[茶臼山山頂展望デッキにて]


「初冬の」高原の空気を吸いに
(笑

茶臼山(標高1,415m)で運用するのは、実に4年ぶりだ。前回の運用は二週間違いの12月の始めで、気温はマイナス7℃、既に雪もちらつき、山の木々は純白の霧氷に覆われていた。今回は、気温は+5~6℃程度と、まずまずの温度だが、今にも雨が落ちてきそうなくらい朝からどんよりと暗く、厚く曇っている。本日の運用は、また温泉とセットで、運用終了後は長野県平谷村(道の駅「信州平谷」)にある「ひまわりの湯」で露天風呂につかる計画だ。道の駅売店前の特設売り場で、特産のりんごも買って帰ろう。

駐車場から20分もかからずに歩いてくると、茶臼山の山頂に到達(笑)する。今日はもとよりQSOできる局数には期待していない。ただ、初冬の高原の空気と、そこに流れるCBのAMノイズが味わえればいい。
メインリグの790Tをセット、8Chでワッチを開始してみる。展望デッキの柵は胸くらいの高さで、運用には丁度よさそうだ。

ん、ん・・・、CWのイメージ混信が激しい。まるで夏のEs発生時のような聞こえ方だ。しかもなぜか5Chの低チャンネルから8Chまで混信が良く聞こえる。8Chよりむしろ6Chぐらいの方が良く聞こえるぐらいである。ここのところずっとSSNは上がっていたようだが、F層は調子よいのだろうか?5Chではモールスに混じっていつもの英語局も元気良く聞こえてくる。

予想通りCQを出しても反応はない。乾いたノイズとCWの断続するイメージ、そしてわずかにトン・ツーの合間にホニャラ系の信号がかすってくるだけだ。そんなこととは無関係に、高原には冬らしく引き締まった透明な空気が満ちている。耳と目から入ってくる二つの刺激は頭の中で混じりあい、完全に調和していた。目論見通りの静かな高原運用だ。柵にもたれながら、ガテマラを飲んでいると、遠く小さくなった山の端々は徐々に明るくなってきたようだ。

CBの漏れ出るノイズはそのままに、DCRの運用も開始してみる。790Tの真横でDCRのPTTを押すとサーとノイズが走る。

さすがにDCRのCQは、応答が返ってくるまでにそう時間はかからない。程なく、浜松市内からカナガワRC734局の信号が返ってくる。ご旅行中なのか宿泊先からコールいただいたようで、たまたま高層階におられたので幸運にも信号をピックアップ頂いたようだ。

とはいえ、冬のこの時期、しかも土曜日なので、さすがにDCRとはいえ、運用局は余りない。連続で繋がることはなく、のんびりと、時間を空けながらのQSOだ。岐阜県垂井町の固定からはながおかHR420局に応答を頂く。HR420局といえば、4年前のこの場所からの運用時にもパーソナルで繋がっている。あの時はつま先まで凍るくらいの寒さだったのだが、HR420局は固定からということで、部屋の中の暖かさのようなものが電波を通して伝わってくるような気がしたものである。HR420局もそのときのQSOをよく覚えておられ、「時のたつのは早いですねぇ~」と、お互い年寄りじみた会話が弾む(笑。今回もパーソナルがDCRに置き換わっただけで、ちょうど4年ぶりの全く同様のQSOスタイルとなった。ただ、今回は当局側は初冬の高原の割には気温も低くなく、風もほとんどない運用状況だ。なぜか空もHR420局とのQSO前の9時半頃から、雲はどんどん薄くなり、スペースを開け始め、青空が広がり始めていた。やがて上空には全く雲がない快晴の高原に変わりつつあった。空の青と、空気の透明感が否応無しに展望デッキでの運用を更に心地よいものに変えている。

左:茶臼山へ向かう途中の気温表示。前回ここの表示はマイナス5℃だった。
中:運用開始30分もすると、空は晴れ上がり、心地よい高原運用が続く。
右:遠く、陸と空の狭間に、遠州灘(太平洋)が輝いて見える。(リグと電波塔の間)



790TとDPR-5で、時々CQを出してワッチに回る。そして高原の初冬の空気を吸うという時間の連続だ。8Chでは相変わらずモールスのかぶりが途切れることなく響いている。シングルスーパーの790TはEs発生警報機でもあるが、今日のようにイメージ混信が一瞬も止まることがないのは、夏場のEsシーズンとは少し異なる点だ。

時折出すCQに返ってくる信号はやはりDCRだ。静岡県の三ヶ日からは、しずおかDW33局から応答を頂く。山の中をトレーニング?で縦走されているようで、今は標高563mほどの峰から出ておられるようだ。DW33局からは、1時間45分ほどして再びコールを頂くが、そのときは既に10kmほど場所を移動されており、平均時速5Km以上で山の中を歩かれているようである(笑。

運用から2時間近く経つが相変わらずCBのCQには応答がない。しかし、ありがたいことに、あるときノイズの狭間からサイタマHK123局の信号が返ってくる。愛知県東郷町の愛知池から出ておられるようで、掲示板をみてわざわざQSOのために移動していただいたようである。(TNX!!HK123局)Sは4ぐらいだが、CWに加え海外系ノイズもかなりにぎやかになっている。しばし、スタンバイ頂き、少しでも聞き易い87Rへリグをチェンジする。HK123局と最後にQSOしたのはいつだろうか?ずいぶんご無沙汰になってしまったような気がする。しかし、いつでも?こうして「無線」でつながることができる。これがCBの醍醐味だ。

午後になっても快晴の青色と、白樺、そして雪を被った南アルプスの断片と、心地よい無線運用が続く。空にはさっきから西往きの旅客機が何機もきらきら輝きながら青い大空を横切っていった。ながおかHR420局はその後、長良川の堤防に移動されCBを運用されている。風がかなり強いと言われているが、当局側高原では、その後も風もなく穏やかな日差しが射し続けていた。

                                               ('12/12)



初冬の茶臼山高原



運用データ
■運用日時・運用場所:
 
 2012年11月24日(土) 8:45~13:45
  
 愛知県豊根村茶臼山山頂(標高1,415m)
  
■使用&装備リグ:
  CB: ICB-790T(SONY)、ICB-87R(SONY)
  DCR351(デジタル簡易無線):
      IC-DPR5 (ICOM)+1/4λホイップ (第一電波)
■使用電源(予備含む)
  ・Li-ion: 7.2V/6.2Ah×1、7.2V/1.8Ah×1 (DCR)
  ・ 乾電池 (87R)  
  ・鉛電池12V/2.5Ah (790T)

 
      


QSO局
(敬称略)

かながわRC734/静岡県浜松市(DCR) M5/M5 ながおかHR420/岐阜県垂井町(DCR) M5/M5
しずおかDW33/静岡県浜松市(DCR) M5/M5 ミエAC129/三重県四日市市(DCR) M5/M5
サイタマHK123/愛知県東郷町愛知池 54/52 ナゴヤAY758/愛知県名古屋市(DCR) M5/M5
しずおかDW33/静岡県浜松市(DCR) M5/M5 ながおかHR420/岐阜県長良川堤防 53/53
DCR:デジタル簡易無線



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