんは、今年のSVでは間ノ岳から運用されており、その山が今まさに目の前に聳えていることが何か不思議な感じである。


2パラで行こう

DCR電源は、今回は3,100mAhの2パラを用意。セルはパナソニック製、保護回路もセイコー製のICチップといううたい文句だが、さすがに宣伝通りの性能だ。まがい品の18650電池などは1.5Aも電流を取り出せないものがある。特に保護回路は回路と直列に入るので、その良し悪しが取り出せる電流や、実運用電圧(内部抵抗による電圧降下)、ひいては実容量にまともに影響するので、場合によってはセルそのものより重要なパーツである。従来、当局は4パラで6.4Ahを使用していたが、今回はその半分の電池四本でほぼ同容量の6.2Ahで、登山運用など、1gでも装備重量を減らしたい場合には有効だ。従来のセルもパナソニック製で性能は申し分なかったが、モデルが古く容量が少なかった。無線運用規則に従えば、交信時は必要十分な電力に落としてQSOするのが原則だが、今回はあえてすべて5W出力で運用、DPR5はデジ簡の中では最も電力大喰らいだが、今回程度のQSO時間(10QSO+運用時間内フル待機)では到底使い切れず、撤収まで送信状態でも電池マークは全点灯である。



それにしても今日はOADの割には、運用局数は圧倒的に少なく、QSO数も僅かに30ほどである。これからの秋のCBシーンは大丈夫なのか(笑?。
                              ('12/09)

                          


運用データ
■運用日時・運用場所:
 
山梨県韮崎市観音岳山頂(標高2,840m)
   2012年9月16日(日) 6:00~12:00
    
■使用&装備リグ:
  CB: RJ-580D (ナショナル)ICB-87R (SONY)
  DCR351(デジタル簡易無線):
      IC-DPR5 (ICOM)+1/4λホイップ (第一電波)
  特小: DJ-R20D (アルインコ)
  

■使用電源
(予備含む)
  ・Li-ion: 7.4V/6.2Ah×1、7.4V/1.8Ah×1
       
18.5V/4.0Ah×1、
10.8V/3.2Ah×1
  ・ 乾電池 多数 

 
      

QSO局
(敬称略)


サイタマAD966/山梨県鳴沢村大沢駐車場 57/57 イバラギAB110/常陸大宮市尺丈岳 41/41
ギフTY32/長野県美ヶ原下 58/52 ナガオカHR420/新潟県上越市米山 51/51
サイタマAD966/山梨県鳴沢村大沢駐車場(DCR) M5/M5 あいちNY28/岐阜県揖斐郡池田町池田山(DCR) M5/M5
カナガワN523/神奈川県小田原市(DCR) M5/M5 シズオカAC703/静岡県清水市 54/53
ギフTY32/長野県美ヶ原高原美術館横 59/55 あいちNY28/岐阜県揖斐郡池田町池田山 51/51
とちぎKN46/栃木県日光市男体山山頂(DCR) M5/M5 イバラギAB399/栃木県那須町茶臼岳(DCR) M5/M5
ギフTY290/長野県美ヶ原高原美術館前 59+/59+ シズオカAB635/静岡県掛川市粟ヶ岳 51/51
アイチAE114/長野県王滝村御嶽山頂 59+/59+ ふくおか8774/東京都八王子市高尾山(DCR) M4/M5
ナガノAA601/長野県木曽駒ヶ岳山頂(DCR) M5/M5 アイチFT60/岐阜県揖斐郡池田町池田山 51/51
かながわZ489/神奈川県横浜市栄区 51/51 ナガノTM285/長野県美ヶ原 56/56
やまなしK610/山梨県韮崎市甘利山 59/59 よこはまUQ3/神奈川県湘南平 51/52
サイタマKM117/山梨県甲州市小金沢山山頂 58/57 しずおかYS11/静岡県静岡市日本平 51/M5
やまなしK610/山梨県韮崎市甘利山(DCR) M5/M5 しずおかEA51/静岡県掛川市粟ヶ岳 41/51
かながわHR17/山梨県山中湖 51/51 ながのAF45/長野県平谷村高嶺山 41/51
しずおかDD23/山梨県鳴沢村 59+/58 ナゴヤAB449/神奈川県横浜市旭区(DCR) M5/M5
ながのDF73/長野県木曽駒が岳山頂 58/57 ナガノAA601/長野県木曽駒ヶ岳山頂 59/59
DCR:デジタル簡易無線

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