2012運用記
GW一斉OAD
奈良県上北山村


[日出ヶ岳山頂にて]


今年も大台ヶ原?

GW一斉OADは、今年も大台ヶ原である。大台ヶ原は、無線運用には非常に優秀なロケで、無論敬意を表しているが、そろそろマンネリになってきたので、今回は東北地方での運用も検討していた。しかし、休みのスケジュールが許さず、例年通り大台ヶ原での運用となる。ところが、前々日の大雨で、奈良へ向かう名阪国道や大台ヶ原へ通ずるドライブウェイは完全通行止め、ようやく現地への移動日(3日)になって通行規制が解除されるという波乱の幕開けとなった。

 夜、時折月が激しい雲の
 動きの中に姿を表す。
 うっかり車内から薄着で
 出ると、凍えるような
 寒さだ。

3日の夜、ドライブウェイまで登って来ると、濃霧で視界は10mほどだ。道が全く見えない。「ドライブウェイ」というと聞こえは良いが、幅は1.5台分くらいの真っ暗な山肌の峠道である。通行中の車は当局だけを良いことに、のそのそとゆっくり進んでようやく駐車場へたどり着く(笑。気温は6℃。いつもの夜に比べて車はまばらだ。下界は曇りだったが、大台ヶ原は全国でも随一の多雨地帯なので、小雨がぱらついている。天気予報では明日は曇りだが、どうも雨の予感だ。車の中から空を眺めていると、時折雲が解け月があたりを照らし出したかと思うと、再び霧に巻き込まれ雨がぱらつき出すという繰り返しである。夜も10時を過ぎると、昨年同様、ジェットエンジンの轟音並みの暴風が吹き荒れ出す。どうもこの轟音はこの地形が生み出しているものらしい。

3時半過ぎに起きても天気は寝る前と全く同様。ただ、雨粒だけは落ちていない。空はすっかり厚い雲に覆われているようだ。ところが日出ヶ岳山頂に到着してみると、強風に加え、霧雨が降り始める。まあ、大台ヶ原はだいたいこんなもんである(笑。

山頂には木造の展望デッキがあり、その下は吹きさらしだが、一応雨はしのげるようになっている。こういう雨の日は、運用するリグは最小限に留め、リュックの回りも余り店を広げないほうがいい。CBは790Tも持ってきているが、雨の吹き込まない場所でリュックの中に仕舞い込んだままにして、運用は87Rで行う。DCRはもともと防水なので(といっても乾電池ボックス仕様なので完全防水ではないが)、雨が吹き込んでくるテーブルの上にそのまま待機させておいても大丈夫だ。


370km超DCR山岳回折実験
朝5時前、霧雨と強風の中CBで運用を開始する。ダウンの重ね着に、手袋をしていても、少し寒いくらいだ。したがって、「スキー場マイナスα」位の気温だろう。

今年のOADのスタートはまずは、ミエAA469局さん(イワオさん)とのデジ簡(DCR)での370km超の山岳回折実験である。今年はイワオさんは、石川県珠洲市の宝立山(ほうりゅうさん、標高468m)に移動される。宝立山は能登半島の先端近くにある山だが、宝立山のイワオさんとは、2年前にたまたま、CBでQSOに成功している。イワオさんからの情報によると、今年はお互い、2年前と同じ場所から出るということのようなので、「それでは今回はデジ簡(DCR)で回折実験でもしてみましょう」、ということになった。

大台ヶ原と宝立山は、CBではRS51~52で間違いなくつながる。まずは、CBで連絡を取り合い、DCRの実験に移る手筈だ。370km以上離れた局と、CBを「連絡用に」使うというのも、少し妙な気もするが、実績があるので全く(たぶん?)問題ないだろう。

しばらく3、8Chでイワオさんを直接呼び出してみるが、まだワッチされていないのか、応答がない(笑。それでは少々交信を楽しませて頂こう、と、CQに切り替えてみると、伊豆半島の土肥峠からさっそく、しずおかT100局のコールが返ってくる。T100局は、まだ起きられたばかりのようで、リグをつけたら突然当局が聞こえてきた?ような感じのようである。まだ5時を回ったばかりなので当然か?アサイチのこの時間は海外ノイズも全くなく、極めて静かだ。それだけにT100局の変調音も低音が効いたお声の質がよく伝わってくる。T100局とのQSOを終えると、待ち構えていたかのように、いよいよイワオさんからコールが入ってくる。2年前より少しだけ信号強度は弱いように感じられるが、51/51でQSOは全く問題ない。もっとも、今日の当局の位置は、強風を避けるため、展望台下の壁の陰に隠れて運用している。探せばもっと信号強度が上がる場所はあるのだろうが、これでも連絡を取り合うには十分である。

あいさつも早々に、DCRでの山岳回折実験の開始だ。CB8Chを連絡用にキープし、さっそくDCRで、当局より信号を繰り出してみることにする。当局側は5W送信、アンテナは1/4λのホイップである。カシミール上では、ちょうど白山(石川・岐阜県境)の山域あたりが回折ポイントになるはずだ。
結果はどうなのか?


