日本の最西端にも近い波照間島では、さすがに、19時を過ぎても太陽はさんさんと輝いていた。19:30近くになると、今まで人が疎らだった砂浜には、どこからともなく人が集まってくる。といっても一般の観光地とは違い、数えるほどの人数だが。このニシ浜は、美しい夕日が眺められる有数のサンセットスポットだった。

770であきらめずにCQを出していると、石垣在住だという、若いイケメンのカメラマン氏が声をかけてくる。こんな時間に、こんなところで、無線機にかじりついている姿がよほど奇異に映るのだろうか。(それは無理はないが。) 「この、おもちゃみたいな無線機で、本州を狙っているんですよ」、と事情を説明すると、「わざわざそんなことをしに、ここまで来たんですか?」と、あきれるというより、むしろ驚きの表情を浮かべていた。

カメラマン氏が言ったとおり、19:30に陽は沈んでいった。美しい夕景とは対照的に、相変わらず、合法局はノーカン状態だった。
11mリアル板を覗くと、「YK221局は聞こえず。皆さんのロケではどうですか?」というCA34局の書き込みが気に懸かる。しかし、申し訳ないと思いつつ、夕食時間制限のため、「一旦QRT」の旨をリアル板にインプット。夕食は20時まで、という宿の規則なので致し方ない。宿までチャリンコを走らせ、生ビールをかきこみながら、急いで夕食を済ませる。

夕食後は近くのサトウキビ畑の農道に移動、ワッチに入るが、もはやノイズも違法局もなく静かだった。あたりには街灯も無く真っ暗闇だ。思えば都会生活の中で、最近、これほどの暗闇というものを、何年も経験していなかった。見上げると、掃きたくなるくらいに、星が見える。輝度も全く違う。緯度が低いこの島からは南十字星もみえるという。
藩政時代につくられたという、「コート盛」と呼ばれる高さ5m程の烽火台の上に移って運用し始めると、やがて東の雲間から月が上がってきた。あたりが月光にうっすらと照らされ始めると、これまで何もなかった背景に、サトウキビ畑の表層が遠くまで確実に姿を現してきた。

結局20日(金)は、石垣島でも、波照間島でもQSOゼロに終わる。波照間では今年もボウズにおわるのかなぁ、という不安がよぎるが、自分ができるだけのことをするしかなかった。



ニシ浜の夕暮れ

ICB-770-サンセットを見ながらのワッチ&CQ 19:30、潮騒を残して陽は沈んでいった。

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 2008沖縄
4

波照間島