左端:宝立山、右端:大台ヶ原日出ヶ岳。直線372km、沿面394km。
一番高い場所が白山のあたりになる。
CBでは問題なく回折してくるが、DCRではどうなのか?


「ミエAA469局、入感ありますか?」と何度も呼び出してみるが、何も聞こえてこない・・・。
ん~、ダメか?CBに戻ってイワオさんに確認してみると、八木を南西(こちら方向)に向けて、探っているがやはり聞こえないようだ。今度はイワオさん側から信号を出してもらうことにする。87Rを置いて、DPR5のワッチに専念。モニターモードにしたり、いろいろ場所を探ってみるが、やはり信号は受からない。・・・やはりダメか。残念。ただし、短時間のトライだし、場所もすべてあたったわけではない。どこかに交信できるポイントがあるのかもしれない。

再びCBに戻って、「まだまだDCRでの運用時間はあるので、後から聞こえるかもしれませんねぇ~」、ということで、お互いその後の時間に期待を寄せながら、一旦実験を終えることにする。(TNX!ミエAA469局)イワオさんとのQSO後は、当局もあちこちうろうろしながら、しばらく積極的にDCRでの交信を試みる。どこかでAA469局が電波を拾ってくれているかもしれない・・・。

時間はまだ5時半を回ったところだ。早朝にもかかわらず、DCRのCQには一発で応答がある。きょうとCD61局(京都市)だ。続いて、枚方市のきんきCJ86局、あいちFT60局(愛知県小牧市)、さいたまR32局(静岡県浜松市)など続々と入感がある。この間、霧雨と強風に晒されながら展望台やら、山頂のあちこちを歩き回ってみるが、残念ながらやはり能登半島のイワオさんまでは、DCR波は届いていないようだ。

普段はハイカーには人気のある大台ヶ原だが、さすがにこの悪天候とあって、きょうは展望台にはほとんど人がやって来ない。7時までに山頂に姿を現したのは4人ほどだ。いつもなら、明け方から展望台にはカメラマンが陣取っており、早朝でもかならず常時10人ほどはハイカーがおり、朝7時も過ぎれば、展望台が混雑するほどの人になるのが常なのだが・・・。

当局の運用場所もさることながら、それにも増してさびしいのはお空の状況だ。今日はOADだというのに、異様に運用局が少ない。下界も天気が悪いのかもしれないが、交信した局からは、むしろ「晴れ上がってきた」、「ポカポカの陽気になってきた」といった情報ばかりで、特に天気が悪いとも思えない。ふだんなら名古屋近辺の2エリア各局や、大阪周辺の3エリア各局が聞こえてくるはずなのだが、一体どうしたことだろうか?チャンネルはガラガラ、というより全チャンネル運用局なし、まるでOADを一日間違えてオオボケをした去年のようだ(笑。8時前につながった、オオサカHNC24局(護摩壇山)も、CBでなんとか坊主を免れた、と言われているくらいなので、やはり運用局が少ないのに違いない。パーソナルも運用してみるが、もちろん応答局は皆無、DCRでさえ呼び出しチャンネルに入感してくるのは、既にQSOを終えた局だけである。コーヒーを沸かしながら、「もう帰ろうか」、という思いが、既に7時を過ぎた頃から兆し始めていた。


本当の風景?
9:30。最後のQSOから1時間近くが経過している。のんびりと展望台下の休息所に立って、ずっと外を眺めていると、変わることなく風が時折轟音をたてて吹き抜けていく。白灰色に染まった木々の景色も、早朝から全く変わらないばかりか、むしろ白さを余計増しているようにさえ見える。8時頃には大分明るくなり始めた空も、再び明るさを失い、外に出たときに身体に感じる雨滴も少しだけ大きくなり始めた。ただ落胆する必要はない。この霧雨にかすんだ静かな景色こそ、本当の風景なのかもしれない。

それにしても無線のほうは運用局がない…(笑。このままここにいても一向に天気は回復する気配はないし、風は逆に一層強くなり始めている。無線だけをとってみれば、快適とは言えない運用条件だ。「悪天候+運用局もない」ということで、ようやく早々に撤収する決意が固まった。しかし、山頂から撤収する前に、誰かに誘われるように、もう一度CQを出してみることにする。もう一度だけ最後にCQを出せ、と誰かに言われているような感覚だ(笑。

仕舞いかけた87Rを再びリュックから取りだし、展望台の壁の裏側に回り、最後にCQを出してみる。むむ…?意外にも、すかさず反応が返ってくる。シズオカRT219局からのコールバックだ。しばらくぼーっと景色を眺めているだけで、まじめに聞いていなかった間に、かなりピュルルン系のノイズも上昇してバンドはにぎやかになっているようだ。RT219局とのQSOを終えた瞬間、そのピュルルンの裏側から、しずおかDD23局が当局をコールしているのが聞こえてくる。おーDD23局!当局に「最後にCQを出せ」、とテレパシーを送ってきていたのはDD23局か??(爆。 DD23局は、 富士山五合目からQRVされているようだ。DD23局とは今年のGW一斉ではとうとうQSO出来ずじまいかと思いきや、なんとか最後の最後につながったようである。更に、伊豆半島の函南町からはカナガワCB124局にもコールを頂く。DD23局にアシストも頂くが、S6程度まで振ってくるピュルルンと海外ノイズにほとんど信号がかき消されてしまう。しかし信号自体は比較的クリアで、ノイズがやや収まり始めると、変調はきれいに聞こえ始め、QSOを完了する。

最後に87Rをしまいこむと、アンテナの付け根の回転部から、拭っても拭ってもとめどなく水が漏れ出てくる(笑。最近87Rは試練続きだが、今日も少し過酷な運用だったようだ。(TNX!87R)
                                                            ('12/05)


運用データ

 
■運用日時・運用場所:
 
奈良県上北山村大台ヶ原 日出ヶ岳山頂 (標高1,695m)
   2012年5月4日(金) 4:50~9:45 
    
■使用&装備リグ:
  CB: ICB-87R (SONY)、ICB-790T (SONY)
  DCR351(デジタル簡易無線):
   ・IC-DPR5 (ICOM)+1/4λホイップ (第一電波)
  パーソナル: PR-6 (信和)
  特小:
 DJ-R20D (アルインコ)
■使用電源
(予備含む)
  ・Li-ion 7.4V/6.4Ah×1 (DCR)、7.4V/1.85Ah×1 (予)
        10.8V/1.6Ah×1 (87R)、10.8V/2.1Ah×1 (予)
  ・NiMH 7..4V/2.3Ah×1 (PR-6)
  ・ 乾電池 (87R) (特小)      

QSO局
(敬称略)
無印=CB、DCR=デジタル簡易無線
5/4:大台ケ原 日出ヶ岳山頂 
シズオカT100/静岡県伊豆市土肥峠 53/52 ミエAA469/石川県珠洲市宝立山 51/51
シズオカAB635/静岡県浜松市天竜区竜頭山 56/M5 きんきCJ86/大阪府枚方市堤防 53/51
しずおかDL8/静岡県浜松市天竜区竜頭山 58/53 はままつAF59/静岡県浜松市天竜区竜頭山 54/54
きょうとCD61/京都府京都市 (DCR) M5/M5 きんきCJ86/大阪府枚方市堤防 (DCR) M5/M5
あいちFT60/愛知県小牧市白山峠 (DCR) M5/M5 さいたまR32/静岡県浜松市天竜区竜頭山 (DCR) M5/M5
ひろしまK79/三重県津市 52/42 しずおかZP50/静岡県土肥 51/51
しがBR37/岐阜県揖斐郡大野町 51/51 オオサカHNC24/和歌山県田辺市護摩壇山 52/52
おおさか707/奈良県吉野郡天川村山上ヶ岳 59+/54 おわりEX24/愛知県小牧市白山峠中腹 (DCR) M5/M5
ヒョウゴAB245/兵庫県宝塚市 59/59 シズオカAB635/静岡県浜松市天竜区竜頭山 59/
シズオカRT219/静岡県浜松市天竜区竜頭山 57/54 しずおかDD23/静岡県富士山五合目 53/53
カナガワCB124/静岡県函南町 51/52 オオサカCB422/大阪府八尾市十三峠 54/53


番外編

大台ヶ原運用時はいつも立ち寄る、道の駅「杉の湯 川上」。お目当ては、地元の特産手作りこんにゃくの味噌おでんだ。今回も3本ほどいただく。
こんにゃくには珍しい、さっくりとした食感と柚子味噌がなんともいえない味わい。
奥武蔵の味噌おでんも良いが、ここの味噌おでんも最高だ。


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